2016年2月22日

『最速で身につく世界史』角田陽一郎 vol.4234

【世界史をバラエティ化した珠玉の一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4776208784

大学時代、大検を受けたいという女の子に、英語と世界史を教えていました。

なぜ文明が大河のあるところから始まったか、という話に始まり、原理原則的なことをなるべく噛み砕いて、わかりやすく楽しく伝えるよう努力しました。

結局、彼女は平均40点だった成績を80点超にまで上げ、晴れて合格したのですが、楽しく学べば人がいかに理解できるか、ということを思い知らされる経験でした。

いつかこういう「楽しい学び」を実現してくれる教科書に出合えないものかと思っていたのですが、最近素晴らしい本を発見しました。

TBSで「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」など、バラエティ番組を数多く手掛けてきた角田陽一郎さんによる、『最速で身につく世界史』です。

本書は、著者が東京大学時代に専攻した世界史の面白さを、もっと多くの人に知ってもらいたいということで発行されたものですが、そのバラエティ的に読ませる手法に、舌を巻きました。

<人はお腹が空くと革命を起こす>
<敬愛するアーティストがソロアーティストかグループか(中略)それが一神教と多神教の大きな違い>

など、本質をズバリえぐりながら、ちょっと笑いが入る、そんなテイストで世界史が解説されているのです。

これを読めば、どんなに世界史が苦手な方でも、きっと興味が持てるはず。

さっそく、内容のエッセンスを見て行きましょう。

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毎年決まって氾濫が起こるこの周期性こそが、エジプトで計画的な文明を誕生させました。毎年決まった時期に増水が始まるわけですから、その日を元旦に設定して1年が365日の太陽暦が作られました。なんとこれが、現代の暦の起源にまでなっています

争いが絶えない社会の維持のために必要なこと、それは「人と人との取り決め=契約」でした。その契約はなくならないように硬い粘土板に楔に似た形に削った印を刻み、契約文書が作られました。それが楔形文字の始まりです

現在のイランという国は、このようにかつて巨大な帝国を作ったペルシア人の末裔の国というプライドを持って行動しています

新たな宗教が広がるきっかけは、社会に不満が高まっている時が多い

人も動物も、横移動の方が縦移動に比べて移動しやすい

王国の代表者は「王様」で、共和国の代表者は「大統領」。基本的にはこの二つだけだと思ってください

社会主義の国では、その国の代表は人ではなくて会議なのです。みんなで偉い人を選ぶのではなくて、みんなで選ぶ会議が一番偉いという考え方です

革命を推進する力とは、民衆のエネルギーです。そのエネルギーとは、長年溜まった不満や鬱憤などの「気持ち」です。この気持ちに、外から「理念」が注ぎ込まれると、途端に発火して燃え上がり、やがて連鎖します、それが革命です

ガス灯とそれに続く電灯の発明によって、人類は夜も活動できるようになり、生活時間が伸長しました。蒸気機関によって「世界は縮小に向かい」、照明器具の革新によって「世界は拡大に向かった」とも言えるかもしれません。「動力革命」とはいわば「無限革命」であり、人類は理念として“無限”を手に入れたのです

写真の発明で絵画に正確さを求める必要が薄れました。それが19世紀後半の印象派などの芸術の多様化に結びついていきます

「世界の工場」イギリスが欲しかったのは、植民地よりも商品の輸出先

情報があればモノを持たなくてもよくなった

20世紀が大量生産・大量広告・大量消費というマスの時代であったことに対して、情報革命以後の21世紀の現代、そしてこれから来る未来は、適量生産・適量宣伝・適量消費という全く新しい個人の経済に向かうということを意味します

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学生時代、世界史が苦手だった方、そもそもきちんと学んだことがないという方、お子さんが世界史で苦しんでいるという方は、「マストバイ」な一冊です。

塩野七生さんの著書しかり、マクニールの『世界史』しかり、面白い世界史は、著者に独自の「軸」があるものですが、本書もまた強固な「軸」(=バラエティ)を持った一冊です。

騙されたと思って、ぜひ読んでみてください。

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『最速で身につく世界史』角田陽一郎・著 アスコム
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4776208784

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◆目次◆

第1講 文明の話
第2講 水の話
第3講 宗教の話
第4講 思想の話
第5講 帝国の話
第6講 商人の話
第7講 中華の話
第8講 民族の話
第9講 征服の話
第10講 周縁の話
第11講 発見の話
第12講 芸術と科学の話
第13講 国家の話
第14講 約束の話
第15講 理想の話
第16講 革命の話
第17講 産業の話
第18講 統合の話
第19講 分割の話
第20講 戦争の話
第21講 イデオロギーの話
第22講 お金の話
第23講 情報の話
第24講 未来の話

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