2017年3月8日

『再起動(リブート)』斉藤徹・著 vol.4613

【大興奮の起業物語!しかも天羽ちゃんが…】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478066256

ここ数日、一気に読むのがもったいなくて、ちびちび読んでいた本があります。

オフィスで読んでいたところ、たまたまセミナーのお手伝いで来社したインターンの天羽ちゃんに、声を掛けられました。

<土井さん、それ斉藤さんが書いた『再起動(リブート)』ですよね。その本に、私の父が出ているんです!>

そう、土井が読んでいたのは、ダイヤルQ2ブーム時代にフレックスファームを創業し、2005年にはSNSブームの先駆けとなったループス・コミュニケーションズを創業、いずれの事業でも資金繰りや裏切りの地獄を見て、4度の危機から這い上がった起業家、斉藤徹さんによるリアル起業ストーリー。

インターン天羽ちゃんのお父さんは、この著者であり起業家、斉藤さんの「悪友六人組」の一人。当時読売広告社にいて、著者の広告参謀となった人物なのです。

「ちびちび読んだ」ことからもわかるように、本書の面白さは半端ではありません。

というか、同じ起業家として、どうやったらこんなにトラブルが起きて地獄を見て、そこから這い上がれるんだろう、と疑問に思うほどの大波乱劇なのです。

ノンフィクションとして読んでも面白いですし、起業家にとっては転ばぬ先の杖となる一冊でもあります。

順調に経営していたら絶対に知り得ない、資金繰りのための方策や会社救済のための奥の手などが書かれており、じつに良い勉強になりました。

「ファクタリングってこういう時に使うんだ」「こんなところにリスクが潜んでいるんだ」と、内容がいちいち新鮮でした。

起業家にとって、こんなに美味しいごちそうもありません。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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プロレス道場の情報量は一二秒一〇円で、同時に一二人が利用できる。サーバー稼働率が五〇%でも、一日あたりの売上は四〇万円を超える計算だ。僕たちが会社で仕事をしているあいだにも、いや、酒を飲んだり旅行に行ったりしている時でさえ、サーバーは黙々と仕事をこなし、みんなの給与をはるかに超えた金額を稼ぎ出してくれる。僕たちは打ち出の小槌を手に入れたのだ

リスク管理に長けた経営者であれば、市場縮小の兆候を敏感に察知し、すぐに身の丈に合ったサイズまで事業の縮小を断行したはずだ。しかし、僕はリストラに踏み切れなかった。なんとかして事業を維持したい。社員の悲しむ顔を見たくない。そのため、僕の打ち手はことごとく後手に回った

タケからの情報をもとに福田が調査すると、さまざまな事実が発覚した。一五名ほどいた技術系社員のうち、四名がオウム真理教の熱心な信者だったのだ。彼らは社員紹介ということで次々と入社し、中核的な立場でシステム開発をこなす傍ら、社内で布教を進めていた

岩郷氏は神様が僕たちのもとに使わした救世主だったのだろうか。いや、内実はそう単純な話ではなかった。「大飯食うヤツは大糞を垂れる」も彼の口癖だったが、彼はまさにそれを地で行く人物だったのだ

目の前にある現実は限りなく厳しい。あたかも何重にも固く絡まった糸の玉のようだ。だが、それらは僕自身が編んでいった糸なのだ。どれだけ絡まった糸の玉でも、一本一本、丹念に選り分けていけば、必ず解きほぐすことができるはずだ

危機のまっただ中で、唯一積極的に融資拡大に応じてくれた金融機関があった。日本長期信用銀行傘下のノンバンク、日本リースだ。彼らはファクタリングという手法で僕たちの資金需要に応えてくれた。ファクタリングとは企業が持つ売上債権を買い取り、支払いサイトの期日前に入金する仕組みだ(中略)これを機に、フレックスファームの借り入れ先は銀行から日本リースに一気に移ってゆく。捨てる神あれば拾う神あり。これでなんとか目先の資金は持ちそうだ。そう思った矢先に、その事件は起きた

急拡大した組織には落とし穴があった。ハイレベルな人材を集めることに集中しすぎて、幹部社員間の信頼関係の構築を怠っていたのだ

守銭奴だと蔑まれてもいい。人の評価を気にするのもやめよう。明日を気に病むのもやめよう。大切なものを守るためにすべてを捨てよう。そんな断固たる決意のもとに、僕は三本の矢を実行に移した

起業家の存在意義は、やみくもに会社を大きくすることではない。自分たちが生み出すプロダクトやサービスを通じて、人々の幸せの循環を生み出し、よりよい世の中を創ってゆくことだ

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プロローグに、著者が学習院大学の「起業論」で学生に問いかけた質問がありました。

「起業で一番大切なものって、なんだと思う?」(中略)
「鈍感なことだよ」

著者は、続けてこう言います。

「僕には四度、死ぬチャンスがあったんだ」

起業や人生で困難に見舞われた時、どう考え、どう乗り越えればいいのか、強力なヒントと励ましをもらえる内容です。

最終的に人はどう生きるべきなのか、何が事業の目的なのか、大いに考えさせられました。

これはぜひ、ドラマ化していただきたい一冊です。
もちろん、必読です。

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『再起動(リブート)』斉藤徹・著 ダイヤモンド社

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◆目次◆

第一話 ブレイクスルー 自由への始動
第二話 リアリティ 起業の現実
第三話 ブレイクアウェイ 依存心との訣別
第四話 ベンチャーバブル 狂乱の宴
第五話 ロックボトム 失意と戦いの日々
第六話 パラダイムシフト 再挑戦、そして覚醒
第七話 リブート 再起動

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