2017年7月1日

『定年後』楠木新・著 vol.4728

【定年後戸惑わない生き方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121024311

本日紹介する一冊は、ベストセラー『人事部は見ている。』はじめ、複数の著書を持つ楠木新さんによる話題の新書。

※参考:『人事部は見ている。』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532261228/

著者は大手生命保険会社で人事・労務関係を中心に、経営企画、支社長等を経験した方ですが、サラリーマン時代に既に作家活動を続けており、定年後も「楠木ライフ&キャリア研究所」代表として、一貫して「働く」をテーマに講演・執筆活動をしています。

ご自身が豊かな定年後を過ごしている方ですが、じつは47歳の時に会社生活に行き詰まって体調を崩し、長期休職した経験があり、これが期せずして定年後の予行演習になったと語っています。

本書は、そんな著者が経験した定年後、著者の周囲の人物が経験した定年後、取材でインタビューした何名かの経験談をまとめたもので、定年後というものがどういうもので、何が問題になるのか、どうすれば豊かな余生を送れるのか、示唆に富んだ内容となっています。

お金の問題、居場所の問題、意識の問題…。

定年後になると、現役時代とは大きく自分を変えなければならないということがよくわかります。

特に男性が適応できないようなので、男性陣はよく読んでおくといいでしょう。

さっそくポイントをチェックしてみます。

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私は彼に、雇用延長の話は断らない方がいい、不満があっても慣れた仕事なので楽にこなせる、それは最低限の仕事として確保しておいて新たな働き場所を探した方がいいのではないか、とアドバイスした。パートの仕事を2つ並行させる手もある

時間的な余裕やお金は大事ではあるが、自分の心安らぐ居場所があるかどうかもそれに劣らず大切

休職した時に、自分がいかに会社にぶら下がっていたかを痛感した。同時に、個性や主体性の発揮は他人がいて初めて成立するものであって、独りぼっちになれば何もできないことを学んだ

若い時に華々しく活躍する人も多い。それはそれで素晴らしい。ただ悲しいことに、人は若い時の喜びをいつまでも貯金しておくことはできない。大会社の役員であっても、会社を辞めれば“ただの人”である。一方で、若い時には注目されず、中高年になっても不遇な会社人生を送った人でも、定年後が輝けば過去の人生の色彩は一変する

地方の人事課長は、「60歳で退職してもやることはいっぱいある職員が多い。むしろ地元では手ぐすね引いて待っている」と言う。実家の農作業だけでなく地元の自治会の幹事や消防団の役員など、60歳はまだまだ若手なので地元にいる人たちから頼りにされるというのだ

定年後の課題が大きいのは都心部であって、地方では退職後も地域に自分を求めてくれる場があるので、定年前後のギャップは圧倒的に小さい

退職することによって生まれた時間をどのように過ごしてよいのかが分からずに戸惑っている人が少なくなかった

いい夫婦になるには経済優先から人生優先への転換が必要

私は「しなくてもいい自由」の余生だって素晴らしいと思っている。要は、何をやってもよく、何もやらなくていい。自らの個性にあった働き方、生き方をすればよいのだ。大切なのは退職後の一日一日を気持ちよく「いい顔」で過ごせることだ

定年になったシニアが在職中の経験や人脈を生かして、短時間だけビジネスの相談に乗る「スポットコンサルティング」が増えている

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本書の中には、著者が取材した定年後の人物の例がたくさん書かれており、働く人が引退するとどんな心境になるのか、よくわかりました。

やはり人は一生働き続けた方がいい、そして人生の後半は生き方を経済優先から人生優先に切り替えたほうがいい。そしてその準備は今から始めたほうがいい。

人生を逆算して考えるきっかけとなる本です。

ぜひ読んでみてください。

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『定年後』楠木新・著 中央公論新社

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◆目次◆

第1章 全員が合格点
第2章 イキイキした人は2割未満?
第3章 亭主元気で留守がいい
第4章 「黄金の15年」を輝かせるために
第5章 社会とどうつながるか
第6章 居場所を探す
第7章 「死」から逆算してみる 

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