2017年3月25日

『フィードバック入門』中原淳・著 vol.4630

【部下育成のシンプルな技術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569832903

学生時代、担当教授から、「人はフィードバックでしか育たない」ということを学びました。

どんなに優れた話し手をゲスト講師に招いても、どれだけ啓発しても、フィードバックをしない限り、人は育たないのです。

本日の一冊は、経営学習論、人的資源開発論を専門とする東京大学准教授、中原淳さんが、この「フィードバック」をテーマに書いた人材育成のノウハウ書。

学術的に裏付けの取れている指導法であることに加え、実際の指導場面が見える具体的な会話例が盛り込まれており、極めて実践的な内容です。

部下との面談で、何をどんな順番で話せば良いのか、タイプ別に異なる部下の「反論」にどう対処すれば良いのか、かなり突っ込んで書かれています。

部下との面談がストレスになる、という人は必読の内容です。

もともとは雑誌『THE21』に連載していた「『部下を育てつつ、成果を出す』たった一つの方法」をもとに大幅加筆・修正したものだそうですが、そのためか文章も読みやすい印象です。

正しいフィードバックの方法とは一体どんなものか。

さっそくポイントを見て行きましょう。

———————————————–

◆フィードバックの2つの働きかけ
1.【情報通知】
たとえ耳の痛いことであっても、部下のパフォーマンス等に対して情報や結果をちゃんと通知すること(現状を把握し、向き合うことの支援)
2.【立て直し】
部下が自己のパフォーマンス等を認識し、自らの業務や行動を振り返り、今後の行動計画をたてる支援を行うこと(振り返りと、アクションプランづくりの支援)

オーストラリアのテニスチームの監督を二十五年に渡って務めたハリー・ホップマンという人がいます。彼は、テニスの四大大会で年間グランドスラムを二度も達成した唯一の選手ロッド・レーバーや、四大大会を十七度も制した“悪童”ジョン・マッケンローを育てた名伯楽ですが、彼はまさに選手を「ストレッチゾーン」に入れる名人でした。練習のときに、「選手が伸ばしたラケットのボール一個分だけ先に、ボールを出す」「それに届いたら、さらにボール一個分だけ先に」と、選手が打ち返せたときに自信になるようなところにボールを打ち、その能力や精神力を鍛えていったのです

職場で人が育つためには、三つの他者からの支援が必要であることがわかりました。大きく分けて「業務支援」「内省支援」「精神支援」の三つです

「ここ半年の営業実績の件だけど、(=シチュエーション)電話でのアポイント件数が一日平均一〇件に達していないようだね(=ビヘイビア)営業実績が前年比で四割下がってしまっているよ(=イ
ンパクト)」というように、具体的に部下のどの行動(ビヘイビア)が問題なのかを指摘することで、部下は、どの行動を改善すべきなのかがわかります

部下の振り返りのために、マネジャーは具体的には次の三つのポイントについて話してもらうように、導いていきます。それは「(1)What?(何が起こったのか?)」「(2)So what?(それは、な
ぜなのか?)」「(3)Now what?(これからどうするのか?)」の三つです

すぐに激昂してしまう「逆ギレ」タイプ
→「◯◯さんはどうすればいいと思う?」と改善策を聞く

何を言っても黙り込む「お地蔵さん」タイプ
→変にフォローすると刺さらなくなる。こちらも負けじと黙り込む

上から目線で返される「逆フィードバック」タイプ
→「もし君が上司だったら、この職場をどう変えるの?」と意見を求める

前評判と働きが違う「他では優秀」タイプ
→「郷に入れば郷に従え」とはっきり伝える

———————————————–

著者いわく、<フィードバックとは端的に言ってしまえば、「耳の痛いことを部下にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直すこと」>

やはり、上司は部下に嫌われることを恐れてはいけないということですね。

ノウハウに加え、マネジャーとしての心構えも支援してくれる本です。

ぜひ、読んでみてください。

———————————————–

『フィードバック入門』中原淳・著 PHP研究所

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569832903/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B06VVQ8V36/

<楽天ブックスで購入する>
http://bit.ly/2ng8tjP

———————————————–

◆目次◆

第一章 なぜ、あなたの部下は育ってくれないのか?
第二章 部下育成を支える基礎理論 フィードバックの技術 基本編
第三章 フィードバックの技術 実践編
第四章 タイプ&シチュエーション別 フィードバックQ&A
第五章 マネジャー自身も成長する! 自己フィードバック・トレーニング

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー