2014年1月16日

『2045年問題 コンピュータが人類を超える日』 松田卓也・著 vol3467

【コンピュータが人類を超える?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4331516830

本日の一冊は、コンピュータの知能が人間を超えるという、いわゆる「2045年問題」に切り込んだ、刺激的な論考。

コンピュータが人間を超えるというのは具体的にどういうことなのか、本書の冒頭で説明があるので、引用してみましょう。

<コンピュータ技術がこのまま進歩していけば、機械の知能が自己を規定するプログラムを改良することができるようになるだろう、そうすれば機械の知能は指数関数的に増大する(イギリスの数学者I・J・グッドの主張)>

コンピュータが自己を規定するなんて荒唐無稽な、と思う方もいるかもしれませんが、本書を読んでいる限り、絵空事とも言えなそうです。

本書には、かつてフィクションの世界で描かれた未実現の未来と、現在、実際に開発されているテクノロジーが、対比されながら紹介されています。

『攻殻機動隊』が描いた「人間の義体化」や、現実になりつつある、3次元の指入力の世界(リーブ)、脳波でキーボードを打つエポック、目のなかに画像を描く「レティナ・イメージング・ディスプレイ」など、驚きの近未来が描かれており、じつに刺激的です。

なかでも、イギリスの物理学者で未来学者でもあるジョン・D・バナールが1929年に書いた『宇宙・肉体・悪魔(The World, the Flesh & the Devil)』のなかの予言は、刺激を通り越して、恐怖すら感じてしまいます。

バナールはこの本のなかで、精神をアップロードする社会を予言しているのですが、そうなったら、われわれの経験や精神まで意味を失ってしまうのかもしれません。

本書で書かれている内容は、未実現の未来であり、即・何かに役立つわけではありませんが、人類が向かう未来の意味と問題点を教えてくれます。

ビジネスマンの教養として、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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コンピュータ技術がこのまま進歩していけば、機械の知能が自己を規定するプログラムを改良することができるようになるだろう、そうすれば機械の知能は指数関数的に増大する(イギリスの数学者I・J・グッドの主張)

◆『攻殻機動隊』の世界
・人間の義体化:人間の体を機械に置き換える
・脳とインターネットを直接つないで、さまざまな知識を脳内にダウンロード

インターフェイスの進歩とは。入力の場合はどれだけ早く入力できるか、あるいは、どれだけ微妙な情報を精緻に入力できるかにかかっています。出力の場合は、どれだけたくさんの情報をいかに人間に理解しやすい形にすばやく表現できるかです

これまでのiPadなどが感知している指の動きは2次元です。押すというベクトルがないため、たとえば筆圧は感知しません。だから線を引いても、線の太さは変えられません。リーブはこれを3次元にします。コンピュータの前にXYZ座標をとり、指先やペン先を3次元で感知するのです

そのうちに、空間書道というものが誕生するのではないか

エポックを使うと脳波でキーボードを打つこともできます。カーソルを右、左、上、下と、思念で動かします

すでに「レティナ・イメージング・ディスプレイ(Retinal Imaging Display)」という目のなかに画像を直接描く技術もあります

カーツワイルは、将来の科学・技術の進歩は三つの段階を踏むであろうと述べています。その3段階とは、遺伝子工学(生物科学)、ナノテクノロジー、ロボットです

脳とコンピュータが直につながれば、あらゆる人が自分だけの仮想世界をつくれるようになります

イギリスの物理学者で未来学者でもあるジョン・D・バナールが1929年に書いた『宇宙・肉体・悪魔(The World, the Flesh & the Devil)』に出てきます。バナールはこの本のなかで、精神をアップロードする社会を予言しているのです

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『2045年問題 コンピュータが人類を超える日』松田卓也・著 廣済堂出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4331516830

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◆目次◆

1章 コンピュータが人間を超える日──技術的特異点とは何か
2章 スーパー・コンピュータの実力──処理速度の進化
3章 インターフェイスの最先端──人体と直結する技術
4章 人工知能開発の最前線──意識をもつコンピュータは誕生するか
5章 コンピュータと人類の未来──技術的特異点後の世界
6章 コンピュータが仕事を奪う──大失業時代の予兆
7章 人工知能開発の真意──コンピュータは人類を救えるか

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