2022年5月17日

『未来実現マーケティング』神田昌典・著 vol.5997

【神田昌典氏、社会変革のマーケティグを説く】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569851053

本日ご紹介する一冊は、マーケティングコンサルタントとして絶大な人気を誇る神田昌典氏が、ベストセラー『2022ーーこれから10年、活躍できる人の条件』以来、ひさびさに放つ本格論考。

※参考:『2022ーーこれから10年、活躍できる人の条件』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569797601

現実に2022年になった今、かつて金儲けに明け暮れていた人間が蔑まれるようになり、われわれは著者が予言した通りの未来を生きているわけですが、本書ではさらに進んで、社会変革の時代に活躍するためのマーケティング思考について述べています。

序章のトビラに「Marketing×SDGs」と書かれていますが、これこそが本書のコンセプトで、われわれがSDGsの17の目標を達成するために、マーケティングのどのアイデアが有効か、事例も含めて解説されています。

実際に社会変革のヒントにもなりますが、そこはさすが神田昌典氏。実業家にとっては、現在のビジネス環境できちんと結果を出すためのビジネスモデルや集客の考え方が説かれています。

社会変革に関わる人も、なぜ社会変革を目指して頑張っても良い結果が出ないのか、その理由がよくわかると思います。(確かに、寄付をしてくれる善良な人に出会うのには、獲得コストがかかりますよね)

読者は、本書でSDGs実現の思考実験をしているうちに、「逆転ポジショニング」や「上映会マーケティング」、「VIPプライス」「ザ・モデル」「コネクテッド戦略」「診断マーケティング」など、さまざまなマーケティングのコンセプトを学ぶことになるでしょう。

このことは、ビジネスに役立つだけでなく、自分の理想を実現するための未来の実行力につながるはずです。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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「逆説の10カ条」からもわかるように、この世の中は、実現する価値があることほど、潰そうとする圧力がかかる

価格とは、格に値すること。0円の提案には、タダでもらおうとする格(クラス)の人たちが集まってくるし、100万円の提案には、お金以上の何かを求める格(クラス)の人たちが集まってくる

逆転ポジショニング
今までは施される側だったものを、逆に、施す側の上に立たせることで、価値を創出する方法。他の事例としては、「赤ちゃんを育てる」から「赤ちゃんから学ぶ」へ転換したNPO法人ママの働き方応援隊が展開する「赤ちゃん先生」がある

上映会マーケティング
社会課題を扱う映画や映像作品の上映権を販売することで、その作品テーマへの賛同者を集めることができる

悲しいことに、単発の寄付キャンペーンは、たいてい赤字に終わる。一人のお客様を獲得するコストのことをCPA(「顧客獲得コスト。Cost per Acquisition)という。もちろん、CPAが低いほど利益は増えることになるが、寄付金のCPAは非常に高い。何も見返りがないのにお金を寄付してくれる善良な人に出会うためには、最低でも一人当たり3~5万円程度のコストがかかると想定したほうがいい

コネクテッド戦略
24時間365日、顧客データへ高頻度でアクセスできる環境をつくることで、その顧客にぴったりのサービスを、ぴったりのタイミングで提供できるようにする戦略

よくできたコンセプトには、次の三つの要素がある。
・誰が(強い欲求)
・何をきっかけに(新しい仕組み)
・どうなった(大きな可能性)

今まであまり評価されることがなかった不透明な市場に、評価基準をつくると、一気に市場が拡大する

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未来を創るために、ビジネスパーソンが身につけるべきマーケティング技術とは何か。

本書には、その思考法や技術の詳細が書かれています。

著者自身の成熟と、切れ味鋭いマーケティング思考の両方が楽しめる、読み応えある一冊です。

ぜひ、読んでみてください。

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『未来実現マーケティング』神田昌典・著 PHP研究所

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569851053

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B09ZXT2LVR

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◆目次◆

序章 トップリーダーへの手紙
SDGs17の目標を、マーケティングで解決する
SDGs1 貧困をなくそうーーホームレスから学ぶ「逆転ポジショニング戦略」
SDGs2 飢餓をゼロにーー自らの価値を確実に届ける「ザ・モデル」というフレーム
SDGs3 すべての人に健康と福祉をーーコネクテッド戦略で、すべてのビジネスが健康と連動する
SDGs4 質の高い教育をみんなにーーロングテール戦略により、教育の進化が始まる
SDGs5 ジェンダー平等を実現しようーー実現の突破口になる「ちょっとしたプロジェクト」とは?
SDGs6 安全な水とトイレを世界中にーー協力者を集める「パワーコンセプト」
SDGs7 エネルギーをみんなに そしてクリーンにーー社会的大義は、お金にならない?
SDGs8 働きがいも経済成長もーー読書会は、繁栄する国づくりの原動力
SDGs9 産業と技術革新の基盤をつくろうーー第4次産業革命の突破口は、ダッシュボード
SDGs10 人や国の不平等をなくそうーービジコンが不平等を解決する
SDGs11 住み続けられるまちづくりをーー繁栄を持続させる、最強のマーケティング戦略
SDGs12 つくる責任 つかう責任ーー重くならない、責任の担い方
SDGs13 気候変動に具体的な対策をーー1.5℃の呪縛
SDGs14 海の豊かさを守ろうーー複雑に絡みあった問題を解決する「逆算思考」
SDGs15 陸の豊かさも守ろうーーNFTで、森がお金に変わる
SDGs16 平和と公正をすべての人にーー「シャドー」を直視すれば未来が変わる
SDGs17 パートナーシップで目標を達成しようーークリエイティブペアをつくるには?
あとがき 最後にお伝えしたいこと
巻末資料 対構造としてのSDGs

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