2020年4月13日

『世界最高の教室』ダイアン・タヴァナー・著 稲垣みどり・訳 vol.5494

【ビル・ゲイツ絶賛の書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4864107564

本日ご紹介する一冊は、毎年年末におすすめの本を発表するビル・ゲイツが、2019年に選んだ5冊のうちの一冊。

「アメリカ最高の学校」(USニュース・アンド・ワールドレポート)、「最もやりがいのある高校」(ワシントン・ポスト紙)に選ばれた、「サミット・パブリック・スクール」の共同創業者が、その独自の教育を語った注目の一冊です。

この理想の学校は、当初、こんな考えからスタートしたようです。

<「もしまったく制約がなかったら、子どもたちにとって最高の学校とはどういうものか?」そう考えて出た答えは、「生徒全員が成功への準備を整えること」だった>

このサミット・パブリック・スクールでは、卒業生の100パーセントが4年制大学に入学できるだけの実力をつけることができ、かつ著者がいう「自己主導性」が身につくということですが、どうすればそんなことが可能なのか?

その独自の教育内容が、読ませてくれます。

生徒一人ひとりに必ずメンターがつく、「振り返り」を重視する、「邪魔」に屈しないようにする、生徒同士が教え合う…。

ユニークな教育法がいろいろと登場しますが、なかでも注目は、<「メンターとしての親」のためのサミット流「7つの質問」>と、同校が考える<成功するための7つの共通スキル>でしょう。

さっそく、本書の中から気になったポイントを赤ペンチェックして行きます。

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サミットでは、生徒一人ひとりに必ずメンターがついている(教師が兼任する)。メンターひとりが15人から20人の生徒を担当し、そのグループで学校生活のあいだ何度となく集まって過ごすのだ

実世界では、自分がどこを目指すかを決める「自己主導性」が必要だ。それを完成するには「振り返り力」が重要になり、メンターがその養い方を指導する

社会ではいつも邪魔が入る。だから慣れておく

たとえば産業革命であれば、それは「製品の物語」を通じて学ぶプロジェクトになる。子どもたちはある製品について、発明されてから現在どう使われているかまでを調べる。その製品の辿ってきた道を深く理解することで、産業革命のことをより広く知ることができる

生徒が自主的な学習者になるための
「5つのパワー行動」
・戦略変更
・課題探し
・粘り強さ
・妨げへの対応
・適切な助言要請

失敗するのが生産的なのは、以下2点が揃ったときだけだ。
・失敗した当人がそこから何かを学び、再度挑戦したいと動機づけられること
・その失敗が将来への扉を永久に閉ざさないこと

◆スピーキング・アウト・プロジェクト
まず、自分が情熱を感じるテーマを選び、徹底的に調べて論文にまとめる。そしてその論文をスピーチに直し、何度も何度も練習する。アダムのように、「障害物をよけるクラス」の時間にでも。そのスピーチをまずは同級生の小グループの前で行い、だんだんと対象人数を増やしていって、やがては学年全体の前でスピーチをする

自分で自分を振り返り、省察を行うときに、学びと成長が実現される

◆「メンターとしての親」のためのサミット流「7つの質問」
1.この状況で、何を求めているのか
2.どう感じているか
3.どういう態度をとっているか
4.何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのか。理由は?
5.相手の立場になって考えるとどうか? どう感じていると思うか?
6.求める結果を出すために、何ができるか
7.関係を正すために、やらなければならないことはないか

生徒同士が適切にサポートし合うと知識が増えるだけでなく、うまくいく習慣も身につく

子どもが対象に親しんでいるとパフォーマンスがよくなり、スキルが上がる

◆成功するための7つの共通スキル
・テキスト分析
・プロダクトとプレゼンテーション
・質疑
・分析と統合
・スピーキング/リスニング
・創作/ライティング
・ソースを使う

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内容が濃すぎて紹介しきれませんでしたが、200ページにある「学びのブロック積み」もぜひ読んでいただきたい。

子どもの学びがピラミッドのように積み上がっていく概念図を見ていると、子どもに今、何をしてあげるべきかがよくわかると思います。

どうやったら困難や不確実な状況に強い子どもが育つのか。今後の日本の教育・自己啓発を考える上で、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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『世界最高の教室』ダイアン・タヴァナー・著
稲垣みどり・訳 飛鳥新社

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◆目次◆

プロローグ 「卒業」はもっと意味をもつべきだから
第1部 どうして準備をするのか
第1章 昔ながらの「教育」はもう役に立たないから
第2章 立派な志だけでは不十分だから
第3章 解決できる問題だから
第2部 どう準備をするのか
第4章 まず、「勉強は先生から教わるもの」という前提を変える
第5章 一生役に立つ「自己主導性」を植えつける
第6章 メンター制度で「振り返り力」を教える
第7章 「競争力」ではなく「協力するスキル」を
第3部 生きる力をつけるツール
第8章 うまくいく習慣が身につく「学びのブロック積み」
第9章 知的好奇心を育てる「チュータリング・バー」
第10章 どんな仕事でも「成功に共通するスキル」
第11章 最高の将来へつながる「確実な進路」
エピローグ 閉ざされたドアがあれば、こじ開けて

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