2020年7月17日

『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』 佐藤智恵・著 vol.5559

【珠玉のケース集】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532264251

本日ご紹介する一冊は、16万部を突破したベストセラー『ハーバードでいちばん人気の国・日本』の待望の続編。

※参考:『ハーバードでいちばん人気の国・日本』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569827276/

著者は、NHKのディレクターを経て、コロンビア大学でMBAを取得、その後、ボストン・コンサルティング・グループ、外資系テレビ局を経て作家・コンサルタントとして独立した佐藤智恵さんです。

本書では、世界のハーバードがケーススタディに取り上げた日本企業の成功事例をまとめて紹介。

既出の内容も多いのですが、ハーバード大学の教授がケースの何に注目したのか、そこで学ぶ学生が日本企業から何を学んでいるのかは、とても新鮮でした。

紹介されているのは、ホンダジェット、コマツのコムトラックス、安藤百福とラーメンの国際化、AKB48のアジア進出、亀田製菓の柿の種、ソニーのV字回復、もはや定番ですが、トヨタの事例など。

本書を読んで、世界が日本企業のどんなところに注目しているのか、日本企業の強みがどこなのかがわかれば、今後の戦略も立てやすくなるに違いありません。

また、自社商品をグローバルブランドに育てるにはどうすればいいか、ヒントが得られる内容だとも思います。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックして行きましょう。

—————————-

【ホンダジェット】
「30年間も一つのプロジェクトに投資しつづけるなんて、非合理的だ」と言う学生もいたという。これに対して藤野社長は、次のように答えた。「たとえばあなたにお子さんがいるとして、お子さんが『大学に進学したい』と言う。大学に行かせれば4年分の学費がかかる。行かせなければその4年間、あなたの家庭の収支はよくなる。けれども、そういう基準だけで子どもに投資するか、しないかを決めますか」

次に学生が興味をもったのは、「こんなに売れているのならば、最初からもっと増産すればよかったのではないか」という点だ。これに対して、藤野社長は次のように答えたという。「航空機の生産においては、経験曲線があります。1年目から大量生産をしようとすると、最初に多くの人を雇用しなくてはなりません。でも、2年目、3年目には、知識や経験が蓄積されて、1年目よりも少ない人数で生産することができるようになります。すると、そこに余剰人員が出てしまいます。経済合理性から考えれば、『余剰人員は解雇すればいい』という判断になりますが、それはホンダの哲学に反しす

ピサノ教授は言う。「シビックもホンダジェットも『ニッチマーケット(隙間市場)』からのスタートです。問題は『このニッチマーケットを成長させられる確信があるか』です。ホンダは小型車で成功をおさめ、その後、他の車種へと製品ラインナップを広げていきました。ホンダジェットも同じような成功をおさめられるかはまだ未知数ですが、シビックの成功モデルを踏襲していることは間違いないでしょう」

【安藤百福とラーメンの国際化】
安藤は、日本では「麺製品」として販売されていたインスタントラーメンを、アメリカでは「スープ」として売り出すことにする。アメリカ人は日常的に麺を食べる習慣がないが、スープは飲む。だからインスタントラーメンはスープの一種だということを強調したのだ

【AKB48のアジア進出】
二国間の貿易額の大きさを考える際、よく使われているのが次の重力方程式だ。もともとはノーベル経済学賞を受賞したオランダの経済学者、ヤン・ティンバーゲンが提唱したものだ。この方程式によれば二国間の貿易は二国間の経済規模の掛け算に比例し、二国間の距離に反比例する。つまり国同士の距離が遠いほど、貿易額は少なくなることになる

—————————-

今は日本も変革期であり、あまり日本礼賛のコンテンツを読んで安心してもいけないのですが、やはり読んでいて誇らしいですね(笑)。

既に知っていた事例でも、事業責任者の言葉があったり、ハーバード大学教授のコメントが紹介されていたりして、改めて読み直したら、新鮮な印象を受けました。

このケース集、英語でも出していただき、日本企業の事例説明が英語でできるようになると、ビジネス現場で会話が盛り上がりそうですね。

編集ご担当の方、ぜひご検討ください。

これはオススメの一冊です。

———————————————–

『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』
佐藤智恵・著 日本経済新聞出版

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532264251/

———————————————–
◆目次◆

序章 なぜ日本はハーバードで人気があるのか
第1章 イノベーション
第2章 歴史
第3章 起業家精神
第4章 戦略・マーケティング
第5章 リーダーシップ
終章 日本の強みを自覚せよ

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー