2019年11月6日

『マイ・ストーリー』ミシェル・オバマ・著 長尾莉紗、柴田さとみ・訳 vol.5390

【世界1000万部。夢を叶えたミシェル・オバマの物語】
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本日ご紹介する一冊は、世界1000万部を突破した、前アメリカ大統領夫人、ミシェル・オバマ氏による回想録。

貧困や差別から身を起こす、という成功物語は世にたくさんありますが、それがあまりに極端なのが、氏の人生ではないでしょうか。

大叔母がピアノ教室を開いていた自宅で、「努力の音を聞きながら育った」という氏は、そのルーツ通り、勉強し、努力を重ね、プリンストン大学とハーバード大学法科大学院を卒業、シカゴのシドリー&オースティン法律事務所で弁護士として働き、そこで生涯の夫、バラク・オバマ氏と出会います。

本書には、氏の幼少期とそこで得た教訓、オバマ氏との馴れ初め、人生の重大な選択に氏がどう立ち向かったかが書かれています。

シカゴのサウス・サイド地区で育ち、ホワイトハウスに住まうまで、あまりに劇的で困難な半生が描かれていますが、働く女性にはきっと、共感できる部分が多いのではないでしょうか。

どうすれば充実した仕事に出会えるのか、人生のパートナーをどう選ぶべきなのか、どうすればパートナーシップが上手く行くのか、仕事と家庭の両立をどうするか…。

想像を絶する忙しさ、ストレス、批判に氏がどう立ち向かったかが書かれており、じつに興味深い。

さっそく、内容をチェックして行きましょう。

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今は「大人になったら何になりたい?」と子どもに訊くのは意味のないことだと思う。まるで、大人になるのが一度きりのことだと言っているようだから。人生のどこかの時点で何かになったらそれでもう終わり、とでもいうように

父のフレイザーからは、一生懸命働き、よく笑い、約束を守るよう教えられた。母のマリアンからは、自分の頭で考え、自分の言葉で意見を述べることを教わった

私にとって学習は魔法の力を持っていた。学習からはワクワクするような満足感が得られた。まず、練習すればするほどうまくなるというシンプルで心強い相関関係を知った

翌朝、私はバロウズ先生にもう一度挑戦させてほしいとお願いした。それに対して先生は、みんなでやることは他にもあるからね、と明るく却下したが、私は食い下がった。他の子たちには悪いけれど、そうして私はみんなの前で再び色のカードと対峙した

両親は私たちに聖人であることを求めなかった。父にいたっては、セックスは楽しいものだし、そうあるべきだと言っていたのを覚えている。また、両親とも人生の厳しい局面を耳ざわりのいい言葉で濁すことはなかった

私は確かに親戚の子たちとは違う話し方をしていて、兄も同じだった。うちの両親は標準語を話す大切さを私たちに教え込み、単語の最後の“g”を省略したり、“isn’t”を“ain’t”と言ったりする黒
人特有の話し方をしないように教育していた

このやりとりを通して、私は政治が絡む人生における教訓を思いがけず早いうちから学ぶことになった。つまり、計画は決してスケジュールどおりにも見立てどおりにも進まないのだという教訓だ

幸運にも、私はこれまでの人生で非凡な才能を持つ成功者たちにたくさん出会ってきた(中略)彼らと出会った経験から私が学んだのは、彼らにも必ず、その成功を疑う人がいたということだ

何より好きだったのは、上司のサーニー・ブラジュエルだ(中略)私にもっと大胆な行動をとらせたいようで、彼女からはしょっちゅう「~したことはある?」と訊かれた(中略)「ニューヨークに行ったことはある?」あるとき、サーニーはこう訊いた

他人の目を気にしすぎることから生まれる問題の根本は、まさにここにあるのかもしれない。堅実な道(まあ、すごい!と他人から評価される道)だけをいつまでも歩みつづけてしまう

諦めるか、変化を目指して取り組むか、それが彼の考える二択だった。「我々のためになるのはどちらでしょう?」バラクは部屋に集まった人たちに呼びかけた。「今ある世界を受け入れるか、あるべき世界の実現に向けて努力するか」この言葉はコミュニティ・オーガナイザーとしての活動を始めたときに彼が読んだ本からの引用らしいが、それから何年も私は忘れなかった。「あるべき世界」の実現こそがバラクを突き動かすものだと思ったからだ

ここでは私たちこそがバンドなのだ。今まさに試合を始めようとするスポーツチームなのだと気づいた。その瞬間、私の中には何より責任感が芽生えた。私たちには、ここに集まった一人一人に対する責任がある

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600ページ近い大著ですが、美しい文章と壮絶な人生への好奇心から、一気に読んでしまいました。

長期に渡るアメリカ大統領選と同じく、本書のなかに登場する選挙の描写も長きにわたり、正直中だるみしますが、そこを除けば、じつに興味深い内容です。

一流になるためにどんな準備が必要か、そんな視点で読んでみてもいいかもしれません。

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『マイ・ストーリー』ミシェル・オバマ・著
長尾莉紗、柴田さとみ・訳 集英社

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◆目次◆

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