2016年5月3日

『理系に学ぶ。』川村元気・著 vol.4305

【川村元気が日本を代表する理系人にインタビュー】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478068887

学生時代、ゼミの担当教授に言われたことは、「市場と技術なら、迷わず市場を選べ。技術はカネで買える」ということでした。

しかし、現実を見ると、最近活躍している経営者には技術者、理系出身者が多く、彼らの能力は希少なため、カネで買うのは極めて難しい状況です。

こうなると、多くの文系出身者には、理系コンプレックスが生まれて当たり前。

本日ご紹介する一冊は、そんな理系コンプレックスから、名立たる日本の理系人材にインタビューしたという、川村元気さんの渾身の一冊。

解剖学者の養老孟司さん、ドワンゴ代表取締役会長の川上量生さん、『ポリンキー』『バザールでござーる』で知られるクリエイターの佐藤雅彦さん、『スーパーマリオ』『ゼルダの伝説』で知られるゲームプロデューサーの宮本茂さん、人工知能研究者の松尾豊さん、ユーグレナ代表取締役社長の出雲充さん、LINE取締役の舛田淳さん、MITメディアラボ所長の伊藤穰一さんなど、計15人の豪華インタビュー集です。

どんな内容が書かれているのか、インタビューのなかから、気になった部分をピックアップしてみましょう。

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「世の中のことは20%くらいは違っているかもしれない」と疑ってないと、えらいことになりますよ(養老孟司)

ロジックで組み立てた話は、だいたい結論が同じになってしまう。(中略)論理的な議論として非論理的なことをやるというか、非合理的に見えることをやるのが、結局合理だということじゃないですか(川上量生)

映画に限らず、佐藤さんは広告でも、「作り方を作る」ところから始めている印象があります(川村元気)

CBGBって「AB A’B’」という構造をしているんです。例えば『ぐりとぐら』とか『キットカット』も、CBGBの形をしている。それで、「次にネーミングかキャッチコピーを作るときは、AB A’B’でいこう」と思っていて、そこから生まれたのが『バザールでござーる』です(佐藤雅彦)

ディープラーニングで画像認識が高いレベルでできるようになると、次は「身体能力の向上」「言語技術への適用」という順番で進化していきます(松尾 豊)

人を笑わせるということは、僕はけっこう、人工知能でもいけるかなと思っています。特に一発芸的なものは、ディープラーニングがどんどん自分で試行錯誤しながら、精度を高めていくはずです(松尾 豊)

芸樹的に美しいとか、人間の進化の過程でいろいろなパラメータとして作り込まれた部分に依拠する感情を人工知能が模擬するのは、すごく難しいと思います(松尾 豊)

クローズドだからこそ余分なものは排除したかったんです。例えばメールで言う「件名」も要らない。LINEのチャットの部分は日本では「トーク」となっていますが、まさに会話をするようにLINEを使ってくださいと。そうなると、既読かどうかがわからないと、リアルタイムでぽんぽんと会話は成立しない(舛田 淳)

最近気づいたのは、人間が誰かを求める感情をすべて「恋愛」という単語にあてはめようとすると、どうしても無理が出てくる。今は価値観が複雑な時代になって「あなたと私」の生きている宇宙に隔たりができてしまっている。だから「恋愛」はもう、みんなにとって共有されるものじゃないし、危ういなと思ったりもしています(川村元気)

あんまり分けちゃいけないよね。数学も文学もそれぞれが一つの言語で、言語によって表現できることや考えることが違うだけ。アーティストだけがアーティストなわけじゃないし、物理学者だって芸術家だってこと(伊藤穰一)

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疑うことの大切さや、論理の大切さ、そして人工知能時代でも失われない人間の価値…。

来るべき人工知能社会において、われわれが何を重視していけばいいか、どんな働き方、考え方をすればいいか、たくさんヒントが見つかる内容です。

ぜひ、読んでみてください。

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『理系に学ぶ。』川村元気・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆

理系001 養老孟司
理系002 川上量生
理系003 佐藤雅彦
理系004 宮本 茂
理系005 真鍋大度
理系006 松尾 豊
理系007 出雲 充
理系008 天野 篤
理系009 高橋智隆
理系010 西内 啓
理系011 舛田 淳
理系012 中村勇吾
理系013 若田光一
理系014 村山 斉
理系015 伊藤穰一

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