【これで世界情勢がわかる】
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本日ご紹介する一冊は、たった30本のYouTube動画で33万人が登録、総再生回数3000万回を記録した謎の人物、社會部部長さんによる地政学の本。
国際情勢が目まぐるしく変わるなか、さすがに地政学の本ぐらいは読んだという人も、ぜひこの本は読んで欲しい。
それぐらい、面白い本です。
著者は地政学の説明をする前に、こんなわかりやすい例えを用いています。
<地理が「檻」だとすれば、国は「囚人」です。囚人に何ができて、何ができないかを知るには、まず檻の形を知らなければならないのです>
そして、世界を海洋国家と大陸国家に分け、じつはアメリカは攻撃に弱く、防御に強い海洋国家であること、覇権国はユーラシア大陸にしか現れないことなどを説明します。
また、マッキンダーの理論を挙げ、なぜロシアとドイツが世界にとっての潜在的な脅威なのか、地政学的な説明を試みています。
構成的には、1章がアメリカ、2章がロシア、3章が中国、4章が日本と、じつにシンプルかつ日本人が知りたいことだけが詰め込まれた構成。
歴史雑学もたっぷり盛り込まれており、読んでいてワクワクする一冊です。
巷で言われているほど、安全保障って単純じゃないんだなということがよくわかり、不要な心配事が減るので、読んでおくと精神的にもいいかもしれません。
各国の思惑と懸念がわかれば、何か起こった時、それが戦争に発展するかどうかが瞬時にわかる。
それによって、ビジネスや投資の判断も俊敏かつ正確になります。
ビジネスパーソンの教養として地政学が必須なのはもちろんですが、各国の目線がこうもはっきり見える本は珍しいと思います。
国防や貿易に関わる方はもちろん、投資家、ビジネスパーソンにとっても、じつに有益な一冊だと思います。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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世界は海と陸で二分されています。この事実が、世界の国々を海洋国家と大陸国家に分けています
アメリカが「怖い国」ではないのは、2つの大洋に隔てられているおかげ
勢力均衡を全世界規模で保つために大事なのは、1つの国が強くなりすぎないようにすることです
「覇権国」の成立を防ぐため、国々は「対抗連合」を形成して「潜在覇権国」を封じ込める
国際社会でも、相手の意図が曖昧なほど戦争の可能性は高まります
近い国同士はお互いに攻撃される可能性が高いので軋轢が生じ、遠い国同士では攻撃される可能性が低いので協力ができます
ある研究によると、1815年から1976年までの間に起こった軍事対立のうち、3分の2が陸で国境を接するか海で240km以下しか隔てられていない国同士
海を超えて大国を侵略できた事例はほとんどありません
海洋国家は、元来防御に強い傾向
大陸国家は攻撃に強く、防御に弱い
大陸国家にとって最善の防御策は、領土拡大となります。領土拡大を通して他国を少しでも遠ざけることで、「戦略縦深」という名の人工的障壁を獲得するのです
海を挟む国同士は防御有利なので協力、反対に陸で繋がる国同士は攻撃有利なので対立します
覇権国が出現し得る唯一の大陸がユーラシア大陸
マッキンダーは「ハートランドを制する者が世界を制する」と述べました。なぜなら、ハートランドは資源が豊富で、かつリムランドの全方位に攻撃できる位置にあり、海洋勢力が海軍で攻撃できない奥地にあるからです
アメリカを根底で動かしているのは、「大陸の勢力均衡を保たなければ生存できない」という防衛本能
貿易量で測れば、マラッカ海峡はアジア地中海で一番どころか、世界で一番重要な海峡に間違いありません。マレー半島とスマトラ島の間に開いているこの海峡は幅が狭いところで2.7kmしかなく、平均水深も25mと浅いため、大型船は真ん中の比較的深い帯を慎重に航行しなければなりません。そのため事故や海賊行為、あるいは特定の国の悪意でこの海峡が一時的にでも閉鎖されることは十分起こり得ます。特に中国は海峡の閉鎖を恐れます。何しろ、ここは中国の総貿易量の60%と、輸入天然ガスの70%が通る、中国にとっていわば喉
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今までいろんな地政学の本を読んできましたが、本書が一番読み応えがありました。
地形とそれゆえに生じる恐れや制約、生きのびるための戦略、実際に過去に起きたことと、その影響…。
覇権国が必ずユーラシア大陸から生まれること、アメリカがじつは弱い国であること、ロシアと中国が完全には仲良くなれない理由など、これまでに見えなかったさまざまなことが見えるようになります。
ぜひ、読んでみてください。
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『あの国の本当の思惑を見抜く地政学』社會部部長・著
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◆目次◆
序 章 今、地政学を学ぶ意義
第1章 アメリカ 強そうで弱い国
第2章 ロシア 平野に呪われた国
第3章 中国 海洋国家になろうとする大陸国家
第4章 日本 大陸国家になろうとした海洋国家
終 章 地政学から学べること
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