2019年8月30日

『Think CIVILITY(シンク・シビリティ)』クリスティーン・ポラス・著 夏目大・訳 Vol.5347

【「礼節」が生産性を上げる】
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本日ご紹介する一冊は、グーグル、ピクサー、国際連合、世界銀行などで講演・コンサルティング活動を行う、ジョージタウン大学マクドノー・スクール・オブ・ビジネス准教授、クリスティーン・ポラスによる注目の一冊。

「礼節」とは、随分とまた正統派のテーマですが、本書では、リーダーが礼節を欠く職場の問題点を述べた後、礼節がいかにして生産性の向上をもたらすのか、そのメカニズムを述べています。

後半では、読者あるいは読者の会社が礼節を高められるよう、著者からのアドバイスが書かれています。

礼節あるリーダー・組織の例として、コストコの創業者ジェームズ・シネガルや、モトリーフールCEOのトム・ガードナー、デジタルメディア企業ザ・マイティ、ジョン・ウッデン率いるUCLAブルーインズなどが紹介されており、組織の礼節を高める興味深い取り組みが挙げられています。

ノウハウ部分では、<ワンランク上の礼節を身に付けるための5つの心得>に注目したいところ。

◆ワンランク上の礼節を身に付けるための5つの心得
(1)与える人になる
(2)成果を共有する
(3)褒め上手な人になる
(4)フィードバック上手になる
(5)意義を共有する

それでは、さっそく内容をチェックして行きましょう。

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無礼な職場では、半分の人がわざと手を抜く

上司の無礼な言動には、大きく分けて次のような種類がある。
・部下を人前であざける、軽く扱う。
・部下の仕事ぶりを常に過小評価し、自分の組織の中での地位は低いと思い込ませる。
・部下を心が傷つくほどひどくからかう。
・成功した時の手柄は自分のものにするが、何か問題が生じた時には他人のせいにする。

無礼な人は同僚の健康を害する

無礼さは顧客の体験を壊す

大学生全般を貶める発言を聞いた(誰も個人的に貶められたわけではない)グループは、そうでないグループに比べ、アナグラムのテストの結果が33パーセントも悪くなり、ブレーンストーミングでも思いつく創造的なアイデアの数が39パーセント少なくなった

単語の並べ替え作業の段階で無礼な言葉を見ていた被験者は、そうでない被験者に比べ、文字の記憶にも数学の問題を解くのにも苦労をすることがわかった。まず、。記憶できる文字の数は17パーセント減り、順に思い出すテストの成績はなんと86パーセントも悪くなった。そして、数学の問題では、43パーセントもミスが増えた

無礼な人はまわりを攻撃的にする

いい態度に接すると、いいことに注意が向く

これまでに、人間の200種類を超える行動特性が調査の対象となっている。その中でも特に重要だとわかったのが、「温かさ」と「有能さ」の2つだ。この2つが、他人に与える印象を大きく左右する。この2つがほぼすべてと言ってもいい

スウェーデンの研究者の調査によれば、誰かの笑顔の絵を見るだけでも、その瞬間、口の周りの筋肉は笑う時のように上がるという

人の上に立つ人は、下にいる人たちのことを知らなくてはいけない

同社(モトリーフール社)では、社員に10ドル分のスターバックスのギフトカードを配布する。ただし、このカードを使うには条件がある。必ず、職場の同僚(できれば、あまりよく知らない人が望ましい)を誰か誘っておごらなくてはいけないという条件だ

◆ワンランク上の礼節を身に付けるための5つの心得
(1)与える人になる
(2)成果を共有する
(3)褒め上手な人になる
(4)フィードバック上手になる
(5)意義を共有する

コーチやマネージャーが、社員の態度を変えさせたいと思うのであれば、何がその動機になり得るかを探す必要がある。その人の礼節が高まるボタンがどこにあるかを探すのだ

自分のしている仕事に意味があると感じられれば、さらに、無礼さへの耐性は強くなる

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時代が変われば、組織のエンジンも変わる。

これからの時代は、マキャヴェリズムよりも礼節、というのは確かに納得できる気がします。

リーダーには、ぜひ一読をおすすめしたい一冊です。

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『Think CIVILITY(シンク・シビリティ)』クリスティーン・ポラス・著
夏目大・訳 東洋経済新報社

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◆目次◆

はじめに 礼節は最強の武器になる
第1部 なぜ礼節ある人は得をするのか
第1章 無礼な人が増えた根本理由
第2章 無礼な人がもたらす5つの費用
第3章 礼節がもたらす5つのメリット
第4章 無礼は無礼を生み、礼節は礼節を生む
第2部 あなたの礼節を高めるメソッド
第5章 あなたの礼節をチェックしよう
第6章 礼節ある人が守る3つの原則
第7章 無意識の偏見を取り除こう
第8章 ワンランク上の礼節を身に付けるための5つの心得
第9章 礼節あるメールの作法を身に付ける
第3部 礼節ある会社になる4つのステップ
第10章 礼節ある人を見極める採用システムを作る
第11章 礼節を高めるコーチングを取り入れる
第12章 誤った評価システムを改善する
第13章 無礼な社員とどう向き合うか
第4部 無礼な人に狙われた場合の対処法
第14章 無礼な人から身を守る方法
おわりに あなたはどういう人間になりたいか

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