2020年5月25日

『めんどくさがりなきみのための文章教室』 はやみねかおる・著 vol.5520

【小説を読むだけで文章が上手くなる?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4864106711

本日の一冊は、小中学生に絶大な人気を誇る児童書作家であり、累計360万部の『名探偵夢水清志郎』シリーズ、累計150万部の『都会のトム&ソーヤ』シリーズなどの作品を持つはやみねかおるさんが、その文章術を公開した一冊。

作文が書けずに苦しんでいる中学2年生の主人公、文岡健(ふみおかたけし)が、10万回くらい生きていて、有名児童文学作家に指導したという猫「マ・ダナイ」に出会い、文章指導を受けるというストーリーで、確かにオビの謳い文句通り、「小説を読むだけで、文章がうまくなる本」です。

本好きならピンと来ると思いますが、文岡健(ふみおかたけし)は「ぶんをかけん」の意、10万回生きた猫「マ・ダナイ」は、おそらくあの有名絵本と小説のハイブリッドでしょう(笑)。

オビに「直木賞作家 朝井リョウ氏推薦」とありますが、その理由もおそらく以下の部分が理由かと(笑)。

「彼は、小学生の頃から、毎日200字以上の日記を書いていた。そして23歳で直木賞を取り、大作家として活躍しているよ。なおかつ、性格もルックスもいい」

「よし、ぼくも毎日日記を書くよ。そうしたら、性格とルックスのいい大作家になれるんだね!」

ルックスが良くなる保証はありませんが、作文の書き出しのポイントや、読書が上手になる4つの視点、日記を書く秘訣、書くことに気がつく4つのコツ、比喩や句読点の打ち方など、文章を書くための秘訣がじつにわかりやすくまとめられています。

「作文、メール、レポートから小説まで、これ1冊で書ける!」は誇大広告ではなかったようです。

さすが人気作家だけあって、ストーリーそのものもユーモラスで面白い。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックして行きましょう。

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◆書き出しに個性を出したいなら……

・台詞から書き始める。
「今日、寝不足なんだよね」
遠足の途中で、友達の翔君は言いました。

・景色などの情景から書き始める。
雲一つない快晴の青空の下、全校生徒200人の影が校庭を埋め尽くしていた。

・タイトルとは反対のことを書く。
『中学生になっての抱負』文岡 健
中学生になったけど、抱負はありません。

◆「文字数が足りない」問題
・事実や出来事をつけ足す

「太陽が西に沈むとき、街は、どんな風に見える?」
「…………」
「ものすごく寒い朝、頬に触れる空気は、どんな感じがする?」
「…………」
「いきなり言われても、言葉にできないだろ? でも、そんな場面を何度も読んであったら、自分の言葉で説明できるんだ。だから、たくさん本を読んだ方がいいんだよ」

◆誰よりも読書が上手になる4つの視点
・登場人物の行動や台詞、心の動きに注目する
・一番盛り上がった場面や記憶に残った場面に注目してみよう
・自分を登場人物の立場に置き替えよう
・作者はどんな人だったのか、考えよう

◆書きたいことに「気がつく」4つのコツ
・場所の変化を探してみよう
・周りの人の変化を探してみよう
・その日、あった出来事を思い出そう
・自分の好きなものや人をあげてみよう

五感を使って書くこと

気持ちは「記号」にしてから文章にすると、なぜか伝わる

◆「比喩」で伝わる力がアップする!

・直喩を使いこなそう
「まるで人間のように話す猫」
「豆腐のように柔らかい」

・暗喩を使いこなそう
「花奈ちゃんは天使だ」
「大事なことを心のメモ帳に書く」

・擬人法を使いこなそう
「雨が降っている」→「空が泣いている」
「ボールが勢いよく転がる」→「ボールが走っている」
「火山が噴火する」→「火山が怒り出す」

◆インパクト抜群の「書き出し」ができる3つのルール

・「どうして?」と思わせるような書き出し
「メロスは激怒した」太宰治『走れメロス』

・主人公の紹介から始まる書き出し
「吾輩は猫である。名前はまだ無い」
夏目漱石『吾輩は猫である』

・小説の舞台が伝わる書き出し
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」
川端康成『雪国』

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読了して、オビの裏側を見てみたら、そこに朝井リョウ氏のコメントが載っていました。

「はやみねさんの本を読み、文章を書くことが大好きになりました。文章を書く力、つまり心の形を描く力は、人生の心強い味方です」──朝井リョウ

さすが小学校教師から作家になっただけあって、教え方が上手です。ここまで丁寧に書き方を指導した本には、なかなか出合えないのではないでしょうか。

作文が苦手な子どもから、感情表現が苦手な大人まで、幅広く読める一冊ですので、ぜひ読んでみてください。

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『めんどくさがりなきみのための文章教室』
はやみねかおる・著 飛鳥新社

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◆目次◆

OPENING 文章力は、まだない。
第1章 「何を書いていいかわからない」を一瞬で解決する方法
第2章 「うまい文章」をスラスラ書く方法第
第3章 誰でも必ず小説が1冊書ける方法
ENDING 文章力は、ありがたやありがたや。
あとがき

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