【「全員経営」の優れた教科書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479797181

本日ご紹介する一冊は、不況をものともしないニトリの経営の強さの秘密を、会長兼ＣＥＯの似鳥昭雄氏と社員が語った、注目の一冊。

説かれている教え自体はシンプルなものですが、ともすれば忘れてしまいがちな経営の基本を、現場レベル、数字レベルにまで落とし込んで理解できる、良質な経営のテキストです。

1967年に100万円の借金を抱え、30坪でスタートした家具屋が、どうやって発展・成長し、売上高6422億円、経常利益1095億円（2020年2月期）の大企業に成長したのか。果たしてニトリはこれからも伸び続けられるのか。

本書は、その答えを教えてくれる一冊です。

会長兼ＣＥＯ、似鳥昭雄氏の教訓に続き、なんと総勢39人のニトリ社員が現場で教えをどう活かしたかがそれぞれの言葉で書かれており、ニトリの強さをまざまざと見せられた気がしました。

デキる経営者は大抵「細かい」ものですが、社員たちのコメントからは、会長が普段、いかに鋭い視点で部下たちの仕事をチェックしているかが伝わってきます。

それゆえに、応える部下たちのレベルも半端ではない。

このように日々、現場でニトリの「イズム」が発揮されているとは、正直驚きました。

社員のコメントすべてをご紹介できないのが本当に残念ですが、さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックして行きましょう。

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会社にとって何よりも大切なのは、「世のため、人のため」というロマン

成長の速さは、目標の大きさで決まる

20年、30年先を見据え、今の100倍の目標を立てるという話になると、達成したときには今とはまったく違う景色が見えてきます

成長するための原点は、過去と現在とを徹底して否定することにあります

アプリ内では店舗ごとの売場マップが示され、どの棚にどんな商品があるかがわかります。そうすることで、今までは習熟度によって従業員の作業効率に差が出やすかった品出しの作業が、入社初日の人でも完全にできるようになりました。この情報は、お客様用のスマートフォンアプリでも検索することができ、従業員だけでなくお客様の利便性も高めています（商品部　Ｊ・Ｓ）

「観察・分析・判断」をする力を磨き上げる

うまくいかなければ、「方向、方法、手順」の順で検証する

他が３か月かかることを１か月でやれば、市場で圧倒的な一番になれる可能性があるのです。他に先んじて挑戦することこそが、未来を拓くと私は思っています

経験とは年数ではありません。多くを考え、挑戦し、どれだけ失敗してきたかなのです

唯一の正義は、価格、品質、機能、色や形、何か一つでもいいから未開拓の新機軸を打ち出して、お客様にトクをしていただくことです

お客様のために一途になること、それが会社を動かす（通販事業部　Ｈ・Ａ）

他社が撤退するなか、私も会長に「失敗しました」と報告に行ったら、「絶対にあきらめるな」と返されました。他社がやろうとしてもできないことに挑戦するからこそ、それを実現できたとき、今までにない価値ある商品になると叱られました（商品部　Ｏ・Ｋ）

伝達、指示には「目的、道具、動作、手順、期限」を必ず入れることが重要

新しい提案は３つ、松竹梅ではなく、「松を３つ」出す

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「おわりに」を会長の似鳥氏ではなく、ＣＯＯの白井俊之氏が書いているのが、何とも粋ですね。

社員全員が会社の目的やロマンを理解し、現場レベルのイノベーションや改善に結びつけていく。その姿に、「全員経営」の見本を見た気がします。

これはぜひ、読んでみてください。

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『ニトリの働き方』似鳥昭雄・著　大和書房

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◆目次◆

はじめに　ニトリが大切にする４つのＣ
序　章　志で変わる仕事と人生の結果
第１章　チェンジ
第２章　チャレンジ
第３章　コンペティション
第４章　コミュニケーション
おわりに　「世のため、人のため」に終わりはない