【これは深い。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4868010751
最近、越川慎司さんの『世界の一流は「休日」に何をしているのか』を筆頭に、休日本が売れていますね。
『世界の一流は「休日」に何をしているのか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4295410306
本日ご紹介する一冊もまた「休み方」をテーマにした本ですが、類書とはかなり毛色が違います。
「戦略とは何をしないかを決めること」と唱えたのは、競争戦略の父マイケル・ポーターでしたが、本書が提案しているのも、何をしないかを吟味しようという話です。
現代人の多くはスマホを使い、GAFAのビジネスモデルのために多大な時間と注意を奪われ、結果、ストレスが増大して創造性を奪われているわけですが、本書の著者はそんな現状に、論理的にNOを突きつけています。
IT企業がいかに我々の脳をハイジャックし、自意識や消費に影響を与えるか、それがうつや自尊心の低下につながるか、さまざまな論文を引用しながら、丁寧に論じています。
では、どうすればわれわれは戦略的に「暇」になれるか。再び創造性を取り戻せるか。
本書の後半では、奴隷を働かせるのに都合が良かった時計時間からの脱出と、それを可能にする行動が説かれています。
フロー状態を作ること、あえて不便を求めることなど、興味深い手段が書かれており、ぜひ試したいところです。
また、われわれが豊かな時間を過ごす上で欠かせない自己の消失、環世界の行き来、スペース・パフォーマンス(スペパ)向上のアイデアが記されており、なぜ旅行や2拠点生活が精神を健全にするのか、その根拠がわかった気がします。
内受容感覚を鍛えることでストレスに強くなるという話も紹介されており、これは現代人必読の一冊であると思いました。(ヨガの実践者は比較対照群よりも痛みに約2倍耐えられるらしい)
豊かな暮らしと仕事での創造性、どちらも求めたい方は、ぜひ読んでおくといいでしょう。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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元気な人は疲れている人よりも睡眠以外の休息時間が長い
自分が気に入りそうなコンテンツをファーストビューに並べてくれる動画サイト、皆が美味しいと言っているお店をマップに表示してくれる地図アプリ、「ああ生きろ」「こう生きるべきだ」というハックが詰め込まれた自己啓発本など。自由に生きるために、余暇の素晴らしさを享受するためには、もう一度自分でこれまで便利な社会の下すっ飛ばされていた手間暇をあえて取り戻さなくてはなりません
歯車の一つであることを拒み、外から強大なシステムを叩いて壊そうとするよりは、歯車の一部が止まったり、違う挙動を起こしたほうが、相互連鎖で駆動するシステムには大きな影響が生まれます
自転車で走る際、止まった状態からペダルを漕ぎ出すときが最も力を使いますよね。脳も同様に、異なる作業の「停止・発進」が続くことで、疲労度が激増するのです
スマホの利用時間が長くなると、勉強していても成績は下がってしまう
近年ではこの「アイデアが降ってくる」現象が脳科学的に解明されつつあります。それが、「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれる脳のネットワークです。(中略)DMNは外部からの情報刺激がなく、特定のことに注意を払わなくても良い状況で発動します
人は不正行為をAIに委任することで、罪悪感を覚えにくくなるという驚きの研究があります
身体的な情報が遮断された都市やデジタルの中で生活する現代人は、自然の持つ柔軟さや予測不可能性から遠ざかってしまい、次第に変化(ランダム性)に対して脆弱になっていく
内受容感覚を鍛えた参加者は、そうでない参加者よりも不安障害の発症率が低く、31%が不安障害から回復した
ヨガの実践者は比較対照群よりも痛みに約2倍耐えられる
移動ができないAIの致命的な弱点は、一次情報が取れないこと
環世界の行き来こそが、「オール・ニュー・アゲイン」状態を作り出し、私たちの生活に新たな視点を与え、人生をより豊かにしてくれる
スペパの高め方
(1)自然に出る
(2)日常に小さな儀式空間を作る
(3)フィクションの空間に浸る
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最初は、「なんで休日本なのにこんなに厚いんだ」と思っていましたが、読んでいくうちにその理由がわかりました。
じっくり読めば、暇を妨げるあらゆる現代的な装置に気づき、それを避ける賢明な生き方ができるようになると思います。
ぜひ読んでみてください。
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『戦略的暇 人生を変える「新しい休み方」』森下彰大・著 飛鳥新社
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◆目次◆
はじめに
PART1 戦略的“暇”とは?
第1章 私たちはどこから来たのか
第2章 デジタル社会は私たちをどう変えたのか
第3章 デジタル社会と分断される「今」
PART2 これからのデジタル社会をどう生きるか
第4章 現代特有の脳疲労を癒やす「新しい休み方」
第5章 コスパ・タイパからの脱出
第6章 凝り固まった「私」を解き放つ
第7章 ゲーム・チェンジャー「スペパ」
付録 数分でもOK!今日からでもできるDDの実践法
おわりに
索引
参考文献
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