2015年10月25日

『これだけは知っておきたいマイナンバーの実務』 梅屋真一郎・著 vol.4114

【マイナンバー入門】
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マイナンバー制度の「通知カード」の配達が、23日からついに始まりました。

企業にとっては多大な負担を強いられる制度のため、多くの出版社から書籍が出ており、どれも売れていますが、本日は、まず概要がざっくり把握できる気軽な新書をご紹介します。

ご紹介するのは、野村総合研究所 未来創発センター 制度戦略研究室長の梅屋真一郎さんが書いたマイナンバー本。

信頼ある「日経文庫」からの出版ということで、手に取りました。(日経文庫は名前こそ文庫ですが、じつは新書サイズです)

どの本でも書いているように、マイナンバーで対応が必要なのは、「給与厚生業務」と「支払い業務」の2つ。

われわれ出版業界では、従業員の給与厚生業務と、外部のライター、カメラマン、作家など個人にギャラを支払った際、マイナンバーの確認作業が必要になりそうです。

読んでいて感じたのは、今後、法人化していない個人は、マイナンバー実務の煩雑さから、発注してもらえなくなるケースが発生するかもしれないということ。

また、パート、アルバイトから派遣社員にシフトする可能性、未成年の雇用が敬遠される可能性など、雇用にはかなり影響があると感じました。

「雇用の流動性が大きい企業は負担が大きい」というのもポイント
ですね。

では、さっそくエッセンスを見て行きましょう。

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番号は個人番号(12ケタの数字)と法人番号(13ケタの数字)があり、それぞれ個人と法人に割り当てられます。特に、個人番号が「マイナンバー」と呼ばれます

マイナンバーは、社会保障や税という、あまり悪用のおそれがない分野から利用が始まります。自分になりすました犯罪者が、勝手に税金を納めたということはあまり考えられないと思います。実際にそのような分野から始めて、その利用状況を見ながら徐々に利用範囲を拡大していくのです

◆制度開始時点で適用される分野
(1)社会保障分野
・年金の資格取得・確認、給付を受ける際に利用
・雇用保険などの資格取得、給付を受ける際に利用。ハローワークなどの事務に利用
・医療保険の保険料の徴収など、福祉分野の給付、生活保護の実施など低所得者対策の事務に利用
(2)税分野
・国民が税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書など、すべて記載が必要

◆通知カード
原則すべての人の手元に届く「個人番号を証明する公的書類」
◆個人番号カード
通知カードの機能と身分証明証を兼ねた機能を持つカード

マイナンバーの対応に関して、従業員がきちんと理解できていなくて、外部への漏洩が起きた場合、従業員が最悪実刑の対象になる

企業が主催する講演会で社外の講師に講演料を支払ったような場合、支払い通知書に記載するために、講師のマイナンバーを知る必要がある

派遣社員に関しては、派遣元企業が給与厚生業務を行っており、派遣先企業では行っていません。そのため、派遣先企業ではマイナンバーの取り扱いをそもそも行う必要がないのです

雇用の流動性が大きい企業は負担が大きい

従来は、保管期間以上の保管をしていれば問題なかったのが、番号記載のある書類・帳簿については所定期間保管後、できるだけ速やかな廃棄が求められる

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実務に関する部分は手薄な印象の本書ですが、概要をざっくり知りたい方には、わかりやすくて良いと思います。

企業によっては、対応の遅れが甚大な影響を及ぼすと思います。

のんびり構えず、一冊でも良いので、まずは手に取って読んでみましょう。

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『これだけは知っておきたいマイナンバーの実務』梅屋真一郎・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532113385

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◆目次◆

第1章 なぜマイナンバーが導入されるのか
第2章 まずはここだけ押さえよう 制度の概要
第3章 対応すべき業務と、実務のポイント
第4章 安全管理と取り扱いの注意
第5章 個人への影響とこれからの展開

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