2021年4月13日

『仕事と人生』西川善文・著 vol.5735

【ラストバンカーの遺言。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065218411

本日ご紹介する一冊は、惜しまれながら2020年に亡くなった、三井住友銀行元頭取、西川善文さんの遺言と言える一冊。

2013年11月から2014年2月にかけて行われたインタビューをもとに、編集部がまとめたものらしく、内容は「仕事ができる人」「部下がついてくる人に」になるための心構えです。

著者の記憶力が素晴らしいのか、きちんとメモを取っていたのかわかりませんが、自身のキャリアに起こったこと、お世話になった方の名前やエピソードをつぶさに記録しており、じつに勉強になりました。

ここまでしっかりご恩を覚えているからこそ、出世できたのでしょうね。

キャリア術としては、一つ得意なことを作って、それを次のキャリアにつなげる、徐々に大きな仕事を任されるようになるステップが、参考になると思います。(著者の場合、得意なことは粉飾決算を見抜くことだった)

また、著者が諸先輩方から受けた薫陶や、本などで読んだ内容も書かれており、その多くは読者のキャリアや人生に役立つのではないでしょうか。

キャリアの多くは偶然に基づくものだと言われますが、それでも人のキャリアを疑似体験することで、何か大切なことがつかめると思っています。

一つのキャリアで頂点に上り詰めた著者だからこそ語れる、貴重な教訓。

さっそく、本文の中から気になった部分を赤ペンチェックして行きましょう。

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仕事ができる人の資質とは何か。一つ挙げるとすれば「頭の中をきちんと整理整頓できる」ことが大事だと私は思う。仕事にはいろいろな要素がある。そのすべてをクリアしようなどと欲張らず、整理整頓してみる。そして「本質は何か」を考える。言い換えると、その仕事のツボがどこにあるかをつかむのである

見落としがちなのは「自分ができること」と「自分ではできないこと」「自分でやるには難しいこと」を区別する視点である。(中略)仕事にはスピードが求められる。時間に制限があって間に合わないと判断し、他の人の力を借りることが可能であれば「できないこと」と「難しいこと」は助力を求めたほうがいい

頭取就任時のスピーチ草稿に「経営は、失敗を全体として一定範囲内(経営として許容できる範囲内)」に収める技術ともいえる。完ぺき主義、満点主義からは何も生み出せない」と加筆した。失点ばかりを気にしていたら得点できなくなる

得意分野を持つと言っても、その内側に特化するのではなく、得意分野を軸として仕事を広げていくことが大事

決断を主導するのは組織の長だけとは限らない。「これだ」というものを見出して、その方向にまとめる。決まったら、それに四の五の言わせない。失敗したときに責任は自分が取ればいい。これができる人ならば、一番上の立場でなくても、組織を引っ張っていける

一つ上の立場で考えるかどうかで差がつく

なすべきことをきちんとやっていれば、必ず人の目にとまるときがくる

部下の失敗をくどくど追及しない

「言葉は八分にとどめ、二分は考えさせるのがいい」(伊庭貞剛)

「誰が言ったかではなく、何を言ったか」という基準を、トップが組織に浸透させておくことが大事

人を切る勇気を持つ

特別な人脈より有効な人脈を持つ

相手が苦しいときこそしっかりした提案を

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一つの会社に長く勤める時代ではありませんが、仕事の本質はいつの時代も一緒。

個人のキャリア構築のヒントとして、役立つ視点が示されています。

名著『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』と併せて、ぜひ読んでみてください。

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『仕事と人生』西川善文・著 講談社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065218411

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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08Y8NF71C

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◆目次◆

第一章 評価される人
第二章 成長する人
第三章 部下がついてくる人
第四章 仕事ができる人
第五章 成果を出す人
第六章 危機に強い人

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