2015年8月18日

『文章は読むだけで上手くなる』渋谷和宏・著 vol.4046

【『日経ビジネスアソシエ』創刊編集長直伝】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569822193

文章術の本を何冊読んでも身につかない。それはおそらく、読んだ本のメソッドが間違っているか、そもそもアウトプットが少なくて身につかないのが原因だろうと思います。

最近、ダイエットの世界でも、片づけの世界でも言われていることですが、どんなに理屈があっていても、現実的でないものは実行できない、ゆえにうまくいかないのです。

こんまりさんの『人生がときめく片づけの魔法』は、片づけに伴う「感情」の問題をクリアしたから広く受け入れられましたし、上野啓樹さん、俣野成敏さんの『一流の人はなぜそこまで、コンディションにこだわるのか?』は、普段運動などできない忙しいビジネスパーソンでもできる方法を提供したから普及しました。

※参考:『人生がときめく片づけの魔法』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4763131206

※参考:『一流の人はなぜそこまで、コンディションにこだわるのか?』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4844373870

やはり、実用書を読むなら、「現実的」なものを採用するのが、成功への近道です。

そこで本日ご紹介したいのが、『日経ビジネスアソシエ』創刊編集長も務めた、渋谷和宏さんの『文章は読むだけで上手くなる』。

アウトプットの機会はそんなに多くないんだけれど、上手な文章を書きたい、と考えるビジネスパーソンにとって、極めて有用な文章メソッドが示された、注目の一冊です。

本書の内容をシンプルに要約すると、文章を構成する文には2種類あり、それぞれ「リーダー(牽引役)としての文」、それを証明したり補足する「フォロワーとしての文」がある。

小段落にこの2種類の文を順番に配置するだけで、わかりやすい文章が書ける、もっと言うと、この構造を意識して読むだけで文章力が身につく、というのが本書の主張です。

本文中から、具体例を見てみましょう。

【リーダーとしての文】
実は今、中国に在住する日本人駐在員の数が急激に減り始めている。
【フォロワーとしての文】
上海の日本総領事館の集計では、上海に住む日本人の数は二〇一三年十月一日時点で約四万七七〇〇人と前年同期から九七〇〇人、二割近く減少した。日本総領事館によれば前年を下回ったのは統計を取り始めて以来初めてだという。上海だけではない。中国全体で見ても居住する日本人は十三万五〇〇〇人と前年同期に比べて約一万五〇〇〇人、一割強減少した。

どうでしょう? 確かにすっきりしますね。

本書には、このメソッドに基づいた文章サンプルがたくさん登場し、いわゆる「型」を叩き込んでくれます。

ほかにも、書く上での心構えが書かれており、書きたい人にとっては重宝する内容です。

疑り深いみなさんのために、いくつかポイントを見て行きましょう。

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ご承知のとおり、文章は小段落が集まって構成され、小段落は文が連なって構成されています。逆に言うと、文が連なったひとかたまりの文章が小段落となり、小段落が集まって全体の文章を構成します

どの小段落も、最初の一文が小段落全体で何を言いたいのかを要約していたり、小段落で言いたい内容の前振り役を務めていたりする

実は文章を構成する文には、二種類あるのです。小段落を代表する文と、それを証明したり補足したり説明したりする文です

文章を読むとき、リーダーとしての文が小段落の文頭にきているかどうか常に意識する

書き手の個性は「フォロワーとしての文」よりも「リーダーとしての文」に、より色濃く反映されます

文章全体の論旨を明確にし、すっきり読みやすくするために守るべきルール──第二のルールと呼びましょう──それは「『リーダーとしての文』をつなげて読むだけで文章全体の流れがわかるように『リーダーとしての文』を並べる」です。ではなぜそのように構成された文章は読みやすいのでしょうか。文章の骨格──スケルトンが明確だからです

◆スケルトンの2つのタイプ
1.△(三角)型
これから何を書きたいのかを冒頭で示した後で、それを具体的に強調するエピソードやコメントを紹介
2.▽(逆三角)型
インパクトのある一文もしくは小段落で文章が始まります

▽(逆三角)型の構成はまず「著者は何を言いたいのだろう」と読者の好奇心をかき立てます

印象的なエピソードから入る▽(逆三角)型は最も応用範囲が広い

◆「印象的なエピソード」から始まる▽(逆三角)型の最も典型的な構成
1.最も印象的なエピソードやコメントから入る
2.冒頭のエピソードやコメントが言わんとする内容を書く
3.言わんとするところを補強する二番目に印象的なエピソードを書く
4.三番目に印象的なエピソードを書く
5.なぜそうなったか、理由(原因)を書く
6.原因(理由)のよってきたる本質やその意味するところを書く
7.結び

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このシンプルかつ強力な文章メソッドのほかに、元雑誌編集長ならではの企画術についてもコメントがあり、これが新書で読めるなんて、信じられません。

これはぜひ、読んでいただきたい一冊です。

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『文章は読むだけで上手くなる』渋谷和宏・著 PHP研究所
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569822193

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◆目次◆

第1章 文章の読みやすさは、文の順番で決まる
第2章 「読む」から「書く」への効率マニュアル
    ──「伝えたいこと」を口ずさむ
第3章 「伝わる」だけではない「人を動かす」ビジネス文章
    ──説得し、気持ちを揺さぶる「絞り込みテクニック」
第4章 「あの人文章うまい!」と言われたい人のために
    ──だれでも守れる「やってはいけない四カ条」
第5章 人々を巻き込み、オンリーワンの成果を実現する
    ──あの人たちが発揮した文章の力

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