2019年1月17日

『しょぼい起業で生きていく』えらいてんちょう・著 vol.5196

【究極のノーリスク起業?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781617336

本日ご紹介する一冊は、発売直後から話題となっている、Twitter、YouTubeで話題の起業本。

著者の「えらいてんちょう」は、リサイクルショップ、学習塾、居抜き物件を借りた小さなバーなど、「しょぼい店舗」の開業・運営を手掛ける経営者。

再現性のあるノウハウが話題となり、現在は投資家・コンサルタントとしても活躍中です。

本書では、著者が推奨するローリスク起業法「しょぼい起業」のコンセプトと実例を紹介しており、これまでの起業のセオリーに一石を投じる内容となっています。

「しょぼい起業」の基本コンセプトは、<日常生活で必要なものを作り、余ったぶんを売る>こと。

どうせ必要、どうせ作るものを他人の分までやってあげて、ローコストでちょっと稼ぐという、極めて慎重な起業法です。

著者はこのコンセプトで小さなバーを経営し、それがヒット。現在は全国に直営5店舗を構えているそうです。

SNSで告知するのではなく、SNS自体を店舗同様のコミュニティにしてから店を立ち上げる、人を雇わず、広告も打たない。

これなら、資金もない、時間もないサラリーマンでも今すぐ起業できると思います。

読んですぐ、某大企業にお勤めの知人にバーをやらせたくなりました(笑)。

さっそく、本文からポイントをチェックして行きましょう。

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日常生活で必要なものを作り、余ったぶんを売る

「いつもやっている行為をお金に換える」という発想は「しょぼい起業」の基本的な考え方のひとつです。これを「生活の資本化」(コストの資本化)と呼びます

みなさん、家電や家具を使ってますよね。そのために買いますよね、量販店とかでお金を払って。ところが、私はリサイクルショップを経営してるわけです。冷蔵庫、洗濯機、テレビ、掃除機、なんでも山のように入ってくるんですよ。引っ越しなんかいくらでも無料でできます。自分の希望に合った家電を選び放題です(中略)いちばんいい家電は自分がもらっちゃいます。しかし、家電は家に1台しかいりませんから、余ったぶんは売ります

飲食店も同じ理屈です。みなさん、毎日ごはん食べますよね。自分のごはんを作るのにもお金がかかりますから、いっそのこと、ちょっと多めに作ってみたらいいのです。ひとりぶん作るところを、10人ぶん作ったとしても、10倍の材料費はかからないし(肉を100g買うより1kgまとめて買ったほうが単価は下がります)、10倍の労働力も必要ありませんよね。で、余った9人分は売ってしまいましょう。そうすると、自分ひとりぶんの食事が実質無料、いや、むしろお金が増えた! ということになります

ガレージに置いてあるハイエースを、使ってない時間、引っ越しか何かで使いたい人に、有料で貸し出せばどうでしょう。何もしなければガレージで停まっているだけの車がお金を生み出すことになります。細かいことを言うと、「自家用自動車は、国土交通大臣の許可を受けなければ、業として有償で貸し渡してはならない」と法律で定められています(道路運送法第八十条二項)。ただ、たとえばDeNAがやっている「Anyca」というサービスがあるのですが、このサービスにおいては車を借りる人(使用者)が車の所有者と「共同使用契約」を結び、Anyca自体はあくまで「個人間カーレンタル仲介サービス」と名乗ることで、道路運送法上の制限を回避しているようです

周りに人が住んでいて、人通りがそこそこあれば、ふつうの住宅街でいいのです。周辺に住んでいる人が、「あれ? こんなところに店がある」と思うくらいの立地がベストです。そして、そんなところの家賃はだいたい安いのです。そういう立地の店を見つけたら、新しい家に引っ越すつもりで住んでしまいましょう。家の家賃と店の家賃を別に払うなんてバカバカしい

好きなことでバリバリ稼ぐか、楽なことをボチボチやるかのどちらかしかないのです。いずれにせよ、気持ちがよい(=ノンストレスな)環境でないと人は動かない時代になったのです

店舗のSNSを開設するのではなく、SNSを店舗にしよう

YouTuberとテレビタレントの区別はなくなっている

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赤ペンチェックでは引用しませんでしたが、付録の巻末対談のうち、借金玉さんと著者との対談は、起業論としてじつに興味深い。

元金融機関で、資金調達が得意という借金玉さんの主張は、これから起業する人は読んでおくといいと思います。

・結局大事なのは利益率
・「こいつは金じゃない」って思わせる
・これからの起業では雇用って概念は減っていく

タイトルから敬遠する人も多いと思いますが、著者も対談相手の二人もなかなかの知性派で、起業のロジックがよく練られているのが特長です。

本書はこれから、お店を始める方の起業のスタンダードな考え方になるかもしれませんね。

これはぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『しょぼい起業で生きていく』えらいてんちょう・著 イースト・プレス

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4781617336/

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◆目次◆

はじめに
第1章 もう、嫌な仕事をするのはやめよう
第2章 「しょぼい起業」をはじめてみよう
第3章 「しょぼい店舗」を開いてみよう
第4章 「協力者」を集めよう
第5章 しょぼい店舗を流行らせよう
第6章 「しょぼい起業」実例集
pha×えらいてんちょう対談 「お金」に執着しない生き方
借金玉×えらいてんちょう対談 草むしりから始める「しょぼい起業」
おわりに

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