2016年5月6日

『新世代CEOの本棚』 堀江貴文、森川亮、佐渡島庸平ほか・著 vol.4308

【新世代CEOの愛読書は?】
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人間を深く知るためにすべきこと。それは、その人物が何かに「反応(リアクション)」するシーンを観察することです。

気難しい人に嫌味を言われた時、小難しい本に対峙した時、反対にやさしく声をかけられたり、楽しそうな本を提示された時…。

これらすべてのケースへの反応(リアクション)がその人間を最もよく語るのです。

以前テレビでご一緒した、脚本家の北川悦吏子さんも、ドラマで「いい男」を描く時、「リアクション」を重視するのだとおっしゃっていました。

いわく、「私が描くいい男は、リアクションがいい男なんです」。

本日ご紹介する一冊『新世代CEOの本棚』は、古今東西の良書を、次世代を担うCEO10人が評した一冊。

書籍の主張に対し、10人がどう「反応(リアクション)」したか、そこを読むのが、最も勉強になるでしょう。

たとえば、フィンテックの一翼を担う、メタップスCEO、佐藤航陽氏は、一時流行した『リーン・スタートアップ』について、こう持論を述べています。

<数年前に流行した『リーン・スタートアップ』は、変化のスピードがあまりにも速くなってしまったために、もう役に立たなくなってきたと感じています。情報と資本の流動性が高くなりすぎて、全員が同じことをやり始めた結果、変化を見てすぐに対応しても、その時点ですでに時代遅れになってしまうことが起きています。タイミングを読んで先回りする以外は、差別化するのが難しくなっているのです>

また、クロスカンパニーCEOの石川康晴氏は、松下幸之助の『商売心得帖』を読んで倒産の危機を逃れたらしく、当時をこう述懐します。

<カネもなければ、人もいない。もちろん売れる見込みもない。それでもなお、「自分が正しい」と突っ張っていた。若かったせいもあって、「理解できないやつなんていらない、辞めてしまえ」と本気で思っていましたから。けれど、そんな僕にこの本は「世間は正しい」と言ってくる。そうか、もしかしたら自分が間違えているのかもしれない。不思議と素直にそう思えました>

どの経営者も、ただ本を読んで終わりにするのではなく、そこから学びを得たり、実践したり、実践の結果再度学んだりしている。

これぞ経営者の読書!とうならせる内容でした。

さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。

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『遠い落日』(書評by堀江貴文)
私財をなげうって野口英世の散財を支えた歯科医、血脇守之助が後年、息子に向かって「男にだけは惚れるな」と言ったというのが印象的です。「惚れて女に注ぎこむ金はしれている。しかし男は怖い。一度吸われたら、どこまで吸いとられるかわからない底なし沼である」

『7つの習慣』(書評by森川亮)
僕たちは毎日忙しくて、つい目の前の仕事ばかりやってしまうけれど、それだと自分が本当にやりたいことはできない。そのための時間が確保できないからです。だからこそ、最終的なゴールから逆算して、今やるべきことを忘れずに実行するように、スケジュールを立てて手帳に書いておく。そういう行動様式ができあがったのは、完全にこの本の影響です

『社長失格』『追われ者』(書評by朝倉祐介)
ハイパーネットは事業資金をデットで調達していたわけですが、こういう本を読むと、デットとエクイティの性質の違いを見につまされて理解することができるし、スタートアップでの資金調達における考え方を学ぶこともできます。一方で、返済義務を伴わないエクイティファイナンスがいいのかというと、そんなことはありません。当時史上最年少で上場したクレイフィッシュの元社長が社長の座を追われるに至った顛末をまとめた『追われ者』を読めば、外部の投資家に株式を発行するということがどういうことなのかが理解できます。たとえば、オーナー創業者が資金調達のために第三者割当増資をした時点で、部分的には「身売り」しているということをわかっておく必要があります

『もういちど読む山川日本史』(書評by朝倉祐介)

『リーン・スタートアップ』(書評by佐藤航陽)
数年前に流行した『リーン・スタートアップ』は、変化のスピードがあまりにも速くなってしまったために、もう役に立たなくなってきたと感じています。情報と資本の流動性が高くなりすぎて、全員が同じことをやり始めた結果、変化を見てすぐに対応しても、その時点ですでに時代遅れになってしまうことが起きています。タイミングを読んで先回りする以外は、差別化するのが難しくなっているのです。その意味で、未来を見通す力が重要になってきているので
すが、私は、未来予測には3つのベクトルがあると考えています。人間の感情と、経済(おカネ)と、テクノロジーです

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どの書評も素晴らしいですが、個人的に最も感銘を受けたのは、ミクシィ復活の立役者、朝倉祐介氏の舌鋒鋭い書評。

紹介されている本も、『社長失格』『追われ者』『ザ・ラストバンカー』『君主論』など、尖ったものが多かったように思います。

現在活躍している人の顔ぶれを見るだけでも面白いですが、セレクトされている本、さらには各人のビジネス哲学が面白い。

これはぜひ読んでみてください。

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『新世代CEOの本棚』堀江貴文、森川亮、佐渡島庸平ほか・著 文藝春秋
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/416390428X

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◆目次◆

01 堀江貴文
02 森川亮
03 朝倉祐介
04 佐藤航陽
05 出雲充
06 迫俊亮
07 石川康晴
08 仲暁子
09 孫泰蔵
10 佐渡島庸平

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