2020年7月22日

『アマゾンで私が学んだ新しいビジネスの作り方』 太田理加・著 vol.5562

【一石二鳥?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4299006321

おそらくどの会社も同じというわけにはいかないでしょうが、少なくともアマゾンに関して言うと、倉庫の暴露本を除いては、ほぼ適切な方が書籍を書いている印象があります。

『アマゾンの秘密』を書いた松本晃一さん、『アマゾンのすごいルール』を書いた佐藤将之さん、『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』を書いた林部健二さん、『アマゾンで学んだ!伝え方はストーリーが9割』の小西みさをさん、『テレビショッピングは、なぜ値段を最後に言うのか?』の理央周さんなど、まあ納得の方々ばかりです。

本日ご紹介する一冊は、これまた出して納得、元アマゾンの新規事業開発の達人、太田理加さんによる一冊。

著者は、大学卒業後に大手石油会社、国際物流会社でマーケティングを担当。英国留学から帰国後、アマゾンに入社し、ビデオゲーム・ソフトウェアのプロダクトマネージャーを経験。その後新規ビジネス立案・立ち上げを担当し、ヘルス&ビューティーやファッションカテゴリーの事業責任者を務めた人物です。

独立後も、日本初の定額制ジュエリーレンタルサービス「スパークルボックス」を立ち上げ、今年になってからは、新規ビジネス専門のコンサルティング会社「aLLHANz」も設立しています。

本書は、そんな著者がまとめた、新規ビジネス創出のヒント集。

イノベーティブなアイデアを生むためのヒントや、反響を呼ぶプレスリリースの書き方、計画時点でのKPIの設定方法など、実践的な内容ばかりです。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックして行きたいと思います。

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イノベーションとは「一石二鳥」を狙える問題解決のこと

アマゾンは、実は、クリスマスなどピーク時以外には自社サーバーを持て余している状態でした。いわば、繁忙期は満室だけれども、閑散期はほとんどお客様がいないホテルのような状態だったわけです。「もったいないな……なんとか有効活用できないか?」と考えた結果、「他社に貸し出してしまえば良いのでは?」という結論に行き着いたのです。このAWS、現在では別会社となっていますが、アマゾングループ全体の7割前後の利益を上げる、断トツの稼ぎ頭となっているのです

フィッティングのスペシャリストには、日本のシューズメーカーがレディースシューズを製作するのに基本とする木型のサイズ、すなわち23.0cmで、足幅やアーチも平均的な女性を選抜しました。そして彼女を、私たちは「シンデレラ」とネーミングしたのです。(中略)「シンデレラ」というちょっとチャーミングなネーミングが記者さんたちにウケたのか、記事やニュースに取り上げてもらい結果としてアマゾンの革新的な取り組みと、商品の認知度が飛躍的に高まったのです

イノベーティブなアイデアを生み出す思考の切り口
1.ありえない2つの言葉を掛け合わせる
2.少し先を見据える
3.他の業界のことを自社の業界に当てはめる
4.社会のいろいろな出来事に目を配っておく
5.大きなマーケットに着目をする
6.自分が夢中な分野の問題解決を考える

計画の時点で必ずKPIを設定する

KPIは、財務のみならず、来客数や成約率などの数字でも設定しておくことが、より重要です(アクションに関わるところ)

KPIには、大きく分けてアウトプットとインプットの2種類があります。アウトプットKPIは、売上、利益、顧客数といった、結果のKPIです。それに対してインプットKPIは、そのアウトプットを出すためには、「何をすればいいか」という具体的なアクションのこと。例えば「取引先を増やすには何件営業をするか」といった数字です

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目新しいノウハウが書いてある類の本ではなく、実践家ならではの新規事業の進め方が書かれた、極めて真面目な本です。

著者がアマゾンでやった「シンデレラプロジェクト」や、独立してから手掛けた「スパークルボックス」の事例など、やった人だからこそ語れるエピソードもきっちり盛り込まれています。

「大企業が新規参入しない」という視点でビジネス創出が語られている点は、さすがと思いました。

これから起業したい方、大企業で新規事業創出したい方、新たな打ち手が欲しい中小企業経営者に、ぜひおすすめしたい一冊です。

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『アマゾンで私が学んだ新しいビジネスの作り方』
太田理加・著 宝島社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4299006321/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B08BJ3SYRN/

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◆目次◆

Chapter1 Think Innovation!
新規ビジネスとはすなわちイノベーションである
Chapter2 Develop a Mechanism!
イノベーションを起こす組織と仕組みの作り方
Chapter3 Produce Great Ideas!
新規ビジネスのアイデアを生み出すには?
Chapter4 Develop the Plan and Products!
事業計画の作り方、プロダクトの作り方
Chapter5 Scale a Business!
サービスやプロダクトを軌道に乗せる方法
Chapter6 Start with Customers!
中小企業の新規ビジネスの作り方

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