2017年10月4日

『20 under 20』アレクサンドラ・ウルフ・著 滑川海彦、高橋信夫・訳 vol.4823

【ピーター・ティールの超難関起業家養成プログラム?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822255123

本日ご紹介する一冊は、「ピーター・ティールの超難関の起業家養成プログラム」と謳っているけれど、実際にはシリコンバレーの人間模様を描いた、ドタバタな本。

これを読んだからといってすごい起業家になれるわけではなく、またビジネスのヒントが詰まっているわけでもない、どうしようもない本です。

では、なぜ紹介するのかというと、単純に面白いから。

読んでいると、シリコンバレーのカルチャーが、なぜ画期的な商品やサービスを次々と生み出すのか、その理由がちょっとわかる気がするのです。

「大学はやめろ」
「みんなが天才的アスペルガー」
「ポリアモラスな男女関係(複数の相手との同時恋愛)」
「ヒッピーたちの共同生活」
「不老長寿を本気で目指す」
「死んだら冷凍保存で技術進化を待つ」

もうグチャグチャですが(笑)、「差異」を創ることに真剣になればなるほど、こういうカルチャーになるのかもしれないな、と思って読みました。

伝統的な価値観を持つ人が読んだら、橘玲さんの『言ってはいけない』同様吐き気がしそうですが、これからの時代は、こういう価値観が日本にも入り込んでくるかもしれませんね。

※参考:『言ってはいけない』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106106639/

いくつか、ポイントを紹介しておきます。

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アメリカの富は上位1%の層に集中しすぎているといわれるが、シリコンバレーの住民はなんと5%以上がミリオネアだ

金持ちのテクノロジー系創業者はあまり早起きではない。豪華な生活とも無縁だ

起業した会社を数千万ドルで売却した後の若い成功者の多くはこれと逆に、最初に住みついたアパートに住み続けたり、同様のセンチメンタリズムからスタンフォードを卒業して起業した小さなガレージに戻ったりする。彼らはこの地区の不動産バブルを身をもって体験しているし、独身者が多いので家に大金をかけたがらない。金があればむしろほかの企業に投資することを好む

パロアルトの元市長、シド・エスピノサは「ビバリーヒルズもけっこうだが、あれはわれわれの流儀ではない。当地では金があるところをギラギラ見せびらかしたりしない。そういうことには反対だ」と語る。「私たちの文化では富の誇示は反社会的だと考えられている」と43歳のスマートな元テクノロジー起業家カトリナ・ガーネットは言う

シリコンバレーでは、勝利のカギは外見ではなくノートパソコンとそこに秘められたアイデアだ

従来の高等教育は人生で本当に重要なことを考えるのを妨げる脇道だとティールは主張し、「人は(大学に入ると)本当の計画や目的を見失ってしまう」と付け加えた

「われわれは次のフェイスブックを探しているわけではない。普通の人間が現在可能だと考えていることの2年から10年くらい先を考えている人を探している」

どれほどクレイジーに見えようと、今抱えているアイデアをただちに追求すべき

シリコンバレーに入り込むには、共に働き、共に遊び、共に住む

起業で失敗したら大学に戻ればいい

大学に行くよりプログラミングを勉強しろ

ミレニアル世代にとって、誰かの部下になることは前の世代ほど当然のことではなさそうだ。こうやって資金を得ることによって、学校を出た直後から当事者意識を持つことができる

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著者がもっとビジネスを知っている方だったら、もっと面白いかったのに、という残念な気持ちは残りますが、シリコンバレーのカルチャーの真実を知りたい方には、面白い本だと思います。

過激な話が多いですが、きっとこのうちのいくつかは、そのうち新しい常識になるのだと思います。

あ、ちなみに「ピーター・ティールの超難関の起業家養成プログラム」に興味のある方には、まったくおすすめしません。

興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。

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『20 under 20』アレクサンドラ・ウルフ・著
滑川海彦、高橋信夫・訳 日経BP社

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◆目次◆

主な登場人物
著者ノート
プロローグ テクノロジーの楽園
第1章 みんなが天才的アスペルガー
第2章 オープンな関係は複雑な関係
第3章 ヒッピーたちの共同生活
第4章 ネバーエンディング・スクール
第5章 大学よりも肉を食え
第6章 先に立つアルファガール、気楽なベータボーイ
第7章 不老長寿を本気で目指す
第8章 つかの間の名声
第9章 新しいお金の仕組み
第10章 必要なのは許可か、謝罪か?
第11章 シリコンバレーのやり方は本当に正しいのか?
第12章 そしてぼくらは神になる
最後に
謝辞
訳者あとがき

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