【45人のリーダーが明かす質問術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4105074512
本日ご紹介する一冊は、リーダーのための質問力養成本。
著者は、ジョージ・ワシントン大学名誉教授で、リーダーシップ関連の著書を多数持つ、マイケル・J・マーコード氏と、190カ国以上のリーダーがフォローするブログ、LeadingWithQuestions.comのCEO、ボブ・ティード氏。
マイケル・J・マーコード氏は、日本にアクション・ラーニングを紹介した、『実践 アクションラーニング入門』の著者としても知られています。
『実践 アクションラーニング入門』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478374694
はじめに申し上げておきたいことは、本書は速読してはいけない本だということ。
読者が優秀であればあるほど、手っ取り早く要点を知りたいと思うものですが、そのような態度は、リーダーを成功から遠ざけると本書では述べられています。
なぜなら、先を急ぐリーダーの言動は、部下を萎縮させ、組織から力を奪うから。
もしリーダーが以下のような質問をした場合、相手は意欲を失い、受け身になり、自発性を養うことはできない、と本書では書かれています。
・どうして計画より遅れているのか
・どうしてこの計画はうまくいかないのか
・誰が足を引っ張っているのか
・どうしてそんなこともわからないのか
また、「なぜ」と質問する時、「リーダーは自分の声の調子に十分気をつける必要がある」とも述べられています。
声の調子が間違っていると、それは怒りや不満を示すものに変わるから、というのが理由のようです。
リーダーの発する「なぜ」は、好奇心や情報の探究を示すものでなければならないと著者は述べています。
本書では、こうした相手の能力を抑圧する質問のほかに、リーダーがすべきではない質問が2つ紹介されています。
それは、相手にこちらの意図する返答を強いたり、促したりする「誘導的な質問」と、された側に尋問されているような気持ちを抱かせる「雑多な質問」。
もし職場でこのような質問が飛び交っていたら、その職場はかなりまずい状況にあると言っていいでしょう。
では、いい質問とは何なのか。
本書には、そのヒントが実例入りで紹介されています。
著者の30年以上に及ぶリーダー育成の研究と実践、そして世界的リーダー45人へのインタビューから見えてきたリーダーのための質問術が書かれており、これは必読の一冊です。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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わたしたちは往々にして、「能力を引き出す(エンパワーメント)」質問ではなく、「能力を抑圧する(ディスエンパワーメント)」質問をしてしまう。それらは責任を追及するばかりで、情報を求めるほんとうの質問になっていない。また、ある答えを言わせようとしているのが見え見えの質問をすることも多い。「まさか反対はしないよね」とか、「チームの一員として行動してくれるよね」といったものだ
例えば、「アクションラーニングは学習の効果を高める」という見出しであれば、「アクションラーニングはどのように学習の効果を高めるのか」にする。どうだろうか。そうするだけで、きっと、その節を読んだときの理解度がぐっと深まり、記憶にも残りやすくなるはずだ
質問されたときに人が生き生きとしてくるのは、自分のアイデアを聞いてもらえるのがうれしいからだ
創造性を引き出すためには、答えがまだわかっていないことを問う必要がある
イノベーションが起こるのは、ものごとを見る角度をふだんとは変えたときだ
歴史に残るような偉大なアイデアはたいていリスクを伴っている
リーダーはたえず「余白のチャンス」を探さなくてはいけない。つまり、既存の事業部のスキルとはマッチしないせいで見過ごされているが、成長をもたらす可能性がある新しい分野だ
「なぜ」と質問するとき、リーダーは自分の声の調子に十分気をつける必要がある。「なぜ」は好奇心や情報の探求を示すものでなければならず、怒りや不満を示すものにしてはいけない
ピーター・ドラッカーなどが指摘しているように、コミュニケーションでいちばん大切なのは、「口にされていないことを聞き取ること」だ
人気ポッドキャスト「オール・ビジネス」の司会者ジェフリー・ヘイズリットが学習する文化を築くうえで役に立った12の質問 ※一部紹介
1.今の仕事で誇りに感じていることは何か。
2.わたしがしていることの中に、きみの成功の妨げになっていることはあるか。
6.わたしがもっとするべきことは何か。もっと控えるべきことは何か。
11.顧客はどういう反応を示しているか。
12.わたしたちのしていることの中で、もう役に立っておらず、やめるべきことは何か。
「これまでの人生の中で、今の自分があるのはそのおかげだといえるような、多大な影響を受けた出来事は何か」
成績のいいチームは成績のよくないチームに比べ、22倍多くの質問をしている
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企業でも学校でも、現在は「自主性」を重んじる風潮がありますが、本当に自主性を発揮させたいなら、リーダーや教師、親は、「質問」の技法を学ぶ必要があると思います。
ぜひ、読んで質問の態度と技法を学んでみてください。
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『世界最高の質問術』マイケル・J・マーコード、ボブ・ティード・著 黒輪篤嗣・訳 新潮社
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◆目次◆
『世界最高の質問術』第3版のための序文
第1部 質問の力
第1章 リーダーがこんなに強力なツールを使わないのはもったいない
第2章 問う文化はいいことずくめ
第2部 効果的な質問をせよ
第3章 質問するのがむずかしいのはなぜか
第4章 いい質問をせよ
第5章 質問の技法
第6章 質問する文化を築け
第3部 リーダーが知っておくべき質問のこつ--いつ、どのように質問すればいいか
第7章 質問を使って、部下を率いる
第8章 質問でチームを築く
第9章 質問の力で、問題を解決する
第10章 質問を駆使し、戦略を立て、変化を生み出す
終 章 質問するリーダーになる
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