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版元訪問記 第2回

版元訪問記 第2回
フォレスト出版
編集部 編集長 中西謡さん

著者の方々にとって、どの出版社から本を出すのか、は売れる・売れないにかかわる一大事。このコーナーでは、著者の皆様の「出版社選び」の参考にしていただくべく、各出版社の歴史とベストセラーの系譜、編集・販売上の特長などを明らかにして参ります。

第2回目は衝撃のピンク本『あなたの会社が90日で儲かる!』以来、日本のビジネス書マーケットの新たな展開をリードしてきた、いま最も活きのいい出版社、フォレスト出版です。編集長、中西さんにお話をうかがいました。

Q.フォレスト出版の前身は編集プロダクションだったそうですが。

A.そうですね。D&D(Discover &
Development)と言いまして、ラビ・バトラの『世界大恐慌』をはじめ、金融系でかなり当てていました。版元になったのは、96年の4月です。代表の太田と専務の田中、営業3人、編集2人、経理1人のスタートでした。

Q.これまでにどんな作品を世に出してきたのか、時系列で教えてください。

A.フォレスト出版の記念すべき第一作目は、藤原直哉さんの『この先にある「経済」』(3万部)です。この本の新聞広告を出した時に、岡本吏郎さんがその広告を見ていたそうで、それが弊社での最近のベストセラー『会社にお金が残らない本当の理由』につながりました。

その後は、野平祐二さんの『騎手伝』を「男の生きざまシリーズ」として発刊。これが第一弾で終わり(笑)。続く『スピリチュアルジャーニー』も1万部で増刷なし。その後は『1ドル240円時代の襲来』や『投資の決断』など、金融モノがぼちぼち出ておりまして、あい変わらず、金融関連書の版元、といったイメージでした。

Q.今は中小企業向けのビジネス書といったイメージがありますが、いろいろ出していたのですね。

A.97年になると、テレビ番組で紹介されていたレシピを単行本化した、『辰巳琢郎&大東めぐみ
ごちそうさま おいしいレシピ集
』や、『ブルース・リー格闘術』をマニア向けに出しました。一時期、フォレスト出版はブルース・リーの版元だと思われていた時期もあったんですよ(笑)。


Q.話だけ聞いていると面白いですが、どれも売れてなさそうですね。

A.正直、この時期は受難の時代でした。やっと息を吹き返したのが、翌年98年です。この年は、堺屋太一さんの『未来はいま決まる』が10万部弱出ました。さらに、大竹愼一さんの『かくて日本は逝く』も出て、またしてもマクロ経済・金融路線で売れたわけです。

Q.いまの路線に移ったのはいつからですか。

A.それが翌99年の『あなたの会社が90日儲かる!』です。業界ではピンク本と呼ばれた有名な本ですが、じつはこれは神田昌典さんの2作目。これが20万部に迫る勢いで売れまして、ここからライトなビジネス書の時代が始まるわけです。

Q.あの装丁・テイストにしようと思ったのはなぜですか。

神田さんから蛍光ピンクの装丁の提案があったからです。以前から、木子さんのような本が若い人向けにあってもいいと思っていましたし、たまには肩の力を抜いて、新しいスタイルもいいかなと思って出してみました。この本のおかげで、これまで本を読まないと思っていた中小企業経営者の市場のポテンシャルを知り、会社としては、明確なターゲットが定まったわけです。

Q.ターゲットが定まった後の展開について教えてください。

A.その後は、小阪裕司さんをはじめとする、いわゆる神田系+実用書の路線で売ってきました。インテリ層も取り込み大成功した『あなたもいままでの10倍速く本が読める』(26万部)、ロバート・アレンの『実践
億万長者入門
』(6万部)、『非常識な成功法則』(11万部)、『小さな会社☆儲けのルール』(6万部)など、次々にヒットが生まれました。

Q.これからもこのテイストで行くのでしょうか。

今後は、神田本テイストも残しつつ、ビジネスの基礎的な部分をライトな感覚で展開していこうと考えています。

Q.今は、どんな著者をお探しですか。

哲学を持っていて、成功している若者に出会いたいですね。これからの10年間読者を引っ張っていってくれる、そんな著者です。最近の傾向を見ていると、今はもうビッグネームの時代ではなくなってきているのかもしれません。ビッグネームではないけれど、儲けている人はたくさんいます。そういう人々のノウハウにもスポットを当てていく時代なのだと思います。同時にスターを探す・育てる努力はしていきますが、いずれにしろ、どうせ仕事をするなら、人間的に興味が持てる人と仕事がしたい、というのがポリシーです。


お忙しい中、ありがとうございました。
 

 

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