版元訪問記 第6回
青春出版社 プライム涌光編集部 部長 山崎道隆さん
プライム涌光編集部
部長
山崎道隆さん
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版元訪問記第6回は、『500円でわかるシンプル版 山田真哉のつまみ食い新会社法』が2005年12月22日に発売、すでに4.5万部(2006年1月20日現在)売れている、青春出版社のプライム涌光編集部部長
山崎道隆さんにお話をお伺いしました。
Q:出版社の歴史を教えてください。
創業社長(小澤和一)が、恩師で作家の山本茂実先生(著書『あゝ野麦峠』)の同人誌『葦』に参加したことが始まりです。『青春の手帖』という若者のための雑誌の刊行にはじまり、亀井勝一郎著『現代人生論』など、「学びたくても学べない人へ」という理念のもとに出版活動を行っています。代表的な作品としては、1500万部を超えるベストセラー『試験にでる英単語』(森一郎)をはじめ、『誰のために愛するか』(曾野綾子)『頭のいい税金の本』(野末陳平)『天中殺入門』『こんなにヤセていいかしら』『それいけ×ココロジー』などがあります。おかげさまで、昨年、創業50周年を迎えました。最近では、B6の軽装判「ワンコインブックス」シリーズが好調で、シリーズ累計180万部を突破しました。
Q:青春出版社さんが得意ではないジャンル・儲からなくてもやるジャンルはありますか?
基本的にノンジャンルですが、アダルト系は得意ではありません。小説も積極的には取り組んいません。「儲かる儲からない」という認識ではなく、沢山の方に読んでもらいたい、役立ててもらいたいという気持ちの方が大きいです。ベストセラーの『自分のまわりにいいことがいっぱい起こる本』(72万部)は、弊社の編集者が著者である原田真裕美さんの発するメッセージに共感し、ぜひ世の中に広めたいということで出版が決まりました。この場合は、著者の知名度というよりもメッセージが先にあったということです。何か新しい発見や共感があれば、世の中に伝えていきたいという考え方ですね。
Q:企画の段階から出版が決まるまでどのようなプロセスを経ているのですか?
弊社では創立当初から「創作出版」という考えを持っていまして、編集者が企画を立て、チーム内でのブラッシュアップを経て、月二回の編集企画会議にかけます。
この編集企画会議で許可がでれば出版が決定します。会議での話し合いによって、タイトル・テーマ・著者などが、初めの企画から変更になることもあります。
チーム内での企画立ち上げから出版決定までにかかる時間は、早くて二週間ほどでしょうか。一度で会議を通らないものは、チーム内で考え直したり、編集者によっては、営業部員・書店の方にも相談して軌道修正をします。企画は編集が創りますが、それが書店に出た時にどう見えるかは営業の方がより詳しいので、本が出る前に、相談をします。
「ワンコインブックス」シリーズは、180万部を超えているのですが、このシリーズは、販売が集めてきたCVSのお客さん情報をもとに、新しい商品ができました。
Q:ほかに売れている本を教えてください。
『図説 地図とあらすじで読む聖書』『図説 地図とあらすじで読む古事記と日本書紀』です。社会科の副読本といった内容ですが、教養として知っておきたい大人の参考書といったところでしょうか。『図説 地図とあらすじで読む聖書』に関しては、「聖書は世界で最も読まれている本であるのに、そもそも新約聖書・旧約聖書はどこがどう違うのかさえはっきりわからないので、その疑問を解き明かしたい」という素朴な想いから生まれた本です。自分でいうのもなんですが、非常にわかりやすく面白い本に仕上がったのではないかと思います。今までで8万部売れています。
すべては企画ありきで、書店の棚に合わせて本を作るということはしません。むしろ、一つのジャンルにおさまらない作品を、と考えています。
Q:どのような営業を展開しているのですか。
営業の人間は、よりよい売り場の確保に最大の努力を注いでおりますが、書店さんとの情報交換にも努めています。弊社には想いをアツく語る営業部員が多く、フットワークもいいので、現場の声が短期間で形になっていきます。
Q:コンビニ本の調子が良いようですが。
コンビニ本は、雑誌「BIG tomorrow」「SAY」はもちろん、雑学文庫や現在の「ワンコインブックス」シリーズ、B5判図解・図説シリーズなど、常にチャレンジングな販売展開をしています。年々、競争が激しくなっていますが、点数を増やすことはせず「質」重視です。
雑誌「BIG tomorrow」とのコラボレーション企画など、新しいものも提案し続けたいと思っています。
Q:今後はどのような本を売りたいですか。
かつて新書のミリオンセラーを数多く手がけてきたヒットメーカーの誇りをかけて、「青春新書インテリジェンス」シリーズを花開かせたい、と思っています。ベストセラーはもちろん、ロングセラーを生み出したい。多くの人に手軽に読んで役立ててもらえる作品を、世の中に沢山送り出したいですね。
お忙しい中、ありがとうございました。
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