2022年8月2日

『ニンジンの奇跡 畑で学んだ病気にならない生き方』赤峰勝人・著 vol.6051

【循環する生き方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062725835

本日ご紹介する一冊は、われわれに循環型社会をつくるためのヒントを与えてくれる一冊。

著者は、大分県臼杵市で無農薬、無化学肥料の「循環農法」で野菜を育てるカリスマ的百姓、赤峰勝人さんです。

1986年に組織した「なずなの会」や「百姓塾」を通じて、全国に弟子を持つ、この業界の第一人者です。

土井も先日、大分県臼杵市を訪れた際、氏が経営する自然食品店「なずな」を訪れましたが、そのこだわりと品揃えに驚きました。

本書『ニンジンの奇跡』は、食や健康に関心のある方はもちろんですが、真にサステイナブルな社会、産業とは何かを考えるすべての人に、体験的ヒントを与えてくれます。

われわれは生産性を上げようとする時、つい土の上ばかりを見てしまいますが、真に生産性を上げようと思うなら、組織の待遇や教育、心理的安全性が大事ですし、それを支える組織や社会、国の力も大事です。

本書のなかで著者は、作物を育てる土壌の大切さと、それを作っている微生物や雑草、虫、そして過去に死んだ生物へのリスペクトを促しています。

「傲慢」の「傲」という字は、「人が土から放れる」と書く

知識人が現場から離れた社会に、未来はありません。ぜひ教養として読んでみてください。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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私たちは自然からすべてをいただいています。自然の循環の大きな環の中で生かされています。そのことを知れば知るほど、謙虚にならざるを得ません。人はみなこのことに気づいて謙虚に日々を送れることが幸せではないでしょうか

見よう見まねでつくったトマトですが、見事なほど大きな実をつけ、大成功をおさめました。それは先祖代々受け継いできた畑の土が、まだこのときは生きていて、それほど農薬や化学肥料に汚染されていなかったからなのですが、愚かにもそのことに気がつきませんでした

「傲慢」の「傲」という字は、「人が土から放れる」と書きます。まさに私は土を忘れて、農薬や化学肥料に頼りすぎていたのです

いったいどれくらいの命が、生きた土の中にいるのか考えたことがありますか?一説によると、だいたい畳二枚分くらいの土の中に、約一〇キログラムの虫や微生物がいるといわれています。これだけの生き物がいて、初めて土は「生きた土」となり、命たっぷりの作物を育てて、私たちに元気のエネルギーをくれるわけです

命は次々とリレーされ、新しい命につながっています。だから目の前のニンジン一本の中にも、遠い昔に死んだ草や虫や鳥やけものや人間や、数えきれないほどの命が含まれているのです

食べ物に長い旅をさせてはいけないのです。陰陽を知り、旬を知り、身土不二を知って、本当の食べ物を食べる習慣を身につけてください

「塩」という字を見てください。土偏がついています。塩のもとが土からきていることを、昔の人はちゃんと知っていたわけです

人間中心の見方をしていると、自然の循環が見えてきません。でも、植物や自然から見ていくと、世界は違った見え方をします

森の再生、田畑の再生を行い、母なる海を生き返らせてこそ、真の循環

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知人の紹介で軽い気持ちで読んだ本ですが、ぐいぐい引き込まれてしまいました。

あくまで著者の体験、意見が中心の本であり、賛否両論あると思いますが、自然への畏敬の念を持つこと、循環型社会を目指すことには全面的に賛成です。

より良い社会構築のヒントに、また生き方のヒントに、ぜひ読んでみてください。

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『ニンジンの奇跡 畑で学んだ病気にならない生き方』赤峰勝人・著 講談社

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◆目次◆

第一章 百姓が天職
第二章 アトピーが問いかけてくるもの
第三章 なずな流の食事法
第四章 命を支える塩の話
第五章 循環の中に生かされる

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