2022年5月13日

『インフレ不可避の世界』澤上篤人・著 vol.5995

【インフレに備えよ。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756922066

本日ご紹介する一冊は、高まるインフレ懸念を背景に売れている、さわかみファンド創設者、澤上篤人さんによる資産運用指南本。

出されたのは3月ですが、現在の世界経済の状況を見事に言い当てており、今後どう資産を守ればいいのか、どうすれば来たるべき危機に備えられるのか、経済指標や歴史的視点から見たヒントが書かれています。

インフレが起きる予兆、いったん起こったら何が連動して、どの資産が下がるのか…。

インフレのメカニズムや過去に起きた例などを説明しながら、今後何を想定しておくべきか、丁寧かつ詳しくアドバイスしています。

現在、投資している人にとっては、「ほとんどの金融商品は売っておこう」という著者のアドバイスは、衝撃かもしれませんね。

もちろん、保有しておくべき資産もあり、本書ではその説明もしています。

長期投資をモットーとする著者らしい視点だなと、改めて感銘を受けました。今後の投資の参考にしたいと思います。

出されたタイミングから見て、本書はインフレに備え、自分のポートフォリオを見直す、最後のチャンスになるかもしれません。

ぜひ、読んでおくことをおすすめします。

さっそく本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

—————————-

いつのバブル崩壊でも、巨額の投資損や評価損が発生し、不良債権の山を築く。同時に、あれほどのカネ余りが、ウソだったかのような現金不足が経済の現場を襲う。それが、深刻な信用収縮と金利の急上昇という事態を引き起こす

物価上昇に賃金アップが加わってくると、否が応にもインフレに対する警戒感は高まる一途となる

日本銀行(日銀)が発表した昨年12月の企業物価指数は、前年同月比で8.5%上昇した。その1カ月前、昨年11月には前年比9.2%の上昇で、これは1980年12月に記録した10.4%上昇からすると、41年ぶりの高い伸びである

エネルギーをはじめ諸物価の高騰に対して、消費者の購買力がとても追いつかない。いつのインフレ時でもそうだが、生活コスト全般の急騰に直面し、給料などの上昇は、まったくついていけない(中略)かくして、消費が大きく落ち込み、経済はマイナス成長を余儀なくされる。これが、コストプッシュ・インフレの怖いところだ

どこかでボトルネックが発生すると、世界中に飛び火して別の形のボトルネックとなっていく。たとえば、港湾での荷上げが渋滞すると、貨物船やコンテナ不足につながっていく

バフェット指標から判断するに、米国株は超のつくほど割高になっている

さらにやっかいなのは、株式ETFというパッケージ商品を売却することだ(中略)ETFという株式パッケージを売るとなると、日銀が日本株全般を売るというメッセージを市場に発信してしまう

(1970年代の米国では)諸物価の高騰で、金利は跳ね上がった。当然のことながら、債券価格は暴落に次ぐ暴落となった

ほとんどの金融商品は売っておこう

債券は金利と逆連動するから、バブル高が続いているいまのうちが、最後の売り時と考えよう

残しておいていい一部の株式とは?(中略)人々の毎日の生活を支えてくれている企業群だ

—————————-

現在、世界経済で何が起こっているのか正しく把握していない人も、丁寧な解説で、現状が理解できると思います。

後半は、著者のお約束である長期投資のすすめですが、今回の本はより社会性が強く打ち出されている気がします。

脱炭素化やESG投資への辛口批判は、歯に衣着せぬ物言いの著者らしく、痛快そのものでした。

ぜひ、読んでみてください。

———————————————–

『インフレ不可避の世界』澤上篤人・著

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756922066

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B09V7SW1MV

———————————————–
◆目次◆

第1章 今回のインフレ、甘くみてはいけない
第2章 金融緩和バブル、崩れは近いぞ
第3章 露呈しだした張りボテ経済の限界
第4章 金融緩和策、なんだったのか?
第5章 バブル崩壊、インフレ、財政危機
第6章 世界の運用の「常識」が総崩れに
第7章 長期投資の復活
第8章 年金問題、こうすれば解消できる
第9章 バブル崩壊とインフレ襲来、どう乗り切るか
第10章 「お金をまわす文化」を高めよう

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー