2018年8月10日

『amazon(アマゾン)』成毛眞・著 vol.5091

【世界最先端のビジネス戦略】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478105057

雑誌『商業界』2018年9月号の巻頭特集は、「アマゾンを無視する」でした。

※参考:『商業界』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07F7VFCJW/

それほどまでに、アマゾンの影響力が広まっているという証でしょう。

本日ご紹介する一冊は、世界で今、もっとも気になる企業の一つ、アマゾンを、元マイクロソフト社長の成毛眞さんが分析した一冊。

本書によると、アマゾンの株価は、上場した時の1252倍に上昇したそうです。驚異の成長率ですね。

「世界最先端の戦略がわかる」というサブタイトルからもわかるように、ビジネスパーソンが経営の教科書を読む感覚で、アマゾンがやっていることを分析し、法則を抽出して紹介しています。

稼ぎ頭のAWSを始め、プライム会員、フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)など、さまざまな事業を手掛けているアマゾンですが、それぞれがどうリンクし、アマゾンという生態系を成しているのか、経営視点から見た分析が丁寧に加えられており、良い勉強になると思います。

ロジスティクス(兵站)重視の経営、膨大なキャッシュフローを生み出し続けるしくみ、ものすごいスピードで事業展開できるマネジメントの秘密など、謎のヴェールに包まれたアマゾンの実像が、この一冊で概観できます。

さっそく、気になるところをチェックしてみましょう。

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CCCとは顧客から代金を回収するまでの期間である。なんと2017年12月のアマゾンのCCCはマイナス28.5日だった。つまり、物を売る約30日前に手元に現金が入っているということだ

プライム会員ではない一般ユーザーの年平均消費額は700ドル。これも決して小さくない数字であるが、プライム会員はその倍近い1300ドルの購買をしているという

築き上げた物流網を使って、アマゾンはアメリカの都市部で、自社の荷物以外の配送をスタートした。宅配便などの物流業者もまた「アマゾンによる死者リスト」に組み込まれるかもしれない

法人向けの金融事業も手がけている。アマゾンマーケットプレイスに出店する企業に対して融資するサービスをしているが、最近では銀行業に参入するのではとの観測も広まる

本業をする上で生まれた技術やサービスで横展開できそうなものがあったら、それを育てる。あるいは、近接する領域の事業があったら、それに乗り出す

マーケットプレイスで扱う商品は、アマゾン直販の品数の30倍以上で、約3億5000品目にも上る

中小企業にとっては、FBAは海外展開の足掛かりにもなる

アマゾンでは、これらスタートアップ商品に対して、助言するサービスまで登場している。スタートアップをいち早く取り込むと、新しい商品が早く売れて長期的な機会ロスを防ぐことができ、また大きな市場が作れることを知っているからだ

いつも同じ低関与商品を、店頭ではなくアマゾンで買わせるのがアマゾンダッシュボタンである

ADRSは、そのIoTの機能を組み込んだ機械が、消耗品が少なくなったタイミングでアマゾンに自動的に注文する仕組みだ

アマゾンは、商品が発売される30日前にすでにお金が手元に入っている

自社のために開発したシステムを売り物にするのが定石

アマゾンは米テキサス州で、風力発電事業にも投資している

特にここ数年のアマゾンの物流の強化には目を見張るものがある。商品輸送用に購入した大型トレーラーは4000台以上だ

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著者は、本書のPrologueで、アマゾンを評してこう述べています。

<国家の枠を超えた超国家的存在になり、いまだに膨張を続けるアマゾンは21世紀のローマ帝国といえるかもしれない。ネット通販もクラウドサービスもAIスピーカーも、すべてのITという道はアマゾンに通じているのだ>

だとすれば、アマゾンが滅びるのも、ローマ帝国と同じ理由で滅びるのかもしれないな、などと思って読みましたが、ここしばらくは、アマゾンの時代が続くと思います。

アマゾンが展開する世界最先端の経営戦略を学びたい方、自社の経営に活かしたい方、アマゾンのプラットフォームを使って稼ぎたい方、そんな方々が読めば、実りのある一冊だと思います。

ぜひ、読んでみてください。

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『amazon(アマゾン)』成毛眞・著

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478105057/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07FMSFT6R/

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◆目次◆

Prologue アマゾンがなかったら生活できないかも
chapter#01 「品揃えが大量で、安い」を実現する仕組みとは
chapter#02 キャッシュがあるから失敗できる
chapter#03 アマゾンで一番利益をあげているAWS
chapter#04 アマゾンの「プライム会員」とは何なのか
chapter#05 アマゾンからM&Aを知る
chapter#06 巨大な倉庫と配送力で物流を制す
chapter#07 プラットフォームの主になるには
chapter#08 アマゾンを底ざさえするのがテクノロジー

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