2016年8月12日

『「行動デザイン」の教科書』 博報堂行動デザイン研究所、國田圭作・著 vol.4405

【「行動」に着目するマーケティング】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799104985

だいぶ前になりますが、元・花王の経営者、常盤文克さんが書かれた『コトづくりのちから』という本を読みました。

※参考:『コトづくりのちから』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822244954/

これからのマーケティングはこれだ! というひらめきがあり、思わずスタッフにそれを伝えるために、夏、海で使う浮き輪を持って出社したことがありました。

不思議なことに、浮き輪がひとつあるだけで、夏の雰囲気が作れてしまうんですね。

モノだけを売る時代はとっくに終わったのに、いまだに企業は、自社の「モノ」をどう売るかばかり考えています。

本日ご紹介する一冊は、そんな企業経営者、マーケターに、「行動デザイン」という新たな視点を提案する一冊。

著者は、博報堂行動デザイン研究所と、同研究所所長の國田圭作さんです。

本書で著者らが提案するのは、「行動で市場を括り直す」というアプローチ。

このアプローチで市場を括り直すと、ある商品は「コーヒー市場」ではなく、「朝の目覚め市場」、「チョコレート市場」ではなく、「受験生応援市場」になり、競合と違うポジショニングができるよ
うになるのです。

いわく、「これからは、生活者のどんな行動をとり合うかという競争になる」。

では、どうすれば行動発想のマーケティングが可能になるのか、どうすればチャンスをつかみ、消費者の行動を促せるのか。

さっそく、そのヒントを見て行きましょう。

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「朝食市場」という括りでも悪くはありませんが、生活者がその時間をどう過ごしたいのか、までもっと踏み込んでみましょう。例えば「朝の目覚め市場」というような捉え方はどうでしょうか

「受験生応援行動」という括りが新しい市場をつくり出した

本当に人を動かそうと考えるなら、単にターゲットが「行きたくなる」施策を考えるだけではダメで、連れの「OK率」を上げておくアイデアが同時に必要

自分の馴染みのものには、リスク感を感じにくくなる

「レーン・チェンジ」というのは、今、自社商品がいるポジション(レーン)を、近くのポジション(レーン)に置き直してみる、という思考法です

取っ手のついた大きなジョッキで、乾杯しながら豪快に、ごくごく飲む。この飲み方は実はウイスキーとしては、かつてない新しい楽しみ方でした。でも、それは生ビールや酎ハイで経験済みの「馴染
みの飲み方」です

冷蔵庫の使い方からも行動チャンスが見つかる

「本当はもっと◯◯したいと思っているのに、現状は△△である、という状況が、「行動チャンス」」です

「帰属意識」を刺激されると、人は動く

トイレの入り口の床やお店のレジ前の床に引かれた、あの線のことです。線1本が、「この手前に並んで順番を待つこと」というサインになっているのです。今では誰もが行儀よくその線の後ろに並んで、おとなしく順番を待っています

その試用体験が生活者にとって少しも無駄な時間(=コスト)ではなく、「今、したいこと」「今、必要なこと」になっているかどうかが非常に重要

「すべてを行動で考える」という発想に立つと、PRコミュニケーションも「モノのPR」ではなく、「行動のPR」になってくる

支払うべきトータルのエネルギーコストが小さいことが、行動の開始だけでなく、習慣化も支えている

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事例のほとんどが既視感がある、という点が若干残念ですが(ルーマニアの「ROMチョコ」の話は面白かったです)、気づきを得る、という意味では良い本でした。

経営者、マーケターはぜひチェックしてみてください。

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『「行動デザイン」の教科書』博報堂行動デザイン研究所、國田圭作・著 すばる舎

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◆目次◆

第1章 なぜ、そのマーケティングはときどきうまく行かないのか?
第2章 マーケティングは、生活者の「行動」をとり合う競争だ
第3章 人を動かす「行動デザイン」という発想
第4章 リスク感とコスト意識が、行動の鍵をにぎっている
第5章 行動を喚起する「行動チャンス」を日常から見つけよう
第6章 行動デザインのつくり方・6ステップ
第7章 行動を誘発する仕掛け
第8章 なぜコンビニエンスストアの100円コーヒーは大ヒットしたのか?

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