2014年2月21日

『第五の権力』エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン・著 vol.3503‏

【Googleエリック・シュミット初の著書!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478017883

以前、お金持ちの知人が、こんなことを教えてくれました。

「土井さん、ロールスロイスは乗るものであって、運転するものではないんですよ」

ロールスロイスを買うことは、運転手付きの車を買うことであり、移動中の快適さや時間を買うこと。

土井も以前、ドバイに行った時にちょっとだけ利用しましたが、「分刻みで生きているお金持ちのためのものだな」という印象を持ちました。

しかし、現在進行中である、無人自動車が実用化されれば、誰もがロールスロイスを持つことになります。

朝、急いでいる時は、朝食を持って無人自動車に乗り込み、後部座席で食べながら会社に向かう。

そんな暮らしが、一般人でもできる未来が近づきつつあるのです。

以前ご紹介した、『楽観主義者の未来予測』に、テクノロジーは希少資源を自由にするもの、という記述がありましたが、これからの数十年で、われわれは恐るべき希少資源を手にするかもしれません。

※参考:『楽観主義者の未来予測』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152094362/businessbookm-22

それは、これまで支配階級しか持ち得なかった希少資源、すなわち「権力」です。

人々がインターネットを通じて「コネクティビティ」を手に入れた結果、社会に何が起こるのか。

それを描いたのが、Google会長、エリック・シュミット初の著書、『第五の権力』です。

ビジネス上は、当然このシュミット会長の名前を喧伝することになりますが、土井が注目したのは、共著者のジャレッド・コーエン。

この人物、何と史上最年少で米国国務省の政策企画部スタッフに採用され、あのライス、ヒラリー両国務長官の政策アドバイザーも務めていた秀才。

本書は、ビジネス書ではなく、テクノロジーがもたらす未来の光と影を、アメリカを代表する頭脳であるこの2人が述べたもので、どちらかと言えば、政治的な内容。

ポケットに入った端末一つで、国家権力の不正を暴ける一方、オンラインアイデンティティの盗難や仮想誘拐、「狂気のコンセンサス」が社会を行方を左右するリスクなど、さまざまな問題が起こる。

そんな、決して明るくない「未来」を示しており、読んでいて本当に憂うつになりました。

以前ご紹介した『楽観主義者の未来予測』が「光」だとすれば、本書はテクノロジーがもたらす「影」を描いた本。

純然たるビジネス書ではありませんが、政策担当者には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人々がデジタル技術を通じて、第五の権力を得る。情報化による権力拡大によって、世界中の多くの人たちが、生まれて初めて権力というものを手にするのだ。自分の考えを伝えるすべをもたなかった人たちも、これからは意見が吸い上げられ、考慮され、ときには一目置かれることもある。そのすべてが、ポケットに入っている安価な端末のおかげで可能になる

現代の例として、すでに多くの企業が、アマゾンのデジタルタスク分配プラットフォーム「メカニカルターク」(機械仕掛けのトルコ人の意味)を通して、インターネットに接続している人なら誰でもできる、数セント程度の小さな仕事をアウトソーシングしている

高品質のLCD(液晶ディスプレイ)スクリーン、ホログラムの空中投影、手もち型のモバイル機器など、いろいろあるディスプレイ
に何を映し出すかを決めるのは、テレビの番組表ではなく、あなた自身である

たとえばマイクロロボットを循環器系に注入して、血圧を監視し、心臓病の初期症状を検出し、早期ガンを発見する(中略)こうした装着物は、やがて心臓ペースメーカー(1950年代に初めて植え込みが行われた)のように、あたりまえのものになるだろう

盗難や不正使用、不当な非難、悪用、横領などの被害から、オンラインアイデンティティを守るための保険を提供する企業が登場するだろう

政府がフィルタリングなどによってインターネットを規制すれば、グローバルであるべきインターネットが、「国ごとのネットワークの寄せ集め」と化す、という懸念が生じる。そうなれば、やがてワールドワイド(世界規模の)ウェブは砕け散り、「ロシアのインターネット」や「アメリカのインターネット」などが乱立するようになるだろう

新しい革命運動では、「パートタイム活動家」や「匿名の活動家」が増えるだろう

デジタル社会活動は、離れた場所から、しかも匿名で参加できるため、デモに参加してもそれほどリスクを負わずにすむ。だからこそ真のリーダーは、仮想支持者がとれない、もしくはとろうとしない現実世界でのリスクを果敢に引き受けることで、頭角を現すのだ

ハイパーコネクティビティの時代には、「誰も自分の足で立ち上がる気概をもたなくなる」。むしろ「狂気のコンセンサス」のようなものが世界を動かし、それに公然と立ち向かう人がほとんどいなくなる。これこそが、リーダーが負わなくてはならないリスクだと彼(※ヘンリー・キッシンジャー)はいう

「インターネットは、ガス抜きにもっていこいです。ただし、それが新たな火種になる場合もあります。危険なことに、将来は何かに賛成するより、反対するほうがずっと簡単になるでしょう」(シンガポール首相リー・シェンロン)

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『第五の権力』エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478017883

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◆目次◆

0.グローバルキャリアは意外と簡単に手に入る(土井英司)
1.これから世界を目指す日本人が狙うべき仕事とは?
2.視野を広げれば見えてくる高収入のお仕事
3.グローバルに億稼ぐ人はどんなキャリアを築いているのか
4.グローバルキャリアが目指せる有望就職先リスト
5.海外での仕事探しに使えるウェブサイト&ツール
6.日本人が知らない自分の売り込み方
7.レジュメの作法
8.英語について
9.マネジメントスキルについて
10.コミュニケーションスキルについて
11.知っておきたい情報源

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