2016年1月24日

『まだ東京で消耗してるの?』イケダハヤト・著 vol.4205

【環境を変えるという選択肢】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344984056

先日行われた講演会で、「住む場所」を変えることの重要性をお伝えしました。

以前ご紹介した『年収は「住むところ」で決まる』を引用するまでもなく、住む場所は、成功する上で重要なファクターです。

※参考:『年収は「住むところ」で決まる』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833420821

住む場所によって、給与水準はもちろん、付き合う人の質、法規制、ビジネスチャンス、すべてが違ってくるからです。

本日ご紹介する一冊は、地方移住することで上手く行ったというブロガー、イケダハヤトさんによる一冊。

著者は、高知県の限界集落に移住して、年商が800万円から2000万円程度まで伸びたそうですが、これに加え、住居費も大幅に節約。現在は、月3万円の家賃で駐車場、庭、畑付きの一軒家に暮らしているそうです。

東京暮らし、地方暮らし、それぞれのメリット・デメリットはあると思いますし、それぞれみなさんある程度は認識を共有していると思いますが、本書を読むと、これまで東京のメリットと信じられていたことが、意外とそうではないということも見えてきます。

たとえば、東京にいることのメリットの第一はビジネスだと思いますが、著者が指摘するのは、東京ではドローンが飛ばせない、という点。確かに東京にいると、規制がうるさく、起業家は試したくても試せないことが多い。

「Uber」「Airbnb」を生んだサンフランシスコは、規制が緩いため起業が活発化しているという話を聞きました。大都市だからというわけではなく、規制が多いという点で東京は起業に向かない面があるのかもしれません。

それと、東京では都知事に会うのは大変だけれど、地方なら会える、という点も斬新です。

先日ご紹介した『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?』に、旭川市長の西川将人氏が中国の航空会社を誘致し、旭川空港からの入国者が484倍になったという話がありましたが、積極的な政治家の後押しがあれば、大きなビジネスチャンスにつながることも多いのかもしれません。

※参考:『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか?』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833421623

これ以外にも、地方では「雇用」は少ないけれど、小さな「仕事」が山のようにあるという話は、とても勉強になりました。

地方移住をするしないに関わらず、現在の仕事や生活を見直す良いヒントとなる一冊です。

さっそく、そのエッセンスを見て行きましょう。

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東京では移動時間という人生の無駄遣いから逃れられない

往復で2時間を通勤に費やす人が、年間250日働いた場合、ざっくり500時間、通勤している計算になります

「移動しながら」という条件下においては、あらゆる作業の効率は落ちます。まずはそれを認めましょう

東京に住み続けるために35年ローンを背負うリスク

東京はコミュニケーションのためのコミュニケーションが多すぎる

パンパンに予定とタスクが詰め込まれた状態では、人は新しい価値を生み出すことはできませんから。空白にこそ、創造性は宿るのです

東京で子育てをしていると、親は罪悪感を抱く羽目になります。こどもが飛んだり跳ねたり騒ぐのは、もっとも原始的で当たり前の欲求です。ところが都会においては、こどもが自宅でジャンプしたり大声を上げることが許されません

地方では「雇用」は少ないけれど、「仕事」は山のようにあります。どういうことかというと、一つの仕事で数万円程度が稼げる「小さな仕事」がたくさんあるんですよ(中略)一つの仕事で食べていくのは難しくても、「複業」でやっていくことが前提なら、田舎に行っても十分メシを食うことは可能です。重要なのは、こうした細かい仕事は「来てみないとわからない」んです

都会ではもう「ドローン」は飛ばせませんよね(中略)東京はもう、新しいことを仕掛けるには「大きすぎる」とも言えます

人口1300万人を超える東京都で都知事に会うのは簡単ではありません。が、人口73万人の高知県はコンパクトですから、こうして直接県知事に会って話をして、有効な施策を直接訴えることができます。ぼくはこの「近さ」と「早さ」に感動しました

東京は「書き手」が多すぎて、ネタがかぶりまくります

地方には、「東京だったら絶対に誰かがすでにやっているビジネス」が、手つかずのまま残されている

無能だとされた人も、環境を変える「だけ」で、有能な人物に早変わりします。しょせん、人間なんてそんなものなのです。刺激的な表現を使えば、ぼくらは「環境の奴隷」なのです

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本書を読みながら、自分の移住歴を振り返っていましたが、気がつけば現在の千駄ヶ谷が18回目の住居となっていました。

住居を変えることは、視点を変えること、人脈を変えることにつながります。

著者の言う通り、クリエイターは特に移住をすることで見えてくるものがあるのかもしれませんね。

著者が東京に住むことのメリットをすべて理解しているわけではありませんし、これから地方に住み続けてどう意見が変わるかもわかりません。

また、著者独特の物言いが気になる方もいらっしゃるでしょう。

それでも、本書は自分の人生を考える上で、興味深い一冊だと思います。ぜひチェックしてみてください。

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『まだ東京で消耗してるの?』イケダハヤト・著 幻冬舎
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◆目次◆

プロローグ ぼくは東京を捨てました
第1部 東京はもう終わっている
第2部 田舎のほうが圧倒的に稼ぎやすい
第3部 限界集落に移住して、こんな幸せになりました
第4部 「ないものだらけ」だからこそ地方はチャンス
第5部 移住で失敗しないための5つのステップと知っておくべき制度
エピローグ あなたがダメなのは、あなたが無能だからではなく
「環境」が悪いだけ
おまけ 移住に関する「よくある質問」

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