2020年8月14日

『LEGEND(レジェンド)』マイケル・オービッツ・著 大熊希美・訳 vol.5576

【マイケル・オービッツ自伝】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822288935

本日ご紹介する一冊は、脚本家・著名人など1000人以上を抱える世界有数のタレントエージェンシーCAA(クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー)の共同創業者、マイケル・オービッツによる自伝。

一時期、ウォルト・ディズニーの社長も務め、エンターテインメント業界の重鎮として知られる人物ですが、じつは松下電器産業のMCA/ユニバーサル買収、ソニーのコロンビア・ピクチャーズの買収に関わり、2010年にはベンチャー・キャピタルも設立していることから、本書にはベン・ホロウィッツ、マーク・アンドリーセンの推薦が付いています。

『ジュラシック・パーク』『ゴーストバスターズ』『シンドラーのリスト』『レインマン』などのヒット作を手掛け、トム・クルーズやポール・ニューマン、ダスティン・ホフマン、ショーン・コネリー、マイケル・ジャクソン、ジャネット・ジャクソン、プリンス、マドンナらがクライアントに名を連ねる、ハリウッド最強のエージェント、マイケル・オービッツ。

ゼロからエージェンシーを起業した著者が、どうやって一大帝国を築くに至ったのか。その手法と交渉術には目を見張るものがあります。

ハリウッドスターたちとの裏エピソードもたっぷり掲載されており、映画ファンなら、2倍楽しめる内容だと思います。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックしてみます。

—————————-

実現できなければ、それはきれいごとだ。けれど実現できれば真実だ。そして、真実こそ抜群のセールストークとなる。私が将来を正確に予言したとき、クライアントたちは予言通りの結果を得て満足し、私を天才だと褒め、ほかに広める

私はいつも最悪のケースをクライアントに伝えた

CAAを立ち上げた頃から私は、過去にオスカーの5大カテゴリのどれかを受賞した作品をすべて見るという個人プロジェクトを遂行していた(すべて見終わるのに10年かかった)

コネリーが電話に出ると、私は言った。「ブランドを確立したいなら、見境なく出演を引き受けてはいけません。良い作品だけを選ぶ必要があります」。コネリーが主役の映画を一から制作したり、たくさんの選択肢を見て出演する作品を吟味したりする必要があると伝えた。もっと優秀な監督と仕事をすべきであり、我々ならそうした仕事を取れると言った。この営業トークは、スターと契約するための私の典型的な手法になった

◆CAA4つの決まり
(1)クライアントや同僚にウソをつかないこと
(2)連絡の返事は必ずその日のうちに返すこと
(3)状況を必ずフォローアップし、人を宙ぶらりんにさせないこと
(4)決して他社の悪口を言わないこと

我々は尋常でないほど働き、CAAはありえないほど仕事に打ち込んでいるというイメージをつくり上げた。会社はモメンタムがすべてだ。油断すれば、あっという間に潰れてしまう

CAAの行動規範は、注意深くあること、礼儀正しくあること、情報通であることだ。私は、CAAのエージェントはみな「引き出しが豊富」と思われるようにしたかった

争いがなければ、利益もない

「アンドリーセン・ホロウィッツ」が形になりつつある中、私は新会社を目立たせるアイデアをアンドリーセンたちに話すことにした。それは、大企業を離れフリーランスとして事業を始めるスター人材に、フルコースのサービスを提供するというものだ。これはベンチャー業界では新しいアプローチだった

—————————-

ボリュームの半分以上が、ハリウッドの著名人たちとの交遊録であり、大ヒット映画の裏舞台。

もちろん、題材のほとんどがメジャー作品、メジャー俳優・監督の話であり、決して飽きは来ないのですが、それにしてもちょっと多すぎるかもしれません。

個人的な印象としては、訳もやや読みづらく、最初、苦労しました。

とはいえ、ハリウッドのレジェンドと呼ばれた方の生涯と仕事哲学には、やはり引き込まれるものがあります。

読むのに骨が折れますが、それだけの価値はある内容です。

ぜひ、読んでみてください。

———————————————–

『LEGEND(レジェンド)』マイケル・オービッツ・著
大熊希美・訳 日経BP

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822288935/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08DQTD2T5/

———————————————–
◆目次◆

プロローグ
第1章 交渉
第2章 野心のかたまり
第3章 メールマン
第4章 良い警官 悪い警官
第5章 売上ゼロから100万ドルへ
第6章 自動車電話
第7章 ハリウッドで帝国を築く
第8章 ポール・ニューマンとの出会い
第9章 気楽に、冷静に、穏やかに
第10章 ショータイム
第11章 ジュラシック・パーク
第12章 ソニーに手を貸す
第13章 松下からの現金輸送車
第14章 ピカソ
第15章 オールウェイズ コカ・コーラ
第16章 再び松下の買収交渉
第17章 別れ
第18章 ナンバー2
第19章 シリコンバレー
第20章 紳士に
訳者あとがき

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー