2015年12月11日

『面白ければなんでもあり』三木一馬・著 vol.4161

【累計6000万部!辣腕編集者のヒット論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4048657151

仕事柄、ヒットを生み出した方の本は、ジャンル問わずひと通りチェックするようにしています。

興味深いのは、自分から遠い世界であればあるほど、気づきが多いということ。だからこそ、食わず嫌いをしないことを心に決めています。

本日ご紹介する一冊は、累計6000万部、『とある魔術の禁書目録』(累計1580万部)、『ソードアート・オンライン』(累計1130万部)、『灼眼のシャナ』(累計860万部)、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(累計500万部)などのヒット作を次々生み出しているカリスマ編集長、三木一馬さんによるヒット論。

ライトノベル界のトップレーベル「電撃文庫」編集長がその仕事術を語ったということで、ラノベファンはもちろん、出版業界からも注目されている一冊です。

不案内なラノベ関連の本ということで、恐る恐る手に取ったのですが、じつに丁寧に作品紹介があり、かつヒットの勘所も述べられていて、じつに勉強になりました。

「面白い」の本質、良いタイトルのヒント、読者がどんな主人公に共感するか、ストーリーをどう作るか、どう売るか…。

ビジネス書にも通じるヒントがたくさんあり、「これで1200円は安すぎる!」と大絶叫の一冊でした。

気になる中身のエッセンス、さっそくチェックしてみましょう。

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僕の考える、小説読者としての一番の快感とは何か。自分の大好きな作家や作品の新作を読むことは、喜びに満ちた素晴らしい時間です。『約束された面白さ』を享受されると安心できますし、心地よい快感があるものです。しかし僕は、最速最大ともいえる鮮烈な衝撃と快感が訪れるのは──カバーイラスト、あらすじ、タイトル、口コミ、きっかけはなんでも構わないのですが──自分の感性にビビッと来た新作を思い切って購入し、それが結果『当たり』だったときだと思っています

作家と新作の小説の打ち合わせをする際、僕は『書き始める前の準備』として、必ずその小説の『家訓』を決めています

『家訓』を決めるのに最も重要なカギとなるのは、その作家自身の『性癖』

人間は、自分の知らない世界を覗いてみたい願望を必ず持っています。自分とは縁もゆかりもない、ともすれば知らずに一生を終えたかもしれない未知の世界に「面白く楽しみながら」触れることができれば、人はよりいっそう惹きつけられます

『現実世界の自分はそうはなりたくないけど、この冒険は楽しみたい』というのが娯楽の根本的な考え方

面白い作品の主人公は、かならずと言っていいほど、相反するかのような二面性を持っています

キャラクター設定を決めるときには、まず『ギャップ』を決めます。ビジュアルでも性格でも異能の力でも構いません。「◯◯な人が××だったらかっこいいな」「◯◯な性格なのに、××な能力があったら面白いな」という感じで、「◯◯なのに××」を自由に発想してください

良い文章は説明を説明と思わせないということです。主人公の躍動感あるアクションシーンを読んでいたら、気づけばその作品に必要な知識が得られていた……などが良い文章の証です

『売れる、売れない』が『面白いか、面白くないか』でもないとすれば、一体なにで決まるのでしょう。僕は、その作品に触れた人の数で決まると思っています

期待を裏切らず、不安を裏切れ

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ラノベファンに向けたコンテンツもたくさんありますが、ヒットメーカーとして知っておくべき視点、原理もたくさん盛り込まれています。

著者、編集者、マーケター、コンテンツを生業にしている方は、ぜひ読んでみてください。

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『面白ければなんでもあり』三木一馬・著 KADOKAWA

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4048657151

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◆目次◆

第一章 読者に媚びない作品は格好悪い たくらむ(企画術)
第二章 『とある魔術の禁書目録』御坂美琴はなぜ短パンを穿いているのか
    つくる(創作術)
第三章 とあるラノベ編集の仕事目録 編集者になるまで編
第四章 『売れる』と『売れない』はココが違う 編み出す(編集術)
第五章 イラストは化学反応を起こすための起爆剤
    彩る(イラスト選定術)、魅せる(コピーライティング術)
第六章 とあるラノベ編集の仕事目録 編集者になってから編
第七章 メディアミックスとは『知る機会』を持ってもらうこと
    広げる(メディアミックス術)
第八章 全ての創り手は、『静かなるBUYサイン』を信じて進め 心構え術

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