2015年4月27日

『最新のネーミング強化書』高橋誠・著 vol.3933

【商品のヒット要因。断トツ1位の要素は?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456982434X

モノを売る時、一生懸命コピーを考えることも大切ですが、それ以上に大切なのが、「ネーミング」。

なぜなら、通常、広告媒体はスペースや文字数に応じて課金され、ネーミングは最も短い字数で商品価値やイメージ、個性を伝えることができるからです。

書籍においても同様で、タイトルのネーミングは、装丁と並んで販売成功の大きなカギを握っています。

事実、ある調査によると、商品がヒットする要素で、断トツ1位が「ネーム」だったそうです(以下、「スローガン」「パッケージ」の順)。

「ビジネスブックマラソン」で本が売れるのは、おそらく「スローガン」の部分に影響を与えているからですが、そもそもネーミングが悪ければ、売りようがありません。

そこで読んでおきたいのが、本日ご紹介する『最新のネーミング強化書』。

ネーミングの本にしてはひねりがないですが、中身はものすごく実用的で、できれば教えたくないほど。これを読まない手はないでしょう。

著者は、ネーミング開発の草分けで、日本郵便の「ゆうパック」や、トーヨーサッシの「トステム」、旧郵便貯金会館で宿泊施設の「メルパルク」、駅前商業施設の「たまプラーザテラス」などのネーミングを手掛けた大ベテラン。

電通や日テレでも教育をしている、そのノウハウがびっしり詰まった新書ということで、これが面白くないわけがありません。

さまざまな商品のネーミングの裏事情や発想のきっかけ、発想法から商標登録、ブランド化、グローバル化までをきっちり押さえており、じつに読み応えのある一冊でした。

以下、興味深かったトピックをつまみ食いしてみましょう。

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◆生産財を「ネット販売」すると、ネーミングがますます重要になる産業用ロボットや電動シリンダの製造販売会社に、アイエイアイがあります。同社は、電動シリンダでは国内でトップの会社です。「ロボシリンダ」という名前の電動シリンダで爆発的なヒットを飛ばし、会社の売上げを4年間で4倍にしました。これは、インターネットを中心とするダイレクトマーケティングを駆使した結果です

◆「二語乗ネーミング」:日本語で二重の意味を持たせる造語法
「ケイコとマナブ」(情報雑誌)は、お稽古と学びと人名の三重ネーミング「通勤快足」(紳士用靴下)は、通勤快速電車と快適さの二重の意味GOPAN(ホームベーカリー)

◆「二国乗ネーミング」:日本語と外国語のダブルの意味を持たせる造語法
「かもめ~る」(クジつき暑中見舞いはがき)「びゅう」(旅行サービス)は、VIEW(景色)と列車がビューと走るの掛け言葉Jリーグの「ガンバ大阪」は、イタリア語の足「GAMBA」と、日本語の「ガンバレ!」という2つの意味が込められたネーミング

◆「アナグラム造語法」:本来の言葉の綴り方を替えて別の意味を持たせる造語法
<逆にしてみるネーミング>
ダイドードリンコのミネラル飲料に「miu」があります。これは、ミネラル水に高知室戸沖の海洋深層水を入れた商品なので、「海」を逆にしたネーミングです
<回文のネーミング> 
回文:前から読んでも、後から読んでも同じ
ホンダの車「CIVIC」、衛星放送の」「WOWOW」

真のブランドは、「識別性」「保証性」「価値性」を持つ

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ネーミングの歴史や、成功した商品名の具体例、エピソードまで踏まえて書かれた、じつに興味深い一冊。

大成功した企業・商品のネーミング事例も、じつは本書のメソッドに沿って作られていると知って、本当に驚きました。

本書にも書かれていますが、レナウンは、靴下「フレッシュライフ」を「通勤快足」に改名して1年後に靴下の売上が10倍。伊藤園は、「缶入り煎茶」を「お~い お茶」にして前年度の2倍の40億円。王子ネピアは「モイスチャーティシュ」を「鼻セレブ」にして売上3割アップ、最終的に4倍にしました。

ネーミング開発に成功すれば、売上10倍も夢じゃなりません。

これは今すぐ、読みたい一冊です。

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『最新のネーミング強化書』高橋誠・著 PHP研究所
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456982434X

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◆目次◆

I  ネーミングが勝負を決める
1.ネーミングをし商標登録して、権利を押さえる
2.ネーミングの世界は、個人・会社から国家にまで広がる
3.ネーミングを大成功させる、7つの秘訣がある
4.メディアでも、ネーミングが大活躍している

II ネーミング開発の進め方
1.ネーミング開発は、4つのステップで進める
2.「課題ステップ」で、開発の方向性を決める
3.「発想ステップ」では、山ほど奇抜なアイデアを出す
4.「評価ステップ」で、良いネーミングを選び抜く
5.「登録ステップ」では、登録を目指す
6.「商標権」を獲得したら、商標の展開を考える

III ネーミングの発想と評価の技法
1.ネーミング開発に「ネーミング7技法」を駆使する
2.ネーミング発想に「辞典」や「造語法」を活用する
3.良いネーミングか「5つの評価」でチェックする

IV ネーミングを良いブランドにする
1.「ブランド」とは何か
2.ブランドは「ブランド7要素」で成り立つ
3.「ブランド体系化」と、個別ブランドを考える
4.ブランドを息長く管理して、大きく育てる

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