2020年4月27日

『日本型リア充の研究』 古谷経衡・著 vol.5504

【日本の階級格差の実態】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4426122880

知人が富裕層向けの相続・事業承継コンサルタントをはじめ、絶好調のようなのですが、その彼から、日本の富裕層の実態をいろいろ聞かされ、参考文献として、この『日本型リア充の研究』を紹介されました。

いろいろ勉強して、不動産も購入した経験から、「やっぱりな…」という感じだったのですが、今後、この国で生きていこうと思うなら、読んでおいた方がいい一冊です。

結論から言えば、この国は既得権益者に有利な構造になっており、それを守るように今もあらゆる物事が進められている、ということです。

本書でいう「日本型リア充」とは、彼氏彼女がいて毎日楽しそうな人ではありません。有名大学を卒業して都心の大企業オフィスで働く人でもありません。東大を卒業した外資系証券マンでもなく、ITビジネスの最先端で高い給料を取っているエンジニアでもないのです。

著者が「日本型リア充」とは、上級の親族から土地を相続した世襲第二、第三世代の子弟。どんなにアホなことをやっても、その莫大な財産と地縁・血縁で守られる、恵まれた人間のことなのです。

本書では、北海道札幌市の中産階級の家に生まれ、バブル絶頂期に高値づかみでマンションを買ってしまった親を持つ著者が、この「日本型リア充」に庶民がどう対抗するかを書いた怨念の一冊。

先行き不透明な時代に、どう生きれば賢いのか、具体的なヒントが示されています。

さっそく、本書の中から気になったポイントを赤ペンチェックして行きましょう。

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この国における最大の勝者は、この国の大都市圏における土地の値段がまだ安かった時代に土地を買った土地取得の先行者たち、とその子孫である。つまり上級の親族から土地を相続した世襲第二世・第三世の子弟である

かつて本当にそういう夢のようなことが、実際にこの国にあったのである。たった五年のローンで、立派な庭付き一戸建てが都内に買えた時代が確かにあったのだ。この時に都内や大都市圏に土地や家を買った者が、この国の勝者である。つまり土地取得の先行者たちだ

Cにはまだ伸びる希望の未来が残されている。五十坪の内、その四割に当たる二十坪を分筆(土地を分割すること)して他人に売るも良し。あるいはその二十坪で小規模アパート(五戸とか六戸)を建てるも良し。そうなれば、売却するにしろアパートを経営するにしろ、Cは元手がほぼ0円で莫大な金額を手にすることが出来る

日本における富裕層(金融資産を一億円以上保有する者──二七〇万人以上存在するといわれる。つまりそれは全人口の二%にも到達する)の実態というのは大体において小規模零細の不動産経営者である

たった九・八坪の土地を買うために、三十五年間七万円を払い続ける人生を皆さんはどう思うだろうか?

大規模マンションが経年で資産としての価値がどんどん減っていく一方、その巨大な図体を維持するための修繕積立金は逆に膨らんでいくのだ。間違ってもマンションという「単なるコンクリートの塊」を買うべきではない

我が国の「田舎」では、「土地取得の先行者」が安い時期に都心で土地を買えたのと全く逆の現象が起こっているのである。つまり、バブル期に不当に高くつり上げられた土地の値段が、「何の価値もない」と正当に評価され、加えて地方の人口減少も伴って、買い手がいないからタダ同然で売買されているのだ

「田舎」では土地価格が急激に下落し、私たちこそが「土地取得の先行者」の第一世代になることの出来る可能性が高まっているのだ

「大都市の一等地に狭小なワンルームを賃貸住宅として借りる」、そしてその狭小なワンルームの外付けHDDとして「田舎に土地を買って倉庫を建てる、または倉庫になりうる古家をまるごと買う」というのは、「土地取得の先行者とその子孫」たる日本型リア充に抵抗する上で、最大唯一と言っても良い手段である

東京都を境目に、北側を埼玉県、北東側を千葉県に接しており、これが扇型の形をしていることから筆者は「住宅取得の容易い帯状の扇状地」と名付けた。これらの自治体は、東京都に直接隣接し、都市へのアクセスが一時間未満の好立地にもかかわらず、不動産の評価が不当に減額されている地帯である。具体的に言えば、埼玉県<川口市、草加市、八潮市、三郷市>、千葉県<松戸市>の五市であり、この五市の総人口はざっと一七〇万人を擁する

幸いなことに現在、「持たざる者」が「日本型リア充」に唯一正面から対抗できる手段が一つだけある。それは情報と教養だ

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個人的な見解にはなりますが、今後、若い方は東京あるいは東京郊外の「穴場」物件を買うか、リモートワークで地方のアクセスの良い土地を買うか、の二択が合理的だと考えています。

古い幻想にしがみついて、東京の土地を求めてみても、決して報われることはない。

新しい時代の生き方、不動産購入のヒントが書かれており、大いに参考になりました。

ぜひ読んでみてください。

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『日本型リア充の研究』
古谷経衡・著 自由国民社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4426122880/

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◆目次◆

第一章 「リア充」とは何か──日本型リア充の誕生
第一節 この国の勝者=真のリア充(土地取得の先行者たち)
第二節 パリピとは何か──非内省型人間
第三節 「日本型リア充」とは何か
コラム 「日本型リア充」を政治家で例えると──鳩山由紀夫
    「愚鈍な日本型リア充」──麻生太郎
第二章 土地の格差をどうするか?
第一節 どうせ家は買えないのだ。諦めろ。
第二節 田舎の土地を買い、倉庫を建てる
第三節 不足する家族向け物件と官製忖度
第四節 帯状の扇状地に八〇〇万円以下の家を買おう
コラム 「最凶の日本型リア充」──ミスター慶應強姦事件
第三章 日本型リア充を超えるとき
第一節 「大学デビュー」の幻想と非内省型人間
第二節 「持つ者」への抵抗
第三節 固着化する世襲への恐怖

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