2019年6月19日

『ザ・フォーミュラ』アルバート=ラズロ・バラバシ・著 Vol.5297

【バラバシ新刊。成功の不都合な真実。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334962297

本日ご紹介する一冊は、名著『新ネットワーク思考』の著者であり、
ボストンの名門ノースイースタン大学ネットワーク科学部門教授の
アルバート=ラズロ・バラバシ、注目の最新刊。

『新ネットワーク思考』
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世界をリードする理論物理学者が、科学的アプローチで成功の法則を明らかにするというコンセプトで、これが面白くないはずがありません。

本書では、著者のチームが導き出した「成功の法則」を全部で5つ紹介しており、自身の成功、あるいは子どもの成功を心から望んでいる方は、ぜひ読んでおくといい内容です。

「成功で重要なのはあなたではない。社会なのだ」という衝撃の宣言から始まり、ひとつひとつの「法則」を明らかにして行く。

ちなみに、成功の法則は、以下の5つです。

1.成功の第一の法則 パフォーマンスが成功を促す。パフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功を促す。
2.成功の第二の法則 パフォーマンスには上限があるが、成功には上限がない。
3.成功の第三の法則 以前の成功×適応度=将来の成功
4.成功の第四の法則 チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だが、功績を認められるのはひとりだけだ。
5.成功の第五の法則 不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる。

既に成功している人にとっては、知られたくない真実。これからトップを追い落とそうとする人には、興味深い成功のヒントが示されています。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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あなたが成功するために重要なのは、あなたとあなたのパフォーマンスではない。重要なのは社会であり、社会があなたのパフォーマンスをどう捉えるかである

重要なのは、あなたの功績に気づき、その価値を認め、より広い世界に広めるネットワークなのだ。レッドバロンは冷酷で情け容赦なく、無表情な、極めてうぬぼれの強い人物として描かれることが多い。彼の自叙伝は暴力行為を詳述した報告に過ぎず、読む者はその自画自賛の口調に強い嫌悪を覚えた。それでも、目の前の戦争の恐怖に取り憑かれた彼の仲間は、レッドバロンの威勢のいい手柄話や虚勢に慰めを見出し、勇気を奮い起こした

テニスの世界では「優れた運動能力」という、ただひとつの要素が成功を約束する。(中略)あなたがテニス選手なら、「ボールから目を離さず、技術を磨け」ということだ

卒業一〇年後の年収を決める重要な要素は、その学生が通った大学の名前ではなかった。長期にわたる成功を決める唯一の要因は、たとえ合格しなかったにしろ、その生徒が出願した最難関大学にあった

ディアスとバスキアには決定的な違いがあった。ディアスは一匹狼。いっぽうのバスキアは大胆なネットワーカー

アートの価値は文脈とネットワークが決める

上限に近づくにつれ、パフォーマンスは成功の決定要因ではなくなる

驚いたことに、優勝者を最も正確に選んだのは、音のない動画を見たグループ──実際の演奏も聴かず、情熱的に鍵盤を叩くピアニストの動画だけを見たグループ──だった

後半に登場する選手のほうが──いつも必ず、奇跡のように──演技がうまいように見える。運命を決めるのは、やはり演技を披露する順番なのだ

莫大な報酬を手に入れるためには、あなたが提供する創作物なり製品なりが、簡単に複製できなければならない

パフォーマンスには上限があると知っていれば、自分にもスーパースターを打ち負かせると言い聞かせられる

人生が不公平なのは、優先的選択が働くからだ。人生を公平なものにするためには、早いうちに才能を認めて評価し、その才能を支援する方法を見つけ出し、成功が雪だるま式に膨らむスイッチを入れなければならない

誰かの影に長く入り過ぎていると、あなたの貢献を覆い尽くしてしまう。あちこちのプロジェクトに断片的に参加し、研究テーマを次々と変えるような研究者は、周縁に追いやられる。重要なのは、未知の領域で自分の存在を主張することだ

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正直、結論だけを見ると、既視感があるのですが、そこに至るまでの実験が面白い。

成功するには、ネットワークや人間心理に関する理解が必要だということが、科学的に証明されたようなものですね。

オビに<本書は「自己啓発(セルフヘルプ)」本ではない。科学が助ける(サイエンスヘルプ)本だ。>という文言がありますが、まさに科学的にどう人生にアプローチしたらいいか、詳しく示した一冊と言えるでしょう。

個人的に最も衝撃を受け、かつ腑に落ちたのは、出現した最難関大学が卒業一〇年後の年収を決める重要な要素だった、という部分。

教師や親が、子どもの実力に合わせて出願校を制限するのは、百害あって一利なし、というのがよくわかります。

自分の成功のために、そして子どもや周囲の成功のために。

ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『ザ・フォーミュラ』アルバート=ラズロ・バラバシ・著
江口泰子・訳 光文社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334962297/

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◆目次◆

はじめに 成功で重要なのはあなたではない。社会なのだ。
成功の第一の法則
パフォーマンスが成功を促す。
パフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功を促す。
成功の第二の法則
パフォーマンスには上限があるが、成功には上限がない。
成功の第三の法則
以前の成功×適応度=将来の成功
成功の第四の法則
チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だが、功績を認められるのはひとりだけだ。
成功の第五の法則
不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる。
結論
謝辞
訳者あとがき

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