【痛快な一冊。】
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本日ご紹介する一冊は、スタートアップ企業のAppReSearch(現PKSHA Technology)を上場させたAIの専門家であり、2021年にマネックスグループの取締役、2023年には「第22回『このミステリーがすごい!』大賞」で大賞を受賞した作家、山田尚史さんによる、注目の自己啓発エッセイ。
※参考:『ファラオの密室』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4299049314
AI研究者だからこそ見えるテクノロジーの行方、社会の変遷、それに対する問題意識が書かれており、そこにわれわれがどう対応していけばいいか、生き方、働き方のヒントが書かれています。
・「5分にまとめられた映画」は映画か
・現代のビジネスは瞬間的なドーパミンの奪い合い
・SNSで有名になることは本当に価値があるのか
など、われわれのSNSとの付き合い方、行き過ぎたアテンションエコノミーの弊害が書かれており、仕事人として本来やるべきこと、AIに脅かされない働き方のヒントが書かれています。
とはいえ、単に説教くさいことが書かれているのではなく、情報化社会、テクノロジー社会、資本主義社会において成功を収めるためのリスクの取り方、時間の使い方、人との付き合い方など、新しい時代における処世術が書かれており、現在のインターネットエコノミーの中で、経済的成功、人間的成功を収めるための現実的な考え方が説かれています。
著者は、上場によって約100億円の資産を得たようですが、金銭的成功を収めてわかった、自己実現、人間的成功のヒントが書かれています。
興味深いのは、作家に挑戦し、成功したからこそわかる、創作の奥深さと人生の醍醐味が書かれていること。
<「AIが書いた無料の小説が10万冊分あります!」と言われて、あなたはそのうち1冊でも読むだろうか?>という問いかけは、創作の奥深さを教えてくれる、画期的問いかけだと思います。
また、人生において斜に構えることをやめること、報われないかもしれないという恐怖を乗り越えることなど、これからの時代において大事な心構えも書かれており、生き方の指針としても、有用な内容です。
さっそく、本文の中から気になる部分を赤ペンチェックしてみましょう。
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令和の世には夢が足りない
一般化された仕事のコストはゼロに近づく
結局、普通では難しいことすらAIがこなせてしまう未来においては、金銭的な評価と別の部分、例えば人と人とのつながりや納得感といった、IQではなくEQ(心の知能指数)で価値を出す部分でしか、人間の働く余地はなくなってしまうということになる。となれば、様々な教養を身に付けたり、外見を磨いたりして、人間としての魅力を備えることの価値は今以上に増していくだろう
労働は(一部のつらい仕事を除いて)徐々に義務から特権的な行為に変わっていくだろう。経済界やコミュニティに対して価値を生み出し、貢献を通じて達成感を得ることができる人の数は、今より少なくなっていく
自動化された世界で、あなたの仕事は「ボトルネック」を探すこと
AIに創作ができないと考える理由
・創作という行為の本質は作者の意思の表出にあると思うから
・AIがいくら小説を出力しようと、それを読む人間がいないと思うから
それぞれの作品には、適切な長さというものがあるのだ
時間をかけて、助走をつけて得られるカタルシスの最大値は、ファスト映画では決して得られないもの
良かろうが悪かろうが数分で終わるファスト映画は、なるほど時間の浪費というダウンサイドも小さいかもしれない。だが同時に、感動というアップサイドも小さいのだ
本来自然界には存在しない、瞬間的に画面が切り替わり眼や脳を刺激するコンテンツは、人の神経系を巧みに興奮させ、それをもっと欲しがらせる
報われないかもしれない、という恐怖を乗り越える
世の中には期待値がマイナスでも、他の選択肢では得られないほど大きなリターンを得られるものが存在する
SNSで「何者かになる」ことはあなたの人生の最終目標だろうか
「やった方が得する」と、「やるべきである」は明確に異なる
斜に構えていると損をする
資本主義的成功は、人生の最終目標ではない
資本主義を家庭に持ち込んではならない
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タイトルから中身がわかりにくい本ですが、読んでみて、これは現代人必読の一冊だと思いました。
読めばスマホを置き、Xの時間を減らし、今すぐ自分の天職に取り組みたくなると思います。
AIの脅威を忘れ、SNSの誘惑も忘れ、大事なことに取り組む。
そのために必要な考え方と行動が書かれた一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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『きみに冷笑は似合わない。』山田尚史・著 日本経済新聞出版
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◆目次◆
はじめに 令和の世には夢が足りない
第1章 本当のところ、AIで世の中はどれぐらい変わるのか
第2章 タイパにとらわれず、時間割引率を見直す
第3章 SNSの荒波を乗り越える方法
第4章 フェイクとハルシネーション時代のコミュニケーション術
第5章 経営者になってわかった、成功するための心構えとスキル
第6章 自己責任主義の功罪
おわりに 大切なのは、自分の人生を一生懸命生きること
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