2015年11月19日

『「ない仕事」の作り方』みうらじゅん・著 vol.4139

【みうらじゅんの仕事術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163903690

これまでに数多くのビジネス書を読んでいますが、「仕事術」に分類される本を読んで、大爆笑したことは一度もなかった気がします。

本日ご紹介する一冊は、漫画家、イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャンなど多彩な顔を持ち、これまでにさまざまなブームを仕掛けてきたプロデューサーでもあるみうらじゅん氏が、その発想のヒントと仕事術を語った一冊。

一人でネタを考え、ネーミングし、デザインや見せ方を考え、雑誌やテレビやイベントで発表する。おまけにそのために接待までする。著者はこれを「一人電通」と読んでいるわけですが、本書にはまさにこの「一人電通」の仕事術が書かれています。

思わず「くすっ」と笑いながらも、文中に面白さを創る方程式や、人を口説く極意、ブームを仕掛けるための手順が書かれており、じつに勉強になりました。

・名称もジャンルもないものを見つけ、名称とジャンルを与える
・A+B=ABではなく、A+B=Cになるようにする
 (AかBのどちらかは、もう一方を打ち消すネガティブなものにする)
・何でも言葉の終わりに「ブーム」か「プレイ」をつけてしまう
・恥ずかしいこと、口にしたくないこと、陽が当たっていないものごとに、名前をつけたり言葉を言い換えたりしてポップにする

著者の創作の秘密が書かれており、じつに読み応えのある内容です。

さっそく、エッセンスをチェックしてみましょう。

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私が名づけたブームのほとんどの名称は、水と油、もしくは全く関係がないものを結びつけるようにしています(中略)A+B=ABではなく、A+B=Cになるようにするのです。そしてAかBのどちらかは、もう一方を打ち消すようなネガティブなものにします

好きだから買うのではなく、買って圧倒的な量が集まってきたから好きになる

私のやっていることは、ほとんどが「ない仕事」なので、先方から依頼がくることはほぼありません。「いま、地方自治体のマスコットが面白いんですけど、みうらさん、取材しませんか?」などと好都合な発注を受けることなど皆無です。なのでいつも私は、「こんな企画があるんですが、どうでしょう?」と雑誌やテレビ局に持ち込んでいるのです

ブームというのは、この「勝手に独自の意見を言い出す人」が増えたときに生まれる

第一印象が悪いものは、「嫌だ」「違和感がある」と思い、普通の人はそこで拒絶します。しかしそれほどのものを、どうやったら好きになれるだろうかと、自分を「洗脳」していくほうが、好きなものを普通に好きだと言うよりも、よっぽど面白いことになる

ブームになるものはかなりの確率で、言葉が略されています。昨今のヒット商品番付と呼ばれるものを見ても、「アナ雪」「朝ドラ」「ハリポタ」「壁ドン」「ビリギャル」「パズドラ」……と、略語が多く目につきます。つまり、「約められる」ことが流行のルール

私は、20年ほど前から、「海女」ブームがくるに違いないと思っていました。それは高校時代、よくエロ映画で見ていた3本立ての中に「海女」シリーズが含まれていたからです

私が何かをやるときの主語は、あくまで「私が」ではありません。「海女が」とか「仏像が」という観点から始めるのです(中略)そもそも何かをプロデュースするという行為は、自分をなくしていくことです。自分のアイデアは対象物のためだけにあると思うべきなのです

「自分探し」をしても、何にもならないのです。そんなことをしているひまがあるのなら、徐々に自分のボンノウを消していき、「自分なくし」をするほうが大切です。自分をなくして初めて、何かが見つかるのです

高級車を買うよりも高級ドールを買うほうが、不自然

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原理原則が書かれたところでは、深く頷き、そうでないところでは思わず大爆笑してしまう。

そんな実用性とエンタメ性のバランスが取れた、素敵な一冊です。

これはぜひ読んでみてください。

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『「ない仕事」の作り方』みうらじゅん・著 文藝春秋
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163903690

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◆目次◆

まえがき すべては「マイブーム」から始まる
第1章 ゼロから始まる仕事
第2章 「ない仕事」の仕事術
第3章 仕事を作るセンスの育み方
第4章 子供の趣味と大人の仕事
あとがき 本当の「ない仕事」

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