【これは面白い。飲酒の科学】
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最近は、アルコールの悪影響が認知され、機会は減ってきてはいるものの、いまだにビジネスとお酒は、切っても切れない関係。
ビジネスパーソンたるもの、自分を守る手段として、また酒場でのうんちくとして、「お酒の科学」について学んでおきたいものです。
本日ご紹介する一冊は、酒好きのジャーナリストで、周囲に酒で健康を損ねた人間も多いという葉石かおりさんが、22人の専門家に、お酒と健康についてインタビューした一冊。
脳には、血液脳関門(ブラッド・ブレイン・バリア)という有害物質をブロックする機能があるのに、なぜアルコールはそこを突破できるのか、なぜわれわれはアルコールを美味しいと思うのか、冒頭から知的好奇心を掴まれました。
基本的には、アルコールが病気を引き起こすメカニズムや、どうやって健康を管理するかを書いた内容ですが、酒好きにとっては、なぜ美味しいと思うのか、もっと美味しく飲むにはどうすればいいのかを説いた内容でもあります。
著者の葉石さんのお酒への思い、できれば好きなお酒を続けながら健康になりたいというスケベ心も手伝って、じつに読者(酒好き)に寄り添った、素晴らしい内容に仕上がっていると思います。
病気や酒に関する科学的知識、最先端の健康チェック方法にも切り込んでおり、さすがお酒専門のジャーナリスト。
純粋に読み物として、最後まで楽しく読むことができました。
酒好きは、全員読んだ方がいい内容だと思います。
登場する専門家は、ユーロフィンQKENマネージャーの肥田崇さん、生理学研究所名誉教授の柿木隆介さん、筑波大学准教授の吉本尚さん、都立駒込病院消化器内科の小泉浩一さん、順天堂大学教授の山岸良匡さん、琉球病院副院長の真栄里仁さんなど、計22名。
さまざまな視点からアルコールのリスクと健康管理方法が語られており、とても勉強になりました。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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人は空腹だと甘いもの(糖分)を欲します
体が疲れているときは酸っぱい(酸味)が欲しくなる
ストレスがたまると、人は苦味を感じにくくなり、苦味を欲する
酸味と苦味は温度が低いほど感じやすい
香りを味わうなら10℃前後で
「脳には血液脳関門(ブラッド・ブレイン・バリア)と呼ばれる“脳の門番”があり、脳にとって有害な物質をブロックしています。そのため、分子量500以下の低分子の物質や、脂溶性の物質に限って血液脳関門を通過することができます。アルコールは、この2つの条件を満たしている(エタノールの分子量は46.07)ので、やすやすと脳に到達できるのです」(柿木氏)
「アルコールによる影響が出やすいのは、脳の中でも前頭葉、海馬、小脳の3つ。このうち、最初に影響を受けるのは前頭葉です。前頭葉は理性を司っている部位で、お酒が進むと、日ごろ理性でこり固まった前頭葉が解放されていくわけです。もし脳自体がアルコールを欲しているのであれば、脳は実は前頭葉を解放したいのではないか、なんて思ってしまいますね」(柿木氏)
「高血圧のリスクを上げるのは、飲酒以外に、肥満、塩分のとり過ぎ、睡眠不足、運動不足など」(山岸氏)
「日本人は塩分の摂取が多い傾向にあります。私たち日本人の主食は昔から米で、塩分の多い漬物や塩蔵した魚などを一緒に食べてきました。塩分過多になると血液中に多くのナトリウムが入り、その濃度を一定にするために、腎臓でナトリウムを尿に出すために血圧が上がることが主なメカニズムだと考えられています」(山岸氏)
「実はサプリメントは、肝臓の仕事を増やしています」(野口氏)
度数の高い蒸留酒を飲むと中性脂肪が上がる
「二日酔いのときはまず、オレンジジュースを飲むことをお勧めします。オレンジジュースに含まれる果糖は、ゆっくりと血糖値を上げ、アルコール分解を促す効果があります。また脱水も解消してくれるので、一石二鳥です」(中野氏)
「花粉症の方がお酒を飲むと、症状は間違いなく悪化します。お酒を飲むと、アルコールによって、体の毛細血管が拡張するからです。このとき、鼻の粘膜が腫れ、一層敏感になり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった花粉症の症状がひどくなります」(大久保氏)
激しい運動や脱水も痛風のリスクに
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健康でいたい、でもやめられない、できればもっと美味しく飲み続けたいという読者の悩みを99%理解して書かれた、「まさにこれが欲しかった」と言える一冊。
サウナ好きの編集者がなぜ痛風になったのか、その理由もよくわかりました。
ぜひ、読んでみてください。
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『なぜ酔っ払うと酒がうまいのか』浅部新一・監修 葉石かおり・著 日経BP
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◆目次◆
はじめに
第1章 体に悪いはずの酒が「うまい」と感じる科学的な理由
第2章 こうして「酒は健康に悪い」と言われるようになった
第3章 あなたの肝臓が限界かどうか知る方法
第4章 酒を飲むなら筋トレしたほうがいい理由
第5章 飲み続ける人が必ず受けたい病気を早期発見する検査
第6章 楽しく飲んで健康になる方法
第7章 そうだったの? 飲むと影響を受ける体のアレコレ
第8章 読むと怖くなる? 病気と酒の話
参考文献
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