2018年1月1日

『学びとは何か──<探究人>になるために』今井むつみ・著 vol.4912

【2018年の学びを効果的にするための一冊】
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いよいよ2018年が明けましたね!
今年もどうぞよろしくお願いいたします!

2018年最初にご紹介する一冊は、これからの365日、みなさんの学びをより充実したものにするための、学び方の本。

タイトルは、『学びとは何か──<探究人>になるために』です。

著者は、ノースウェスタン大学心理学部でPh.D.を取得し、現在、慶應義塾大学環境情報学部教授を務める、認知科学、言語心理学、発達心理学の専門家、今井むつみ先生。

序文を、羽生善治氏が書いています。

著者は、「はじめに」で、読者にこんな疑問を投げかけています。

・人はどのように自分の経験や人から伝えられたこと、教えられたことを理解し、記憶するのか
・記憶はどのような形で心の中に蓄えられ、どのように思い出されるのか
・子どもは(あるいは大人は)どのようなときに、なぜ、つまずくのか
・覚えても使えない知識と新しいことを生みだすことができる知識は何が違うのだろうか
・すぐに使える「生きた知識」はどのような性質を持ち、脳にどのような形で存在しているのだろうか

本書では、認知科学の視点から、学びに関するこのような疑問に迫っていきます。

学ぶ側も教える側も、これからの一年が充実したものになること、間違いなしです。

さっそく、気になるポイントを見て行きましょう。

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シャーロック・ホームズが普通の人よりもすぐれているのは、多くの情報を記憶する能力というより、犯人を見つけるためにはどのような情報が重要かを見極め、その情報だけを見落としなく見つけ、心に留めておける能力なのである

プロ棋士が実験で見せた驚異の記憶力とは、棋譜の膨大なデータベースから目の前の局面を一瞬にして見つけることのできる能力

海外の前衛的な映画を見ると、ストーリーを追えなくなってしまうことが時々ある。それは、行間を補うことができないことから来ている。こういうときは、多くの場合二つの種類のスキーマが足りない。まず、それぞれの状況について行間を補うスキーマ。自分たちの文化で当たり前だと思っていることが映画の舞台となっている文化では通じない

子どもは、知らないことばと一緒に、知らないモノを見せられると、色や大きさ、模様などではなく「形」に注目する。つまり、形が似ているモノに対して、そのことばを一般化する「形ルール」を持っており、それを使って、初めて聞くことばの意味の範囲を決めている

語彙は膨大な数の単語からなるシステムなのである。システムとしての語彙を身につけるためには、単語単体の意味を学ぶだけでは不十分である。単語同士の関係を学び、システムをつくっていく必要がある。その中で、似ている単語同士がどう違っていて、その二つの単語の境界がどこに引けるかを知ることはとくに大事である

スキーマが誤ったものであると、何が起こるか。問題解決に必要な情報に目が行かず、関係ない情報にばかり注目してしまう

人が科学や外国語を学び、熟達していく上で大事なことは、誤ったスキーマをつくらないことではなく、誤った知識を修正し、それとともにスキーマを修正していくことだ

誰もが本番では集中して必死になる。しかし、練習でどれだけ必死になれるだろうか。エリクソンによればアマチュアレベルの人と達成度の高い熟達者との間の著しい違いは、練習中の集中度だ

的確な目標を持てるということは、
・その分野の超一流の人のパフォーマンスがどのようなものなのかを理解できる
・いまの自分がどのくらいのレベルにあって、超一流の人たちとどのくらい隔たりがあるかわかる
・その隔たりを埋めるために何をしたらよいのかが具体的にイメージできる

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土井の両親は、自分たちが高卒だったということもあり、勉強に関しては一切何の知識も与えてくれませんでした。

ただ、一つだけ与えてもらったのは、「自ら学ぶ」という精神です。

本書の後半では、人が「探究人」になるために必要なことは何なのか、重要なポイントが書かれています。

ぜひ直接読んで、お確かめください。

正しい目標の立て方、正しい学び方、正しい心構え…。

本書には、社会人に必要な「学び」のエッセンスがすべて入っています。

ぜひ読んで、今年一年、頑張りましょう!

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『学びとは何か──<探究人>になるために』今井むつみ・著 岩波書店

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◆目次◆

はじめに
誰にでもできる探究(羽生善治)
第1章 記憶と知識
第2章 知識のシステムを創る──子どもの言語の学習から学ぶ
第3章 乗り越えなければならない壁──誤ったスキーマの克服
第4章 学びを極める──熟達するとはどういうことか
第5章 熟達による脳の変化
第6章 「生きた知識」を生む知識観
第7章 超一流の達人になる
終 章 探究人を育てる
おわりに
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