2005年5月13日

『適材適所の法則』

http://tinyurl.com/98mo9

本日の一冊は、NPO法人学習学協会の代表理事であり、コーチング関連の著書で知られる本間正人さんが書いた、ありそうでなかった「適材適所」に関する本です。

本書のなかで著者は、企業にとって「適材適所」が重要になった理由を6つ、挙げています。かいつまんで言うと、現在の企業では、企業の将来を担う正社員の比率が著しく減少しており、個人のキャリアパスをきちんと考えてあげる必要性が高まっています。

ところが、コンピテンシー・モデルは導入したものの、外的・客観的に計測可能な能力分野に偏ったものが多く、コンピテンシー自体が不適切になるという事態が生じています。

加えて、若手はプレイング・マネジャーとして登用され、マネジャー適性とプレイヤー適性の両方を求められる。それに成果主義や人材の流動化が加わって、優秀な若手が辞めてしまうという現象が起こっているのです。

では、このような事態を防ぐために、どうやって適材適所を実現していくべきなのか。本書は、まさにこの点について述べています。

おもしろかったのは、適材適所を考える際は、「ある時点をとってピンポイントで考えるだけでなく、数年間、数十年の期間を通じて、『長期的に適材適所になっているかどうか』を考える必要があるという指摘です。

これは、成果主義により短期的な成果を求められる現在、マネジャー、部下双方に欠けている視点ではないかと思われます。

本書では、この長期的な適材適所を実現するために、マネジャーがどうやって部下と対話すればよいか、という点を、コーチングの視点から説明しています。

具体的な対話例をもとにした「適材適所コーチング」の例は、マネジャーにとって良い参考となるのではないでしょうか。

チェックシートや具体例などが豊富で、とても実践的な一冊だと思います。
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■ 本日の赤ペンチェック
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◆「適材適所」が重要になった6つの理由
1.正社員比率が低下し、プロフェッショナル人材への要求も高まった
2.あらゆる職種で、求められるコンピテンシーが変わった
3.コンピテンシー・モデルを導入したのに、うまくいかない企業が多い
4.プレイング・マネジャーが激増し、不適合も増えた
5.転職率の上昇で、不適所と思えば優秀な若手ほど辞めてしまう
6.成果主義の導入で、不適所になると報酬もやる気も低下する

企業として大事なことは、いつの時点で、「マネジャー候補か、この道一筋でいくスペシャリストか」を判断するということ

非正社員の人にも適材適所を

あるコンピテンシー・モデルで定義された仕事があったとき、それに一番近い人を選ぼうと思っても実際にはその仕事の周りには人がいます。だから人間関係も考えてあげないと、いくら個人としてはコンピテンシー・モデルに適合していても、実際の仕事はうまくいきません

プレイヤーとしての能力が高くても、マネジャー適性が低い人をマネジャーに抜擢してはいけない

適材適所度は、ある時点をとってピンポイントで考えるだけでなく、数年間、数十年の期間を通じて、「長期的に適材適所になっているかどうか」を考えることができる

◆適材適所の法則
1.適材適所は事後的にしかわからない
2.「適材適所度」を学習努力により高めることができる
3.「適材適所度」を高めるには対話が役立つ

組織人として高い業績をおさめてきた人の多くが、不遇の時にしっかり充電をして、次の飛躍に備えていたようです。適所の場合にも人間は成長するものですが、不適所にある時こそ、意識して学習するかしないかの差が大きくつくのではないでしょうか?
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『適材適所の法則』
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■目次■
まえがき
第1章 今、なぜ適材適所が重要なのか
第2章 あなたの「適材適所度」を分析する
第3章 これからの適材適所モデル
第4章 適材適所の法則
第5章 適材適所コーチング
第6章 「適材適所度」を高めるために
あとがき
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