2016年6月4日

『投資家の父より息子への13の遺言』 高橋三千綱・著 vol.4337

【芥川賞作家が書く、株の秘伝とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4864900566

昔、ニコラス・ダーバスという人が書いた『私は株で200万ドル儲けた』という本があって、じつに刺激的な内容だったことを覚えています。

※参考:『私は株で200万ドル儲けた』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4775970100

折しもITによる上昇相場が始まる直前で(2002年)、これで上がったテンションで日本株、中国株などで稼がせてもらいました。

特徴はというと、要するに著者がやってきた株投資を事細かにレポートした内容で、それだけに臨場感がある。そしてところどころ、著者の投資理論が挟み込まれる、というスタイルでした。

思うに株本は、このスタイルか、偉人によるインタビュー形式が面白い。『マーケットの魔術師』は、後者の典型例だと思います。

※参考:『マーケットの魔術師』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4939103404

本日ご紹介する一冊は、個人の株投資をつぶさに記録した内容で、著者は株投資歴40年の芥川賞作家、高橋三千綱氏。

本書は、50歳でファンドマネジャーをやめ、その後個人投資家として18年間で3000万円の元手を数十億円の資産にしたM氏の手記に基づいた内容です。

主人公がいかにして資産を増やしたのか、どう相場を見ているのか、息子に伝えたい投資の心構えとは…。

芥川賞作家が書くだけあって、文章はバッチリ。じつに面白い読み物です。

さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。

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◆4つの法則
1.10%損切りルールを守る
2.ピラミッティング、いわゆる買い乗せをする
3.買い下がり、売り上がり、はしない。つまりナンピンはしない
4.トレンドに逆らわない

株式相場には4つの局面がある。それは「金融相場」、「業績相場」、「逆金融相場」、「逆業績相場」であり、この順番は変わることはないというものであった(浦上邦雄氏の話)

つまり、「金融相場イコール金融関連相場」というのが浦上さんの話だった。金融関連株が上がるにつれて財投関連株が人気になる。政府が在庫で苦慮している企業に対して大型プロジェクトを組み、公共施設などに投資する。そこで人気になるのが建設、土木、大手不動産などである。「さらに金利低下の局面で買われるのが公共、サービス関連株、電力、ガス、電鉄、空港、放送などである」

金融相場は永遠には続かない。前節で書いたようにやがて中間反落となり、業績相場がくる。その変換期の状況を、浦上さんは「天、底一致」といっていた。金融関連株が天井をつけた同じ年に、大底をつける産業があるということだ

人生で大事なものはたくさんあるが、最初にくる人生訓は「積極性」だということだ。このことは私の人生の師である中村天風氏から最初に教わったことである

この1年はまさに奇跡だった。2ヶ月で3000万円の資産が1億円になったのも驚きだが、それからの10ヶ月で資産がヤフーとソフトバンクの暴騰に乗っかり、15億円を超えたのは驚き以上の震撼があった

ほとんどの投資家が損切りをできないのは、目の前に出ている評価損は数字だけであって、実際に損は出ていないと考えてしまうからだ。それは現実を見ていない。持ち株を整理してしまえば分かることで、数字上だけでなく損失は実現しているのだ

17年9月の業績相場では鉄鋼、海運、化学、非鉄金属、金属製品などが主役となり、株式市場はバブル再現となる。前年3月、1万8000円まで下がった日経平均は2万5000円まで駆け上がる。そのときは、とことんバブルを楽しもうではないか。1億円を100億円にのロマンは生涯持ち続けよう

投資家として生きるための投資法とは、つまるところ、成長株を正しいタイミングでとらえて売買を繰り返すことだ

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どこからどこまでが創作なのか、主人公は一体誰なのか、謎が残ったままなのが難点ですが、それを除けば興味深い投資指南書です。

主人公の過去の取引への反省や、大当たりした時の心情がよく書き込まれており、下手なノウハウ書よりもずっと実感を持って株取引の妙味を感じることができました。

ところどころ、実名が出てきたり、証券会社批判があったり、金融業界の関係者が読めば、また違った味わいがあるのではないでしょうか。

風変わりな本ですが、要チェックの一冊です。

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『投資家の父より息子への13の遺言』高橋三千綱・著 電波社
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◆目次◆

第1章 千載一遇のチャンス
第2章 投資家の父より息子へ、投資の極意とは
第3章 投資の法則
第4章 証券マンを体験する
第5章 投資家はバフェットを真似る
第6章 ファンドマネジャーの道へ
第7章 相場には4つの局面がある
第8章 業績相場への転換期
第9章 中間反騰から逆業績相場
第10章 個人投資家として生きる
第11章 100年に一度の大相場
第12章 効率のいい投資法
第13章 バブルを楽しめ

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