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版元訪問記 第4回

版元訪問記 第4回
サンマーク出版 高橋朋宏さん

版元訪問記第4回目は、1995年刊行の『脳内革命』がシリーズで550万部超、最近では『きっと、よくなる!』
が20万部を突破するなど、ベストセラーを世に送り出し続けるサンマーク出版

そこでビジネス書を主に手がける高橋さんのお話をお伺いしました。
高橋さんご自身も昨年、発売2週間で2万部、現在5万部を突破した『加速成功』を手がけた編集者です。

Q,サンマーク出版の創立時から現在までの歴史を教えてください。

1971年に、サンマーク出版の前身となる(株)教育研究社を設立。79年刊行の『母源病』シリーズが100万部を超えるベストセラーになり、

81年、サンマーク出版に社名変更しました。

86年には、櫻井秀勲先生の処女作『女がわからないでメシ食えるか』がベストセラーに、
そして87年から刊行が開始された『ヤングアダルト情報源』シリーズが、出せば売れるというまさに「打ち出の小槌」のような作品群となりました。このシリーズは20~30代のバイブルとして定着し、しばらくの間、弊社の「ドル箱」でした。

この後はビジネス書分野の著者を開拓することに注力した結果、幸いなことに継続的にベストセラーに恵まれるようになりました。
まず、92年に船井幸雄先生の『これから10年
生き方の発見』がヒットし、「船井ブーム」と呼ばれる現象のさきがけとなりました。

船井先生の本はシリーズで50万部近く売れているのですが、その船井先生に紹介していただいた著者の本が立て続けにヒットするという幸運に恵まれました。

93年刊行の『地球を救う大変革』はシリーズ50万部超、
95年刊行の『脳内革命』はシリーズ2点で550万部を突破し、
当時は平成最大のベストセラーといわれたものです。

さらに97年には精神世界モノで『神との対話』が大ヒット、

98年には自己啓発モノの『小さいことにくよくよするな!』が170万部を突破しました。

最近では『「原因」と「結果」の法則』シリーズ、
安田佳生先生の『採用の超プロが教える できる人できない人』、
稲盛和夫先生の『生き方』などがヒットしています。

Q,サンマーク出版というと「自己啓発モノ」が得意というイメージがあるのですが、今後もこの流れは続くのですか?

特に自己啓発モノしか出さないというわけではありません。
最近では絵本や料理本といった、それまで手がけていなかったジャンルでも
いくつかベストセラーが生まれるようになり、出版社としての幅も広がりつつあります。

ただ、「成功体験を徹底的に掘り下げていく」というのがやはり経営の王道でしょうから、これまでビジネス書や自己啓発モノが多く出版されてきたわけです。

なによりも「常に新しい発想をもった著者を探し続ける」というのが、弊社の基本的な姿勢の一つで、特にジャンルにこだわりはありません。

ジャンルよりも「著者の持つ言葉の力」とか「著者が発散するエネルギー」といったものを重視しています。

弊社の基本的な編集姿勢をもう一つあげると、「読者のための本づくりを徹底している」ことです。

一見、当たり前の言葉ですが、裏を返して極端にいうと、「必ずしも著者のためではない」ということです。

だから、著者とは徹底的に議論しますし、時にはケンカ状態になることもあります。

もちろん「読者のため」を追求していくことが結局は「著者のため」になるという確信があるからなのですが……。

また、弊社には「編集者特権」という制度があり、「企画会議で採用されなかった企画でも、編集者は年に一冊、自分の好きな作品を作ってよい」ということになっています。

私はこの権利を行使して、『ブラの本。』という日本初のブラジャーについての本を作ってしまいました(笑)。
ベストセラーとまではいかなかったのですが、マスコミでは大きく取り上げられ、著者は一躍有名人になりましたから、「よし」ということにしておきましょう。

編集部内ではビジネス書、翻訳書、文庫とおおまかなチームの区分けがありますが、
h各編集者は基本的にどんなジャンルの本でもつくってよいことになっています。

Q,サンマーク出版さんの広告はひと際目立つ気がするのですが。

新聞や車内に主に広告を出しているのですが、広告に関しては、「業界初」となる試みが好きですね。

たとえば車内広告では、壁側の額面広告をよく出していて、弊社の顔ともいえる広告手法として定着しています。

ちなみに、朝日新聞のテレビ欄に新聞広告を打ったのは、出版業界では弊社が初めてだったんですよ。

Q,流通の面で何か工夫していることがありましたら教えてください。

札幌、神戸、福岡、東京、横浜など、主要都市9ヶ所に営業所を置き、各営業所ごとに地元の人間を採用し、
地元の人間が地元で直接営業をしています。このほうが、東京の人間が地方に赴くよりも、
人間関係を築きやすいのです。
各営業所から上がってくる情報は、新聞広告や部数の決定などに活用されています。

書店さんが発注した部数どおりに出荷するのが、弊社の基本姿勢です。
「売れる時期に売れるモノを出荷する」ようにしています。
『脳内革命』は550万部超の大ベストセラーだったにも関わらず、返品率はなんと1%以下でした。
これは現場から上がってくる情報をうまく活かせたからできた奇跡だと思っています。

Q,これから注目の新ジャンルは何かありますか?

電子書籍や海外での翻訳出版ですね。
電子書籍で現在出している主なジャンルはビジネス書・自己啓発書などです。

弊社はあくまで紙の本がメインで、特に電子書籍用に企画を作っているわけではありませんが、最近はかなり収益の面で貢献してくれるようになりました。

とくに携帯電話での電子書籍販売には今後大いに期待しています。
「現物が手元に置きづらい」作品が読めるのも、読者にもウケている理由ではないでしょうか。

たとえば、『完全不倫マニュアル』という電子書籍が携帯サイトで売上好調なのですが、
そういった意味から売れているのかもしれませんね。

あと、弊社の本の海外への版権販売に今、力を入れています。

注目すべきは『水は答えを知っている』がアメリカでベストセラーになっていることです。

現在、「N.Y.タイムズ」に21週連続でランクインしているようで、アメリカで日本の本がベストセラーとなるのは、SONYの盛田昭夫氏の著書『MADE IN
JAPAN』
以来だといわれています。

これまで、海外で翻訳出版された本は500点以上ありまして、今年も70点強の海外翻訳本の出版を目指しています。「世界で2千万部売れる本をつくる」という、とてつもなくデカイ夢を掲げています(笑)。

                           お忙しい中、ありがとうございました。

 

 

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