2019年7月19日

『末広がりのいい会社をつくる』塚越寛・著 Vol.5318

【かんてんぱぱの「いい経営」】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4861138620

本日ご紹介する一冊は、名著『いい会社をつくりましょう』の著者であり、かんてんぱぱで知られる伊那食品工業株式会社最高顧問、塚越寛さんによる注目の新刊。

『いい会社をつくりましょう』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4861136334/

トヨタ自動車株式会社取締役社長、豊田章男氏が「私の教科書」と絶賛する内容で、豊田氏は、さらに本書をこう評しています。

<この本は、本気で社員を愛し、本気で地域に寄り添い、本気でお客様と向き合い、本気で次世代を想い、悩み、決断し続けている経営者のリアルストーリーである。そして、私が憧れる大先輩の物語でもあります。変革の時代に、「ブレない強さ」を教えていただきました。塚越さん、私もしっかり後を追っていきます。>

「世界のトヨタ」がここまで言うのにも驚きましたが、読んでみてさらに驚き。

本書には、現在悩んでいる日本企業が向かう先、指針が、明確に示されているのです。

著者は、「いい会社」に関して、こんなコメントをしています。

<「良い会社」とは、売上や利益、株価といった数字で評価された表現であり、経済関連の紙面で目にする言葉です。これに対し、「いい会社」というのは、社員やお客様、取引先や仕入先、地域の人たちはもちろん、タクシーやトラックの運転手、会社へ遊びに来た人など、会社をとりまくすべての人たちが、日常会話の中で「いい会社だね」と言ってくれる会社のことです。

つまり、定性的な評価なのですが、これをリアルに実現するために経営者は何を考え、何を行うべきか、具体的に書かれています。

テクノロジーや分業は仕事を効率化しましたが、それだけでは社員は幸せにならないし、モチベーションも上がりません。

なぜ日本企業の内部留保、納税が過去最高レベルなのに、人々が幸せにならず、社会も豊かにならないのか。

本書を読めば、その理由がよくわかるでしょう。

そして現状の政治・経済の間違いにも気づくに違いありません。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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人件費を増やせば、その分だけ働く人が幸せになります。人件費は、幸せを求めて働く社員の労働への対価であり、会社経営の目的そのもの

人件費を削っていると、会社も世の中もよくなりません。社員に支払った給与は、消費を生みます

創業期から、夜勤をさせないことは徹底してきました。人間は夜には眠るものですし、家族と過ごす時間を奪ってはならないと考えているためです

経営者が社員の健康と幸せを本気で願い、無数の配慮と行動を重ねていると、自分たちが一生懸命に働いて稼いだお金が職場環境の向上に活用されているのだと、社員が日々実感することができます

「いい会社」をつくるための一〇箇条
一.常にいい製品をつくる。
二.売れるからといってつくり過ぎない、売り過ぎない。
三.できるだけ定価販売を心がけ、値引きをしない。
四.お客様の立場に立ったものづくりとサービスを心がける。
五.美しい工場・店舗・庭づくりをする。
六.上品なパッケージ、センスのいい広告を行う。
七.メセナ活動とボランティア等の社会貢献を行う。
八.仕入先を大切にする。
九.経営理念を全員が理解し、企業イメージを高める。
一〇.以上のことを確実に実行し、継続する。

掃除を楽しくおこなうためには、群衆心理を活用することがコツです。各自の割り当てを決め、一人ひとりが自分の持ち場を掃除するというやり方ではなく、一つの場所をみんなで掃除し、そこがきれいになったら移動して、また次の場所をみんなできれいにしていく、という方法です。分担してやると楽しくない仕事も、みんなで一緒にやると楽しいものです

新入社員研修の最初に用いるのは、一〇〇年分の暦を大きな一枚の紙に印刷した「一〇〇年カレンダー」です。これを見せながら「みなさんの命日はどこですか」と問いかけるのです。新入社員が私よりもだいぶ若いことは間違いありませんが、そのカレンダーの中に、私の命日だけでなく、彼らの命日も必ずあります。現役社員として働ける日数はおよそ二万日に過ぎないという事実も、身に迫ってきます

仕入先に対して不当な値引きを要求したり、安いという理由だけで仕入先を変更したりする行為は、会社の敵をつくることになりますから、当社では自重しています。会社経営の目的は、一人でも幸せな人を増やすことです

豊かな企業文化を醸成していくには、日々のささやかな実践を積み重ねていくことが肝要です。お客様に対する丁寧な言葉遣いや笑顔はもちろん、徹底した掃除や整理整頓、社員同士のあいさつや円滑なコミュニケーションによるチームワークの構築など、できることはたくさんあります

「忘己利他」
「己を忘れて他に利するは慈悲の極みなり」(最澄)

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<会社は楽しい場所でなければならない>
<会社は一枚岩になることが大切>
<決算は三年に一回でいい>
<尊敬される会社には、文化があります>
<「優秀」とは、「人を憂うることに秀でている^」こと>

など、言葉はシンプルですが、「いい経営」の真髄を突いていて、文章は心に迫るものがあります。

ベストセラーとなった『いい会社をつくりましょう』同様、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『末広がりのいい会社をつくる』塚越寛・著 文屋

<Amazon.co.jpで購入する>
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◆目次◆

まえがき あらためて、中小企業のあり方を考える
第1章 「いい会社」をめざして~会社経営の目的~
第2章 年輪経営でみんなハッピー~「いい会社」の使命~
第3章 遠きをはかる経営~永続のための絶えざる種まき~
第4章 「忘己利他」こそ、人生のあるべき姿~幸せに向かう生き方~
あとがき ぶれずに理念を伝えつづけた六〇年

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