2015年2月16日

『0ベース思考』スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー・著 vol.3863

【全米で初版50万部の超話題作。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478029067

本日の一冊は、全米で初版50万部の超話題作、『Think like a freak』の邦訳。

なぜこの本がそんな部数になるのかというと、じつはこの本、シリーズ累計750万部突破の世界的ベストセラー『ヤバい経済学』の著者らによる待望の新刊なのです。

※参考:『ヤバい経済学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492313788

『ヤバい経済学』は、人々を動かすインセンティブ(誘引)に注目した知的好奇心くすぐる論考で、本書で扱う『0ベース思考』は、一般に見落とされがちな「真因」に着目した、シンプルな問題解決技法です。

既に『ヤバい経済学』をお読みの方ならご記憶のように、アメリカで凶悪犯罪が減った真因は銃規制の強化ではなく、人工妊娠中絶の合法化でした。
(望まれない子どもが生まれると凶悪犯罪を犯すようになるというのが理由でした)

また、本書で紹介されている「コブラ効果」も、インセンティブや真因を間違うことの恐ろしさを教えています。

◆「コブラ効果」
植民地時代のインドで、あるイギリス人領主がデリーでコブラが大量発生していることに頭を悩ませていた。そこで彼はコブラの皮をもってきた者に懸賞金を出すことにした。このインセンティブはとても効果があった──効果がありすぎて、コブラの養殖なんて新しい業界が生まれ、インド人は懸賞金目当てでコブラを繁殖、飼育し、殺すようになった

日本では残念ながら、この「インセンティブ」や「真因」が理解されていないため、マスコミが東日本大震災で買い占めの状況を報じたり(逆効果)、政府が最低賃金を引き上げたりしていますが(逆効果)、正しく原因を考える「0ベース思考」を持っていれば、もっと効果的な施策を考えることができます。

サッカーでPKを蹴る際、真ん中が一番成功確率が高いのに、みんなが両サイドに蹴るのはなぜなのか、なぜ宗教の違いが収入の違いを生み出すのか、なぜ道徳的インセンティブは効かないのか…。

本書を読んで「インセンティブ」と「真因」を正しく知れば、どんな制度を設けるべきか、他人にどう働きかければ望み通りの行動を取ってもらえるのか、よく理解できると思います。

経営者、ビジネスマンをはじめ、問題解決をしたいすべての人に、ぜひ読んでいただきたい傑作です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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真ん中狙いのキックはリスクが高そうだが、じつはサイドを狙うより7%も成功率が高いのだ

人は実際のコストを払わずにすむと、無駄な消費をしがちなのだ

自殺率が高いのは、いちばん過酷な生活を送っている人たちのように思えるが、レスターらによる研究では逆の結果が出ている。豊かな暮らしをしている人ほど、自殺することが多いのだ。「どんなに不幸でも、政府であれ経済であれ、何かのせいにできれば、それが免疫となって自殺から守ってくれる」と彼は言う。「自分の不幸の責任をなすりつける外的要因が何もないときこそ、自殺をする確率が高まる」

実験精神があれば、世界は新しいアイデアを試したり新しい質問を立てたり通説に異議を唱えたりできる「遊び場」に早変わりする

見当ちがいな問いを立てたら見当ちがいな答えしか得られないのは、ほぼ確実だ

妊娠中絶が増えたために、望まれない子どもがあまり生まれなくなり、犯罪の温床になりやすい酷な状況で育つ子どもが減ったのだ

大昔の「宗教の違い」が、現在の「収入の違い」を決めている

シュペンクッ匕はどのようにプロテスタントとカトリックの所得格差を説明したのか? 彼は3つの要因をつきとめた。
1.プロテスタントはカトリック教徒より週あたりの労働時間が数時間多い
2.プロテスタントはカトリック教徒に比べて自営業が多い
3.プロテスタントの女性はカトリック教徒の女性よりフルタイムで働く率が高い

小さな問いは、小さいだけあって、目を向けたり調べたりする人が少ないか、まったくいないことがある。誰も手をつけていないまっさらの分野には、学習のタネがたくさん転がっている

わかりきったことに正面から向き合うと、ほかの人が考えもしない問いを立てられる

どうしてそんなに体重が増えたのか? 一つには、食べものがとても安くなったからだ

森林内の小道に化石木(珪化木)の小さなかけらをばらまいて、誰でも簡単に拾えるようにした。そして一部の小道には「盗らないでください」という看板を立て、残りの小道には看板を立てなかった。
結果? 看板ありの道で盗まれたかけらは、看板なしの道の3倍以上だった

嘘つきは、人とはちがうインセンティブに反応する

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『0ベース思考』スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478029067

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◆目次◆

第1章 何でもゼロベースで考える
    ──バイアスをゼロにしてアプローチする思考法
第2章 世界でいちばん言いづらい言葉
    ──「知らない」を言えれば、合理的に考えられる
第3章 あなたが解決したい問題は何?
    ──問題設定を変えて、すごい答えを見つける
第4章 真実はいつもルーツにある
    ──ここまでさかのぼって根本原因を考える
第5章 子どものように考える
    ──「わかりきったこと」にゼロベースで向き合う
第6章 赤ちゃんにお菓子を与えるように
    ──地球はインセンティブで回っている
第7章 ソロモン王とデイビッド・リー・ロスの共通点は何か?
    ──庭に雑草を引っこ抜かせる方法
第8章 聞く耳をもたない人を説得するには?
    ──その話し方では100年かけても人は動かない
第9章 やめる
    ──人生を「コイン投げ」で決める正確なやり方

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