2017年11月9日

『京大式DEEP THINKING』川上浩司・著 vol.4859

【京大デザイン学教授が伝授…だが?】
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本日ご紹介する一冊は、京都大学デザイン学ユニット特定教授で、「システムデザイン」「知識情報処理」「不便益」などを研究している著者が、「深い思考(=DEEP THINKING)」を論じた一冊。

確かに話をしていると、浅い思考しかできない人と深く思考できる人がいるわけですが、その違いは何なのか、知りたいですよね。

これから就活シーズン。

就職マーケットでは当然、質問に対して深く思考できる学生さんの方が高く評価されます。

では、どうすれば深い思考ができるのか?

詳しくは本文に譲るとして、その前に、そもそも深い思考とは何なのか、著者の考えを見てみましょう。

<「深く考える」とは、たとえば未知のものを目にしたとき、それは何かを、考えて考えて考え抜いたすえに、まったく新しい概念が自分の中に形作られることだ>

<既知のものであっても、新たな面を見ようと思案する道筋そのものが「深い思考」となり、それによって発想の転換も促される>

興味深かったのは、著者専門の「不便益」を論じた部分で、ビジネスパーソンの仕事ぶりを「セル生産方式」と「ライン生産方式」にたとえて論じた部分。

<ビジネスパーソンは、決して「ライン生産方式」で働いているつもりはないだろう。少なくとも「何も考えない歯車になりたい」と夢見る人は滅多にいない。だが皮肉なことに、便利さと効率ばかりを追求していると、ビジネスパーソンも日々の仕事を「ライン生産方式」かのようにこなすようになってしまう>

以前読んだ、『思考の整理学』のグライダー人間の話を思い出しました。

※参考:『思考の整理学』
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さっそく、気になる内容をチェックしてみます。

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点を取るには大量の知識をインプットする「勉強」が必要で、深く考えていたらその効率は下がる。「本当か?」と深掘りしている時間があるなら、問題集の答えや解法を鵜呑みにして量を稼ぐほうが得策だ。結果として、「深く考える」ことがおろそかになってしまいがちである

「即応即答」で考える力はつかない

「目の前のものは、すでに自分の中にある概念と同じだ」と認識・確認する作業が、一般に私たちがいつもしている「考える」作業のほとんど(中略)これは乱暴にいえば、目の前のことと自分の知識の答え合わせみたいなものだ。だから、「考える」だけなら時間はかからない反面、新しい着想は生まれにくい

「深く考える」とは「一工程、意識する」こと

「セル生産方式」といわれるすべての工程に1人の人間が関わる進め方だと1から10まで自分が関係することになるので、各タスクの意味が自分事としてわかる

ユニークという要素とは「価値がある答え」に不可欠なもの

約束事が不可欠な仕事の世界に、鉛筆でメモを取るという「物との約束」を介在させるのは、意外にも信頼感を補強する方法として合理性がある

「人との約束」がどこにもかしこにも入り込んでいる世界。いつなんどき、「嘘」になっても不思議はない世界。これは脅しでも冗談でもない。私たちはこれから、そういう世界を生きることになるのだ。いや、すでに生きているのである

「実感」は「意識する」ことにつながり、「意識する」ことは「深く考える」ことにつながっていく

「客観と主観の切り替え」で説明レベルを上げる

「減る」というのはまさに「物のコトワリ」だから、自分とモノとのインタラクション(関わり)において実感を乗っけてくれる

「手段」を引いて一瞬不便にすることは、「何か自分で工夫しよう」と能動的かつ深く考えるチャンス

「より信じるために少し疑う」という姿勢を持とう

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読んでみると断片的な話が多く、体系的な「DEEP THINKING」というものは存在しないことがわかります。

「京大で1時間半、面白い講義を聴いた」ぐらいに思えば満足できますが、「これが最高学府の講義だ!」というには正直、力不足の印象です。

どちらかと言うと、著者の専門である「不便益研究」の方に興味がわきました。

次回作に期待したいと思います。

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『京大式DEEP THINKING』川上浩司・著 サンマーク出版

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◆目次◆

第0章 DEEP THINKINGの極意
第1章 なぜ「鉛筆で記す人」は「できる人」っぽいのか?
第2章 「わかりやすい説明」に数字は要らない
第3章 鉛筆を持つ者だけが「たどる力」を手に入れる
第4章 「必要なもの」を抜く1本の勇気

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