2014年2月19日

『起業の技術』 浜口隆則・著 vol.3501

【起業家は絶対に買ってください】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/476126960X

本当は速く走れるはずの子どもが100m走で手を抜いていると腹立たしく思えるように、著者に対しても、同様のいら立ちを感じることがあります。

ビジネス書の場合、たちが悪いのは、そういう著者に限って、本当に成功している経営者であることが多いこと。

本日ご紹介する『起業の技術』の浜口さんも、そんなお一人です。

浜口さんはこれまでもいくつか著書を出されていますが、どれを読んでもいわゆる「本丸」ではなく、もどかしい思いを感じていました。

自身、起業家支援事業、オフィス賃貸事業で成功した起業家にもかかわらず、肝心の「起業」の本質を説いた話がない。

本日ご紹介する『起業の技術』は、そんな浜口さんが初めて書いた、本格起業マニュアルです。

読み応えのある本であろうことは事前に予測できましたが、まさかここまでノウハウを開示しているとは、恐れ入りました。

本書には、経営のパフォーマンスを決める「3つの力」と著者が呼ぶところの「商品力」「営業力」「管理力」の3つを高めるための方法論が紹介されており、それぞれが以下のようにブレークダウンされています。

【商品力の4つの価値】
1.存在価値 ← ミッション
2.絶対価値 ← 商品力の29cuts
3.相対価値 ← ポジショニング
4.認知価値 ← ブランディング

【営業力の4つのステップ】
1.集客する ← 集客力
2.見込客をフォローする ← 見込客フォロー
3.販売する ← サイレントセールス
4.リピートを増やす ← CLVマネジメント

【管理力の4つの体制】
1.社長のコックピットをつくる ← 経理・財務
2.自立型組織にする ← チームビルディング
3.安定と継続を築く ← 仕組み化
4.永遠への善循環を築く ← 投資とリスクマネジメント

これらをまとめると、計12の要素になるのですが、この12の要素こそが、プロ経営者が学ぶべき内容です。

これから起業に挑戦する人にとっては、新規ビジネスを発想するためのヒントや、リスクの芽を事前に摘む方法が、既に事業を立ち上げた経営者には、集客や資金繰り、仕組み化のヒントが、起業から5年以上経った経営者には、ビジネスモデル転換やリ・ブランディングのヒントがそれぞれ書かれており、まさに起業のバイブルと呼ぶにふさわしい内容です。

試しに、【ビジネスの種4つの法則】と、【ユニークさを見つけるコツ】を見てみましょう。

【ビジネスの種4つの法則】
法則1 簡便化
    より簡単にできるように発展していきます
法則2 時間短縮化
    より短い時間でできるように発展します     
法則3 満足化
    機能的な満足だけでなく、それ以外の満足を満たす方向に発展します
法則4 多様化/個人化
    人はそれぞれ違った趣向やニーズを持っていますから、それに合わせるように動いていきます

【ユニークさを見つけるコツ】
1.反対にしてみる(男性⇔女性 高い⇔安い)
2.ポジションを小さくする(下着だけor男性用の下着だけ)
3.A+B(意外な組み合わせ)

実践的なマーケティングのヒントに加え、実際に経営をやらなければわからないお金の管理の話、資金調達の話、自分の弱い気持ちと闘うためのヒントまで、あらゆる起業家の悩みに答えてくれる本。

起業家なら、ぜひ躊躇せずに買っていただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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経営に関わる人やモノは多いですが、それらがないと成り立たないという必要不可欠な登場人物は、2人だけです。それが「会社と顧客」です。この2人の登場人物が存在すれば経営は成り立ちます

1つ目は「商品」を通して顧客との関わりをつくっていく活動。2つ目は「営業」を通して顧客との関わりをつくっていく活動です

【ミッション 3段構え】
1.社会の困りごとの明確化
2.その困りごとの解決方法
3.実現したい理想の社会

集約して考えていくと、人は次の【2つの行動原則】しか持っていません。
1.快楽を求める
2.痛みを避ける
ですからビジネスは、この「2つの行動原則」に沿う方向に発展していきます

【価値が劣化する2大理由】
1.顧客は飽きる 2.競合が増える

ブランド力のある会社は経営資源を求めて外へ外へと動き回らないといけません

「どんな会社だったら、経営資源が勝手に集まって来るのでしょうか?」
「どんな会社だったら、あなたは安心して経営資源を提供しますか?」

悪いチームにあって良いチームにないもの、それが「悪口」です

【集客の基本形3つのステップ】
1.露出 2.自己紹介 3.問合せ

・顧客の深い悩みは何か?
・顧客の深い喜びは何か?

◆セールスの「8ステップ」
1.事前情報の提供 2.印象の形成 3.信頼の構築 4.ニーズの顕在化
5.解決策の提示 6.具体的な第一歩の明示 7.確認と言い訳の提示
8.見込客フォローへ循環させる

◆【小さな会社 12の計器】
1.現金預金残高 2.粗利益 3.売掛金 4.顧客数の増減
5.営業利益 6.資金繰表 7.リピート率 8.一人あたり粗利益
9.一人あたり現預金 10.分配前利益 11.売上年計表 12.自己資本比率

◆性弱説
「人の弱さ」を忘れないでチームづくりにあたっていくこと

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『起業の技術』浜口隆則・著 かんき出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 476126960X

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◆目次◆

はじめに なぜ90%の起業が失敗するのか?
I部  「理解する」 経営の要素と構造
II部 「構築する」 必要不可欠な「経営の12分野」を構築する
第1分野 「ミッション」 存在価値を考える
第2分野 「商品力の29Cuts」 絶対価値を考える
第3分野 「ポジショニング」 相対価値を考える
第4分野 「ブランディング」 認知価値を考える
第5分野 「集客力」 8つの集客ツール
第6分野 「見込み客フォロー」 5つのパイプライン
第7分野 「サイレントセールス」 販売業から購入支援業へ
第8分野 「CLVマネジメント」 顧客生涯価値を高める
第9分野 「経理・財務」 社長のコックピットをつくる
第10分野 「チームビルディング」 自立型組織をつくる
第11分野 「仕組み化」 安定と継続を築く仕掛け
第12分野 「投資とリスクマネジメント」 永続への循環を築く
III部 「統合する」 あなたのビジネスモデルをチェックする
おわりに 20年後の後悔、20年後の笑い話

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