2018年10月29日

『サブスクリプション』ティエン・ツォ、ゲイブ・ワイザート・著 桑野順一郎・監訳 御立英史・訳 vol.5144

【地味だけどすごい本。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478105529

現在、世界中のビジネス界を席巻している「サブスクリプション」モデル。

個人の世界でも、「オンラインサロン」が流行っていますね。

本日ご紹介する一冊は、その「サブスクリプション」モデルのすべてを、セールスフォース・ドットコムの草創期のCMO(最高マーケティング責任者)、CSO(最高戦略責任者)で、2007年にサブスクリプション・モデルを推進するSaaSプロバイダ「Zuora」を創業したティエン・ツォ氏がまとめた一冊。

さすが世界1000社を超える企業のサブスクリプション・モデル化を推進しただけあって、事例が豊富。そしてこのモデルで勝利するための法則がよくわかっています。

「サブスクリプションなんて知ってるよ」という方でも、ここに出てくる最新企業事例、サービス事例をすべて知っている方はおそらくいないでしょう。

変な話、あなたが経営コンサルタントだったら、本書を丸パクリするだけで、ものすごい満足度の高いセミナーが実現するはずです。(地方都市で講演したら、あなたは「最先端」で「グローバル」な気鋭のコンサルタントに見えるに違いありません)

表紙は地味だが、読まないと確実に損をする一冊。

もちろん投資家の方も、本書に登場する銘柄をチェックしない手はありません。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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収益の80%をサブスクリプションで得ている1000万ドル企業であれば、常に800万ドルの売上が約束された状態で新年度をスタートすることができる

年を経るごとに、アップルはiPhoneの出荷台数のことを気にしなくなっている。逆に、アップルIDの1件当たりの収益、生涯価値、そしてアップルIDのベース拡大と価値の強化につながる効率的な指標に関心を寄せている

バーチボックス(Birchbox)(化粧品)、ダラー・シェイブ・クラブ(Dollar Shave Club)(髭剃り)、ルートクレート(Loot Crate)(ゲーマー向け製品)、スティッチフィックス(Stitch Fix)(衣料)、フレッシュリー(Freshly)(総菜)、グレイズ(Graze)(菓子)、トランク・クラブ(Trunk Club)(衣料)、ファブレティクス(Fabletics)(アクティブウェア)、スタンス(Stance)(ソックス)など。これらはどれも、月替わりで特定分野の商品を送りつけるだけの、一般的な定期購入サービスとは大きく異なる

製品に魅力的なデジタルサービスをセットにして提供すればよい

バーチボックスのニューヨークの店舗では、ウェブサイトでの商品ランキングとレビューを利用して、品揃えと陳列を行っている

ブロックバスターの考え方から解放された新しいストリーミングサービスは、無理して最大公約数的なエンターテインメントを追いかける必要がない

顧客はただ、これまでと違うデジタルサービスを欲しているだけ

さらに進んで、リスナーがたんなるメンバーでさえなく、創作プロセスにまで参加するようになれば何が起こるだろう

真の「サービスとしてのモビリティ」は、クルマを走らせることだけでなく、あらゆる種類の輸送手段を活用すること

サーフエアは「航空業界のネットフリックス」とか「空のウーバー」などと呼ばれている。メンバーになると、定額の月額料金で無制限で飛行機に乗れる。いまのところ米国西部と欧州で急速に成長している

要するに、サブスクリプション化できないものはない。なぜなのか種明かししよう。製品が提供するサービスのレベルについて契約すればよいのである。それはすべてに応用できる方法だ。冷蔵庫を提供するのではなく、新鮮で冷たい食品の提供を保証する。屋根ではなく、太陽エネルギーの供給を保証する。掘削機そのものではなく、一定量の土砂の掘削を提供するということだ

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これまでのビジネスは、「何を何台作って売るか?」「何個売れるヒット商品が作れるか?」でしたが、これからは「◯人が△キロ移動するのに何台のクルマが必要か?」「それにはいくらが適正か?」になるに違いありません。

間違いないことは、本書を読まないと、あなたのビジネスが確実に時代遅れになるということです。

300ページ超のボリュームであり、内容が充実。さらにそれぞれのサービス企業の詳細をウェブで調べていたら、きっと日が暮れます。

しかしながら、丸一日使って読むだけの価値は十分あります。

表紙からはまるで伝わってきませんが(すみません)、中身は、かつてクリス・アンダーソンの『FREE(フリー)』が出た時と同じぐらいのインパクトがあります。

確実に「買い」の一冊です。今すぐ買ってください。

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『サブスクリプション』ティエン・ツォ、ゲイブ・ワイザート・著
桑野順一郎・監訳 御立英史・訳 ダイヤモンド社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478105529/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07HY1TND9/

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◆目次◆

第I部 サブスクリプション・エコノミーの到来
第1章 製品中心から顧客中心へ すべては顧客を知ることから始まる
第2章 小売業にまつわる誤解 古い「筋書き」を逆転させる
第3章 メディアの隆盛 新たな黄金時代の幕開け
第4章 飛行機、電車、自動車 サービスとしてのモビリティ
第5章 新聞・出版 かつて新聞を出していた会社
第6章 テクノロジー産業の復活 ?魚?を飲み込め!
第7章 IoTと製造業の興亡 モノを売る時代は終わった
第8章 所有から利用へ あらゆるビジネスに広がる成長機会
第II部 サブスクリプション・モデルで成功をつかむ
第9章 企業がサブスクリプション・モデルを選択するとき
第10章 イノベーション 永遠のベータ版にとどまれ
第11章 マーケティング4つのPが変わった
第12章 営業 8つの新しい成長戦略
第13章 ファイナンス 新しいビジネスモデルの構造
第14章 IT 製品ではなくサブスクライバーを中心に置く
第15章 組織にサブスクリプション文化を根づかせる

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