2022年5月19日

『フィンランドはなぜ「世界一幸せな国」になったのか』岩竹美加子・著 vol.5999

【5年連続幸福度No.1】
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本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『フィンランドの教育はなぜ世界一なのか』の著者、岩竹美加子さんが、ウェルビーイングを尊重するフィンランドの社会システムを紹介した一冊。

※参考:『フィンランドの教育はなぜ世界一なのか』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106108178

著者は、アメリカの大学院でフィンランド出身の夫と知り合い、1991年より30年以上にわたりフィンランドで暮らしているヘルシンキ大学の教授。

統計や制度的観点から、日本とフィンランドの社会システムの違いに切り込み、時に厳しく日本の政治や制度を批判しています。

単に金銭面で手厚い、というだけでなく、ベースに「ウェルビーイング」や「人間尊重」の視点があるフィンランドから、日本は多くを学べると感じました。

持ち家購入のサポート、労働時間の短縮、行政手続きの簡素化、別姓、同姓、複合姓、創姓から選べる制度、ICT教育、出産・育児のサポート、ジェンダー平等への取り組み…。

日本との比較を読んでいて、「日本は本当に先進国なのだろうか」と疑問を持ち始めました。

読んでいて気づいたのは、住居などの生活の基本がしっかりすることで、社会の安心感が高まるということ、また日本国憲法が定める「国民の三大義務」は、見直す必要があるのではないかということ。(ウェルビーイングにつながっていないという点と、手段が目的化しているという点で。ちなみにフィンランドは納税と国防義務)

なぜ日本で過労の問題が起こるのか、なぜ勉強嫌いといじめが発生するのか、「そりゃそうだろ」という気になりました。

ジェンダー平等に関しては、もう散々な言われようですが、まあ、これが現実ですよね。

SDGsの目標達成のためにも、この痛い指摘は、ぜひ読んでおきたいところです。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

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80年代のフィンランドは、「北欧の日本」と自称するほど経済成長していたのだが、洋服は古くならない。昔の服やセカンドハンドで買った服を着るのは普通だった。女性も毎日、服を取り替える必要はなく、連日、同じ服でも構わない。消費的ではない反面、住居など生活の基本がしっかりしていた

フィンランドの教育は無償で強い平等思想を持ち、社会的な格差を減らすことは目的の一つだ。それは、格差を広げる新自由主義に抵抗するものでもあるのだが、世界の教育ランキングという新自由主義的な行為によって評価されたのは皮肉でもある

日本では、福祉は社会的弱者に対する上からの公的なサービスや施しを指し、困窮したときに受けるものと理解されている。しかし、フィンランドのウェルビーイングは、自分の体感から発して社会と国家につながっていくものだ

フィンランド政府は住まいの安全を進めるために40歳以下で最初の家を買うことを奨励していて、家購入の敷居は日本よりずっと低い

フィンランドでは、人間関係としてパートナーが中心で親子関係より優先される

フィンランドの保険の教科書は、「自分のジェンダーとセクシュアリティを生涯固定してしまう必要はない(中略)。さまざまな人生の過程において(中略)揺れ動いて構わない」と教えている

働く人の権利とウェルビーイングを重視する立場から、フィンランドでは派遣という働き方には否定的だ

フィンランドは朝が早い。スーパーは、朝6時か7時には開く。会社やオフィスは、8時から4時勤務が多い

サマーハウスやヨットを持つのはお金持ちというわけではなく、普通の人も持っている

日本の分娩は、60年代のフィンランド

「国民の健康」は国家の義務

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本書のタイトルを見て、「手当てが厚いから、そりゃ幸せになるだろ」と思った人がいるかもしれませんが、どうやら違うのは、根本的な思想のようです。

ウェルビーイングを実現するための根本的な考え方の違い、社会制度設計のヒントが書かれた一冊です。

ぜひ、読んでみてください。

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『フィンランドはなぜ「世界一幸せな国」になったのか』岩竹美加子・著 幻冬舎

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◆目次◆

第1章 自己責任ではない「働き方」
第2章 デジタル化で効率を上げる
第3章 教育は貧富に関係なく受けられる
第4章 フィンランドでの出産
第5章 男性にも女性にもやさしい子育て
第6章 安心できる医療・介護システム

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