2014年5月4日

『ダボス会議に見る世界のトップリーダーの話術』 田坂広志・著 vol.3575

【世界の政治指導者の「話術」とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492045295

本日の一冊は、シンクタンク・ソフィアバンク、社会起業家フォーラムの代表であり、ダボス会議を主催するWorld Economic ForumのGlobal Agenda Councilメンバーでもある著者が、世界のトップリーダーの「話術」を解説した一冊。

素材となっているのは、世界のトップリーダー2500名が集まるという「ダボス会議」やTED、歴史的に有名なスピーチのシーンで、本書には、ビル・ゲイツ、ブレア・イギリス元首相、サルコジ・フランス大統領、キャメロン・イギリス首相、温家宝・中国首相、クリントン・アメリカ元大統領、ゴア・アメリカ元副大統領、サッチャー・イギリス元首相などのスピーチの様子がまとめられており、それぞれの「話術」が解説されています。

聴衆の無言の声に耳を傾けながら語るブレア・イギリス元首相、利害関係から拍手が少なかった聴衆に、「おや、拍手が少ないですな!」とプレッシャーを掛け、見事に拍手を引き出したサルコジ・フランス大統領、大統領選挙の対立候補が厳しく攻撃してくるなか、仕草ひとつで形成を逆転したロナルド・レーガン…。

人前で表現する極意を、各国リーダーから学べる、じつに貴重な一冊です。

著者によるスピーチノウハウも盛り込まれており、なかでも「言い換え」「畳み掛け」「腹に響く低い声で話せ」などのアドバイスは役に立つでしょう。

◆言い換え
聴衆に対してある言葉を語る。そのとき、聴衆の中から「いまの言葉の意味が分からない」という無言の反応が返ってくる。それは、聴衆の表情を見ているとすぐに分かる。その瞬間、その言葉を、分かりやすい言葉で言い換える

◆畳み掛け
聴衆に対してあるメッセージを語る。そのとき、聴衆から「その通りだ!」との強い共感の雰囲気が伝わってくる。その瞬間、そのメッセージを畳み掛けるように繰り返す

ライブを書籍だけで表現するのは、若干限界があるものの、ダボス会議の臨場感はかなり伝わってきました。(次はCD付きでお願いします)

ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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聴衆が見ているのは、そのスピーチや発言をするトップリーダーの「人物」である

スピーチや討論においては、「姿勢」「表情」「眼差し」「身振り」「仕草」「声の質」「リズム」「間」「余韻」など、「言葉を超えたメッセージ」によって伝わるものが、かなりの比重を占める

実は、我々、誰もが、自分の中に「複数の人格」を持っている。(中略)問題は、それを自覚しているか、そして、その「複数の人格」を意識的に使い分けているか(中略)スピーチにおいては、この「人格の使い分けの技術」が、極めて重要である

優れた経営者やリーダーは、意識的、無意識的に「多重人格のマネジメント」を行っている

◆言い換え
聴衆に対してある言葉を語る。そのとき、聴衆の中から「いまの言葉の意味が分からない」という無言の反応が返ってくる。それは、聴衆の表情を見ているとすぐに分かる。その瞬間、その言葉を、分かりやすい言葉で言い換える

◆畳み掛け
聴衆に対してあるメッセージを語る。そのとき、聴衆から「その通りだ!」との強い共感の雰囲気が伝わってくる。その瞬間、そのメッセージを畳み掛けるように繰り返す

「世界の金融業は、貪欲だ!」「現在の資本主義は、変革されなければならない!」(中略)会場は、このサルコジの発言に対して、少し冷めた雰囲気、冷ややかな空気が支配した。そのため、拍手も、まばらであった。すると、サルコジは、その瞬間に、何と言ったか?「おや、拍手が少ないですな!」

世界のトップリーダーの話術において重要なことの一つは、「位取り」

本当のプロフェッショナルの話者は、同じ感動的な話を、何十回と繰り返しても、毎回、「それを初めて語る」ように、新鮮な気持ちで語ることができる

スピーチにおいては、腹に響く低い声で話せ

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『ダボス会議に見る世界のトップリーダーの話術』田坂広志・著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492045295

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◆目次◆

第一話 世界のトップリーダー2500名が鎬を削るダボス会議という場
第二話 プロフェッショナルの世界では、言葉を発する前に勝負が決まる
第三話 社会貢献家としての人格で壇上に立つビル・ゲイツ
第四話 当意即妙に聴衆に語りかけるブレア・イギリス元首相
第五話 一瞬で場を制したサルコジ・フランス大統領
第六話 聴衆の不評を買ったメドベージェフ・ロシア大統領
第七話 鮮烈なデビュー戦を飾ったキャメロン・イギリス首相
第八話 ボディ・ランゲージで敗れたプーチン・ロシア首相
第九話 「思想的リーダー」を演じる温家宝・中国首相
第一〇話 リラックスして人を惹きつけるクリントン・アメリカ元大統領
第一一話 最後は情熱的スピーチで終わるゴア・アメリカ元副大統領
第一二話 聴衆の涙を誘ったブラウン・イギリス首相
第一三話 一言で相手を切るサッチャー・イギリス元首相
第一四話 英語でのスピーチが批判されたユドヨノ・インドネシア大統領
第一五話 聴衆の目から魅了するラガルド・IMF専務理事
第一六話 素朴な英語で説得力を感じさせるムハマド・ユヌス
第一七話 世界の尊敬と信頼を集めるシュワブ・世界経済フォーラム会長
第一八話 「話術」の八割は「言葉を超えたメッセージ」

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